ブレンボからヘレスGPのブレーキングに関する解説記事をいただいたのでご紹介させていただきます。今回は情報をいただいたタイミングが遅かったので、遅めのご紹介となります。

ビニャーレス、ロッシ、マルケス、ロレンソのバイクに搭載されているブレーキングシステムに要求されること

3戦ヨーロッパ以外でのラウンドが終わり、MotoGPは2017年シーズンの第4戦を迎えます。第4戦はヘレスにおいて5月5日から7日にかけて開催されます。ヘレスは1985年12月8日にオープンし、1987年以来ずっと最高峰クラスのレースを開催してきました。大変奇妙な事に、1988年にはスペインGPがハラマ・サーキットで開催されたことで、ヘレスでのレースはポルトガルGPと呼ばれました。

1992年には、チャンピオンシップおいてライダー保護に使用されていた干し草の俵がエアフェンスへと変更された初めてのサーキットとなっています。4,423mのトラックは低速、高速、超高速コーナーから成り立っています。13のコーナー(8つの右コーナー、5つの左コーナー)は、トラック全体の31%の長さを占め、多くのパッシングポイントが存在します。

スロープが大きいトラックの作りはハンドリングとバランスが良い事をバイクに求め、ブレーキングでの安定感も同時に必要とします。今年もまた、MotoGP世界選手権に参加する全てのバイクがブレンボ製のブレーキを装着しています。

ブレンボの技術者はカレンダー内の全てのトラックにブレーキングの難易度を設けていますが、全てのMotoGPライダーをサポートするブレンボの技術者によると、ヘレスはカレンダーの最初の3分の1の中で最もブレーキへの要求が大きいサーキットです。別の言い方をすると、最初の6戦の中でヘレスは最もブレーキングシステムにとって厳しいサーキットと言えます。ブレーキングの難易度1から5の中では4に該当し、これはアラゴンやブルノと同様です

レース中にブレーキにかかる負荷

毎周ごとにライダー達はブレーキを11回、合計で33秒間使用します。これはラップごとに38秒間ブレーキを使用するオースティン、37秒間使用するロサイルと比較すると高い数字ではありません。ただこの2つのトラックではラップタイムは1分55秒から2分05秒のところ、ヘレスではラップタイムは1分39秒程度となっており、実に1周の中の33%でブレーキングを使用していることになります。

3つの中程度のブレーキングセクションがあり、ここでの減速は35km/h程度となっています。これによってレースの中での平均減速度は僅か1.07Gとなっています。こうした減速度の低さは、0.7Gのターン4、ターン7、0.8Gのターン10などによるところもあります。平均減速度がこれより低いのはオースティンの0.92Gのみです。

ブレンボのブレーキレバーを選手が引く力をスタートからゴールまで合計すると、1人あたり140kgを超えます。このロサイルとバレンシアもこの数字を超えており、実際ライダーが毎周使用する力は52kgに及びます。

最難関のブレーキングポイント

ヘレスの11箇所のブレーキングポイントで、難易度が高ランクであるのは2箇所で、5箇所中程度となります。残りの4箇所はブレーキングシステムへのインパクトは低いと言えます。最も難易度が高いブレーキングセクションは、600mのストレートの後に来る1コーナーです。ライダーは281km/hからブレーキングを初め、219m、4.6秒間ブレーキングを行ないます。85km/hまで速度を落とすために、ライダー達はブレーキレバーを6.9kgの力で引き、最大の減速度は1.5Gとなります。

ターン6でのブレーキングも同様に難しく、MotoGPバイクは293km/hから65km/hに、252m、5.5秒で減速を行います。ただ、ブレーキングレバーにかかる力は6.6kgと低く、ブレンボのHTC 64Tブレーキングフルードに11.5バール、そして減速度1.4Gというのは、ポルシェ993ターボが200km/hから0km/hに減速する時にかかる限度度より0.2G高くなっています。

また同様にターン2でブレーキングフルードにかかる10.2バールというのは、樽に入ったビールの7倍の圧力です。MotoGPバイクは3.3秒間ここでブレーキングを行ない66km/hまで減速しますが、減速度は僅か1.1Gに過ぎません。

ブレンボの実績

ブレンボのブレーキは38回のスペインGPで26回優勝しています。ヤマハが過去2年間優勝しており、今年はヴァレンティーノ・ロッシがヘレスで10度目の優勝を狙います。ロッシは1997年に125ccで優勝し、1999年に250ccで、2001年に500ccで、MotoGPクラスでは6度優勝しており、そのいずれでもブレンボのブレーキを使用しています。

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