ミシュランは2020年のMotoGP最終戦の舞台となるポルトガルで、今年最後のチェッカーフラッグが振られ、ポールシッターである地元ヒーローのミゲル・オリヴェイラがポルティマオで優勝するのを見届けた。
ポルティマオでMotoGPが開催されたの初めてのことで、この連続するアップダウンが特徴のコースは”ローラーコースター”と呼ばれている。全長は4,592mのサーキットで、ライダー達は再舗装された路面でミシュラン・パワー・スリックのグリップを最大限発揮した。
上り坂が多いトラックの作りからリアグリップが非常に重要で、同時に下り坂ではブレーキング時におけるフロントの安定性が課題となった。2つの練習走行の中で、前後で8種類のスリックタイヤが使用され、25周の決勝レースでは4種類が使用された。フロントは左右対象のミディアムとハードタイヤ、リアはハードリアが使用されたものの、左右対称と非対称タイヤで選択が分かれた。
土曜日に最高峰クラスでポルティマオ初のポールポジションを獲得したのは、地元のミゲル・オリヴェイラだった。ミゲル・オリヴェイラは決勝でも完璧なスタートを決め、レースをリード。レース中後続からまったくプレッシャーを受けることなく独走。
最終的に後続に3秒以上の差をつけて優勝。同時にレースにおけるファステストラップも記録している。この勝利によって、ミゲル・オリヴェイラはレースで独立チーム1位、今期2勝目を挙げることとなった。
今日のレースは晴れていたが、風が強く、路面温度は28°Cだった。ミゲル・オリヴェイラの背後ではジャック・ミラー(プラマックレーシング)とフランコ・モルビデッリ(ペトロナス・ヤマハ・SRT)がバトルを展開。
2人は先週に続いて最終ラップのバトルを繰り広げ、今回はミラーが2位、フランコ・モルビデッリは3位となった。この結果でジャック・ミラーはDucatiのコンストラクターズチャンピオンシップ獲得に貢献、モルビデッリはインディペンデントライダーズタイトルを獲得。
4位はKTM最後のレースとなったポル・エスパルガロ、5位中上 貴晶、6位はDucati最後のレースとなるドヴィツィオーゾ、7位はステファン・ブラドル、8位にアレイシ・エスパルガロ、9位アレックス・マルケス、10位ヨハン・ザルコとなった。
ミシュランとMotoGPはこれで今シーズンの全日程を消化、ミシュランは今シーズンのすべてのデータを評価し、2021年の開幕戦に先立ち、2月に開催するテストに備えていく。2021年シーズンは2021年3月28日にカタールのロサイル・インターナショナル・サーキットで開催される予定だ。
ミゲル・オリヴェイラ
「素晴らしいレースでした。自分達はフロントにハードを使用した数少ない選手でした。序盤は風で恐ろしい思いをしましたが、タイヤはしっかりと機能しました。今回のリアタイヤについて全く不満はありません。完璧な週末になったと思います。」
2輪モータースポーツグループ・マネージャー:ピエロ・タラマッソ
「ポルティマオは実に素晴らしいサーキットであり、今週末は素晴らしいレースとなりました。10月にここでテストを行いましたが、レースコンディションを試すことは出来ませんから。今回は幅広い範囲のタイヤを選び、週末にすべて試してみました。」
「今回は路面温度が高かったため、ソフトはレースで使用出来る選択肢ではありませんでしたが、リアソフトは予選で優れたパフォーマンスを発揮し、ラップタイムを短縮しました。今週末はフロント4本、リア4本を用意し、ライダー達は合計8本のタイヤを選択出来、そのうち6本はレースで使用可能なオプションでした。」
「今回のレースは私たちと技術者にとって初めてのことであり、内容に非常に満足しています。参照になるデータがほとんどない状況で、タイヤを作成する際の化合物を決定する必要がありました。結果的に、リアは左右非対称と左右対称の両方のハードオプションを含む4つが選択されたので、これらのオプションの両方を持ってきたことは正解でしたね。」
「特殊なトラックの性格にもかかわらず、タイヤのパフォーマンスは全体を通して非常に良く、ライダーがタイヤをフルに使用するなかで、素晴らしいレース、多くのバトルが生まれました。」
「2020年はコースから離れている時間が長かったにも関わらず、成功したシーズンを過ごしました。今年は9人の異なる勝者、多くのメーカーが表彰台に上がりました。近接したスケジュールのため、ロジスティクス面では非常に厳しいものでしたが、問題なく供給できました。」
「今年グリップ力と安定性を高めるために導入した新しいリア構造は、すべてのチームに新たな挑戦をもたらし、早い段階で良い設定を見つけたチームもあれば、バイクとライダーのスタイル変更の必要があったチームもありました。しかし、最終的には新たな記録が樹立され、年間を通してエキサイティングなレースが展開されました。」
「MotoE™は、再生素材を使用したコンパウンドを使用した新しいフロントタイヤとリアタイヤを導入し、パフォーマンスを大幅に向上。ラップタイムを短縮し、ライダーからのフィードバックも非常に良かったですね。ミシュランにとって、2020年は良いシーズンであり、来年が楽しみです。」
「ミシュランを代表して、本当に今年はありがとうございました。ドルナ、IRTA、FIM、すべてのチームとライダー、ミシュランのスタッフ、そして今シーズンのMotoGPに携わったすべての人に感謝します。」
「このような困難な時期にこのチャンピオンシップを開催することは容易ではありませんでしたが、主催者は素晴らしいショーを行い、関係者全員がこの特別なシーズンの実現に貢献し、暗雲たる気持ちでいた世界中のフレースファンに、光を届けました、明るい2021年に向けて、3月にカタールでお会いしましょう。」
「最後に、このレースの後にリチャード・ロドリゲスに別れを告げます。彼はスズキ担当の技術者で、スズキのチャンピオンシップ獲得を手伝った後、ミシュラン内の四輪部門に移転します。」
「また、この機会を利用して、MotoGPのこの素晴らしい冒険を5年間共に歩んだティム・ワルポールに感謝します。彼はミシュランの全員が高く評価するプレスオフィサーです。」
「彼は本当のプロフェッショナルでポジティブで情熱的な人物です。ティムはいつまでもミシュランのファミリーの1人です。MotoGPパドックに彼がやってきた時はいつだって大歓迎です。」
(Source: michelin)
(Photo courtesy of michelin)