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バレンティーノ・ロッシが遂に引退を発表 「今年で引退するのは正しい決断だと思う」

バレンティーノ・ロッシが遂に引退を発表した。成績が低迷している状況が続いていたことから、今年が最後の1年になると感じていたファンも多いだろう。来年は弟のルカ・マリーニと共にVR46で走る選択肢もあったと言うが、新しいバイクに慣れていくことを考えると時間が足りないと判断したようだ。

バレンティーノ・ロッシほど多くのファンに愛され、認知されている選手もいないが、世界中のファンに支えられてきたこと、多くのイタリア人の目をレースに向けることが出来たことが嬉しいと語り、これからは車の世界に活躍の場を変えて、引き続きレースをしていきたいと語った。[adchord]

今年がMotoGPで走る最後のシーズン

バレンティーノ・ロッシ

「シーズン中、前半戦を終えた時点で将来の動向を発表をすると話していましたが、今年限りでMotoGP選手権への参戦はお終いです。残念ながら、今年がMotoGPライダーとしての最後のシーズンです。本当に難しい選択でしたし、悲しい決断です。少なくとも30年は走ろうと思っていましたし(笑)来年、モーターサイクルでレースをしないことは本当に残念です。」

「来年は大きく人生が変わるでしょうし、ある意味で今までと違う人生になります。しかし、今まで最高に楽しい時間でしたし、本当に長い長い旅でした。25年、26年ほど、世界選手権に参戦してきましたし、共に戦ってきた人達と共に数多くの忘れがたい思い出あります。

「長いキャリアで数多くの勝利を遂げましたが、レースは本当に楽しいもので、レースが終わった10日後でもその高揚感が残っているんです。レースを辞めるのは辛い決断ですが、全てのスポーツにおいて重要なのは結果であって、それが何よりの判断点になります。

「ですから、今年で引退をする事は正しい決断だと思います。弟と共に自分のチームでMotoGP参戦を続ける選択もありました。しかし、今は引退が正しい選択だと思います。残りあと後半戦もありますが、最終戦になるとまた辛い気持ちになるでしょうが、今はまず自分の決断をお伝えしようと思います。自分のキャリアについて文句はないですよ。

世界中のファンに支えられてきた

ファンに伝えたいのは、この25年以上常に全力で走ってきたということです。常に自分の限界でトップで走り続けようとしてきました。ファンと共に多くの時間を共に過ごしてきました。もしかすると若いファンにとっては、彼らが生まれた時からずっと走っている選手なのかもしれません。」

何よりも世界中のファンから支えられてきたと思います。これは大きな驚きでもあるんですが、本当に多くの人が自分を支えてくれましたし、誇りに思っています。ファンの皆さんに長年のサポートを感謝したいですし、共に多くの喜びを分かち合ってきたと思いますね。」

「自分と他の伝説的なMotoGPライダー達を比較すると、どれだけ多くのファンに認知されていたかという点が大きな違いだと思います。これに関しては全くなぜかわからないんですが、なぜか多くの人をこのスポーツに惹きつけることが出来たと思うんです。自分がいなければ、このスポーツの存在を知らなかった人達がイタリアに数多くいます。

多くの新しいファンに、このスポーツを好きになってもらった事はとても嬉しいことで特別なことですが、それもあって日常生活を送るのが難しいことはありますね。常にプレッシャーを感じていますし、それまでとは違う生き方が必要になりました。しかし、出来るだけ普通の人であろうとしてきましたし、この人生を楽しんでいます。」

「イタリアでは多くの人が自分を見て、このスポーツを好きになってくれましたが、これはキャリアの中で達成してきた結果と共に喜ばしいことです。理由はわかりませんが、多くのファンが日曜の午後に自分が走るのを見て楽しんでくれたということでしょう。」
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日曜の昼下がりに、ほんの1、2時間ではありますが、ファンがすべてのことを忘れて自分のレースを楽しんでくれたんです。本当に嬉しいことです。今は結果が出ない状況ですから、ファンがそれを悲しんでくれ、興奮してくれ、時に泣いてくれる。自分としては”なぜ泣いているの?”という気持ちなんですが、こういうことは本当にありがたいですよ。」

「世界中でファンに認知されているのは素晴らしい気分です。例えばタイに行って、スクーターに46のゼッケンが貼ってある。これは本当に特別な気分です。もちろん20歳、22歳で感じていたことは違いますけどね。若い時は自分の人生に大きな影響を与えるものですから、苦しんだこともあります。でも今は年を取っていい気分です。」

これからもレースをしたい

引退の決断をしたのはシーズン中です。シーズン開幕時点で夏休みの間に考えようと思っていましたが、まさにそのとおりになって、夏休みの間に今回の引退を決断しました。今年前半は現役をまだ続けたいと思っていましたが、そのためにはスピードを発揮する必要があります。残念ながらシーズン中の成績は望んでものではなく、レースごとに引退の必要性を考えました。」

