スズキ創立100周年記念ヘルメット SAK_ART DESIGN ダヴィデ・サッチーニへの特別インタビュー

ご存知のとおり、2020年はスズキにとって創立100周年、レース活動開始から60周年の記念すべき年だ。2020年型のGSX-RRはレース活動60周年を記念して、1960年代に活躍したRT67を彷彿とさせるスペシャルカラーを纏って参戦している。

スズキは今日のバレンシアGPでジョアン・ミルが2020年のMotoGPでチャンピオンシップ優勝を果たした。これはスズキにとって20年ぶりとなる最高峰クラスでのチャンピオンシップ優勝となる。そしてこのタイミングで発表されたのがスズキの創立100周年を記念するアニバーサリーヘルメットだ。

この100周年ヘルメットをデザインしたのはイタリアのトスカーナ地方に拠点を置く「SAK_ART DESIGN」だ。「SAK_ART DESIGN」は2010年よりインダストリアル、レース関連のデザインを手掛けているデザインスタジオで、1943年生まれのファウスト・コロンビニ、1977年生まれのニコラ・サッチーニ、1981年生まれのダヴィデ・サッチーニの3名によって設立された。

「SAK_ART DESIGN」とスズキとの付き合いは、スズキがMotoGPにカムバックした2015年に遡る。「SAK_ART DESIGN」は2015年よりTEAM SUZUKI ECSTARのチームデザインを任されており、その仕事はマシンカラー、ピットボックスのカラー・デザイン、チームウェア、ライダーのレザースーツ、ヘルメットなど多義に渡る。

なお、「SAK_ART DESIGN」はスズキ以外にもOCTO Pramac MotoE、Marc VDSのチームデザインを手掛ける他、2020年シーズンはブラッド・ビンダー、長島哲太、スコット・レディング、デニス・オンチュ、チャン・オンチュ、ミカ・カリオ、ステファノ・ボネッティ、ロレンソ・フェロンなどのデザインを任されている。

今回発表された、スズキの創立100周年記念のアニバーサリーヘルメットに関しても、当然「SAK_ART DESIGN」がデザインしたものだ。2020年のGSX-RRのカラースキームと見事にマッチしたブルーとシルバー(グレー)の2トーンカラーで、ヘルメット後頭部にはスズキのロゴ、そして大きく「SUZUKI」と入ったデザインだ。

気になるバイクニュースでは、「SAK_ART DESIGN」のダヴィデ・サッチーニ氏にインタビューを実施。今回の100周年記念ヘルメット、それ以外についても色々と伺うことが出来た。なお、インタビューの回答を頂いたのは決勝レース前で、ミルのチャンピオンシップ優勝が決まる前となる。

このヘルメットが生まれた経緯を教えてください。スズキからの依頼だったのでしょうか?

SAK_ART DESIGN ダヴィデ・サッチーニ

Team Suzuki Ecstarとは、スズキのMotoGP復帰となる2015年から仕事をしています。毎年、毎シーズン、チームデザイン以外のアイディアを考えているんです。今年はスズキにとって創立100周年、レース活動60周年の記念すべき年です。」

「ですから、私達にとってスズキの100周年を、特別カラー(ブルーとグレー)のヘルメットで祝おうと考えるのは自然な流れでした。チームマネージャーのダヴィデ・ブリビオが初めてサンプル版を見た時の喜びようは嬉しいものでした。」

ベースはAraiのRX-7 RR5を使用しているようですが、これには何か理由があるのですか?

SAK_ART DESIGN ダヴィデ・サッチーニ

Araiのヘルメットを選択したのは、シンプルに私達にとって最高のヘルメットがAraiだからです。そして今回のクラシックなデザインに、Araiのシェイプは完璧にフィットしました。」

デザイン上、GSX-RRのどの部分が気に入っていますか?2020年のグリッド上で最も美しいバイクは?

SAK_ART DESIGN ダヴィデ・サッチーニ

現在のMotoGPグリッド上でベストデザインと感じるのはGSX-RRですね。ラインとプロポーションのバランスがまさに完璧です。

モーターサイクルデザインの観点で、1960年代から2020年の中でベストと言えるバイクを教えてください。

SAK_ART DESIGN ダヴィデ・サッチーニ

「1960年代はHonda CB 450、1970年代はMV Augusta 750 Sport、1980年代はHonda RC30、1990年代はMv F4 750、2000年代VTR 1000 Sp1、2010年代は我々がEICMAに出典したコンセプトモデルのBIMOTA BB2 (※エンジンはBMW)、2020年はMV Superveloceですね。」

お気に入りのライダーを教えて下さい。年代はいつでも構いません。

SAK_ART DESIGN ダヴィデ・サッチーニ

90年代はケヴィン・シュワンツ、そしてウェイン・レイニー。2000年代に入ってからはマックス・ビアッジとバレンティーノ・ロッシですね。今は多くのライダーにレーシングサービスを展開していますが、飛び抜けているのはマルク・マルケスでしょう。」

「しかしもちろんジョアン・ミルとアレックス・リンスも大好きなライダーです。それにブラッド・ビンダー、スコット・レディング、それ以外にも大好きなライダーは沢山いますね。」

最高のデザインを生み出すためには、何が必要なのでしょうか?

SAK_ART DESIGN ダヴィデ・サッチーニ

「シンプルです。”NULLA DIES SINE LINEA(デザインのラインを考えない日は存在しない)”つまり、クリエイティブなプロセスを常に続けること。これが最高のデザインを生み出すために必要な基本と言えるものです。」

2020年シーズンについては、どのようにご覧になっていますか?

SAK_ART DESIGN ダヴィデ・サッチーニ

今年は我々のライダーとチームにとって魔法のような1年です。FIM スーパーバイク世界選手権(SBK)ではスコット・レディングがルーキーイヤーに大活躍し、Team Suzuki Ecstarにとっても最高の1年となっています。ブラッド・ビンダーもMotoGPで初優勝を挙げていますし、本当に最高の1年になっています。」

スタジオにとって特別なバイク、大事にしているバイクなどがあれば教えていただけますか?

SAK_ART DESIGN ダヴィデ・サッチーニ

「我々がデザインしたフレディ・スペンサーカラーのVTR 1000 SP1、特別カラーのRGV 250、CB750ボルドールなどがあります。そして実は今GSX-R1000 K3をベースにした特別プロジェクトが進行中です。詳細はしばらくお待ち下さい。

今回の100周年記念ヘルメットの市販予定はあるのでしょうか?

SAK_ART DESIGN ダヴィデ・サッチーニ

スズキと共に詳細を詰めていくところですが、この100周年記念ヘルメットについては、数量100個限定で発売出来ればと思っています。今後の動きの詳細は私達のソーシャルメディアを通じて発表しますから、楽しみにしていてください。」
(※株式会社スズキ二輪の広報の方に確認したところ、現時点ではスズキ本社の承認前のステータスとのこと。)

ジョアン・ミルが20年ぶりのタイトルを獲得しました。今のお気持ちは?

※決勝レース後に追加で質問させていただきました。

SAK_ART DESIGN ダヴィデ・サッチーニ

本当に嬉しいですし感動しました。スズキにとって歴史的な快挙となります。しかしTeam SUZUKI ECSTAR(チーム・スズキ・エクスター)と共に仕事をする中で、近い将来にこのチームならばタイトル獲得は可能だと信じていました。チームワークが常に最高の結果をもたらすものですからね。

(Photo courtesy of Michele Fiumalbi, SAK_ART DESIGN)

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