リトルサムライことダニ・ペドロサが自分自身にインタビューを行うという面白い企画がありました。現役時代は怪我が絶えなかったダニ・ペドロサだけに、引退後はしばらくゆっくりとして欲しいところです。とは言え、HRCは伝統的に引退した選手を何らかの形でホンダに留めておき、バイクの秘密が漏れないようにしていたわけですから、13年間ホンダで戦ってきたダニ・ペドロサをホンダがテストライダーやアドバイザーとして留めておきたいという思いはあるでしょう。これに関してアルベルト・プーチは「彼がどのような決断をしようともそれを尊重する」と語っています。
Q(インタビュアーのダニ)
「ダニこんにちは。どうですか?」
ダニ・ペドロサ
「妙な気分です(笑)こんなインタビューは想像していませんでした。」
Q
「いきなりですが、中途半端な事はお嫌いなのはわかっていますのでストレートにお聞きします。今日は今までのインタビューであまり語ってこなかったことをお聞きして、それについて話をしていただきたいと思っています。」
ダニ・ペドロサ
「誰にも言ったことがないことですか。例えばバイクでレースをしている中で感じる恐怖だとかは今まで語ったことはないでしょうね。それは自分を自分自身から守るということでもあり、誰かに話すようなことではありませんから。」
Q
「今まで人生の中で何回くらいインタビューを受けてきましたか?」
ダニ・ペドロサ
「数え切れません。いつも似たような内容のインタビューが多かったと思います。皆結局は同じことを知りたがっているものですからね。」
Q
「最近はインタビューで以前より落ち着いているように見えます。これは年齢によるものなのでしょうか?」
ダニ・ペドロサ
「経験ともちろん年齢もあるでしょう。難しい質問でも上手くコントロール出来るようになっていきますし、自分を守る方法も身に着けていくわけですから。」
Q
「あなたが自分に質問するとして、ジャーナリストが聞かないような質問として何を聞きますか?」
ダニ・ペドロサ
「スポーツとは関係ない質問でしょうね。いかに恐怖を克服するのか?ですとか。”バイクをライディングしていて恐怖を感じますか?”という質問は何度もされてきました。でも本当に恐怖を感じている時にどうするのか?という事は聞かれたことがありません。」
Q
「新しく世界選手権に参戦する選手達を見て何を思いますか?」
ダニ・ペドロサ
「このスポーツも大きく変わりました。2ストローク時代はライダーのポテンシャルを理解するのは容易だったんです。4ストロークになってからは、誰が優れたライダーなのかということを理解するのが難しくなってきました。現在ではまだデビューしたてのライダーであってもファンと多くの時間を過ごしたり、SNSに投稿したり忙しいですよね。昔はそういった事はバイクに乗る事以外の余剰な仕事だったわけです。人生全てがレースだったわけですから。」
Q
「キャリアをスタートした時持っていて、今懐かしいと思うものはありますか?」
ダニ・ペドロサ
「色々な事に関してより繊細で無邪気でいられたらと思いますね。常にそういったことに関して戦っているわけで、自分自身を常に革新していく必要があるんです。そして上手く行かなかったこと、難しいとわかっていることは頭から追い出して行く必要がありますし、時にはこれは難しいなとわかってしまったほうが、そういった知識がない時よりも難しく感じるものですから。これは重要なことですから、今後も作業を続けていきたいと思います。」
Q
「デビューシーズンに知っておきたかったことは?」
ダニ・ペドロサ
「毎回レースというのは特別なんです。その瞬間瞬間に自分の最高の力を引き出す必要があるんです。”次に頑張ればいいや”ではダメなんです。もし少しでも上手くやれる方法が見つかったなら、それを今やるべきなんです。」
Q
「白髪が少し目立ってきましたね。白髪は染める派?それとも自然にしておく派ですか?」
ダニ・ペドロサ
「それが年を取るということですからね。好きですよ。怪我の後に病院で白髪が生えてきてるってわかったんです。手術前は白髪はなかったのに、術後に白髪が見つかったんです。髪を切る際に美容師さんが”染めますか?抜いておきますか?”と聞いてくるんですが、いつも”そのままにしておいて”って言うんです。」
Q
「寝付きは悪いほうですか?それともすぐに寝付けるほうですか?」
ダニ・ペドロサ
「その日によります。トレーニングをしっかりとしたり疲れている時はすぐ寝付きます。ただ夜は色々な事を考えたりしますね。」
Q
「最も多くを学んだ人生の出来事は何でしょう?」
ダニ・ペドロサ
「人生経験こそが人生ということになるでしょうね。特にMotoGPというのは自分自身を学ぶ上で最高の場所です。レースに関する内容、ファン、スポンサー、他の国籍の選手などの関わりがあります。でも結局はそういった物事にどうやって向き合っていくか?ということなんです。結局はその中でどういった行動をするかによって、自分が定義されるわけですから。そしてその中から自分が何者であるかということがわかるんです。」
Q
「引退後に個人的、もしくはプロとしてやってみたい事はありますか?」
ダニ・ペドロサ
「アイディアはありますが、あくまで計画段階です。現時点では何も動きだしていません。」
Q
「自転車好きとして、今まで走っていない中でどんな山を走ってみたいですか?」
ダニ・ペドロサ
「サイクリストとしていくつかの厳しい山道を走ったことはあります。ただドロミテはもう少し走ってみたいと思いますね。イタリアの山はまだ全部制覇していませんから。本当に素晴らしい景色なんですよ。」
Q
「ウインドサーフィンで行きたいところはありますか?」
ダニ・ペドロサ
「レースで転戦していますから、ずっとやりたくて出来ていないんですよ。いつかそういった時間が取れるようになったら行きたいと思っている場所はあるんです。例えばハワイはウインドサーフィンのメッカですから行ってみたいと思っているんですよ。行ったことは無いんですよね。」
Q
「ダニありがとう。」
ダニ・ペドロサ
「こちらこそ」
(Source: Box Repsol)
(Photo courtesy of michelin)