これからは、今までも話してきたように車のレースをしたいと思います。車のレース自体大好きで、バイクでのレースほどではないものの、本当に楽しんでやっているんです。ですから来年は車のレースに出場したいですね。まだ明確には決めていません。自分は人生を通じてバイクであれ、車であれレースを続ける人間だと思います。競技のレベルは異なるでしょうが、これからもレースを続けます。それが2輪なのか4輪なのかの違いですね。」

「父のグラツィアーノは怪我を恐れてバイクのレースは好みませんでしたので、自分がキャリアをスタートしたのはゴーカートでした。最初3年ほどゴーカートを走ってみて、その後ミニバイクをやり、バイクでのレースが出来ました。もし車を選んでいたら、ここまでの成績を残すことは出来なかったでしょう。」

実は今まで車でレースをするために、準備を重ねてきました。ただ自分のレベルはわかりません。バイクと同レベルでないことは確かですが、レースをする以上、楽しみで走ることはありません。真のライダー、ドライバーであれば、常に優勝や素晴らしい結果を求めるものです。ル・マン24時間に参戦したいと話してはいましたが、正直なところ、いろいろなカテゴリーがありますから、どのレースをするのか明確に決まってはいません。」

引退を決断する前に、レベルをしっかり確認したかった

「正直なところ、2年前、昨年であっても引退の決断は出来ませんでした。なぜなら、本当に引退を決断する前に色々なことを試してみて、状況をしっかりと理解する必要があったからです。でも今は、引退を決断出来ました。もちろん自分にとって喜ばしい決断ではありません。」
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来年、仮に現役を続けたとしても、トップ集団で走行出来ないのは嫌なんです。ですから、今この瞬間で引退を決断することは正しい判断だと思います。シーズンはまだ後半戦がありますから、スピードを発揮していきたいですし、全力を尽くしていきます。」

「来年は正直、自分のチームからも現役続行のオファーがありました(笑)もちろん自分のチームで走りたいと思いました、チームの中には250cc時代から共に戦っているメカニックがいたりもします。」

「来年のVR46のMotoGPプロジェクトは素晴らしいものですし、素晴らしいバイクを使用することもわかっています。しかしバイクも新しくなって新しいチャレンジとなると、少なくとも2年から3年は時間が必要です。そして自分に残された時間があと1年だとすると、リスクのほうが大きいだろうと思ったんです。」

忘れがたいのは2001年、2004年、2008年

キャリアの中で忘れがたいのは、最後の500ccクラスでタイトルを獲得した2001年。そしてヤマハで初めてMotoGP優勝を果たした2004年、それから2008年ですね。すでに2008年の時点で最高の瞬間は過ぎていましたが、5年連続のタイトル獲得の後、2年連続でタイトルを逃し、通常であればここで”終わった選手”と見なされるわけです。」

「しかし、タイヤがブリヂストンに変わったことで再び戦闘力を発揮し、ロレンソ、ストーナー、ペドロサ達とトップ争いが出来るようになり、再び2年連続でタイトルを獲得することが出来たんです。

「キャリアの中で残念だったことと言えば、Ducatiで走った2年間では優勝が出来ませんでした。しかし、イタリアのバイクにイタリア人選手が乗って走ったわけですから、もし優勝出来ていれば歴史的な出来事だったでしょう。」

「また、10回タイトルを獲得出来なかったのも残念ですね。でも、自分のレベルとスピードを考えると10回タイトルを獲得出来たはずですし、最終戦で2回タイトルを逃したことがありました。それを考えると10回タイトルを獲得出来ていたはずと言えるでしょうね。」

MotoGPバイクに乗れなくなることは残念

昨年から苦戦している理由は1つだけではなく、複合的な要因だと思います。2018年は年間3位でチャンピオンシップを終えました。優勝はないもののポイントを獲得しました。最後の2戦は優勝のチャンスを逃してしまいましたからね。」

「2019年も序盤は良かったものの、理由は不明ながら失速してしまいました。昨年が終わって今年に入ってからは結果が出なくなってしまいました。レベル自体が高いこともそうですが、若いライダー達は本当にトレーニングを重ねていますから。」
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朝起きてトップレベルで戦うためにトレーニングをする生活が恋しくなるでしょう。この人生が大好きなんです。なによりもMotoGPバイクに乗れなくなることが残念です。トラックでMotoGPバイクに乗るのは、本当に大きな喜びなんです。そして自分のチームと共に木曜日から作業を進めていくことが恋しくなるでしょう。」

「そこにはトップレベルのエンジニア、メカニック、データ分析担当などが居て、彼らと共に作業出来なくなるのは残念です。そして何よりも日曜日の朝に感じるフィーリングが恋しくなるでしょう。レース前2時間から感じる落ち着かない感覚、こうしたものは忘れ難いでしょうね。

(Photo courtesy of yamaha-racing, michelin)

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