今シーズンはとにかく怪我に泣いたエネア・バスティアニーニだった。開幕戦ポルトガルでルカ・マリーニに突っ込まれた事で肩甲骨を骨折、その後もカタルーニャGPでの転倒で左足、左手を骨折していた。GP23に馴染むことが出来ないままに始まったシーズンとなってしまったことで、精細を欠くシーズンとなり、ホルヘ・マルティンがシーズン優勝した場合は来年のファクトリーシートも危ういのではといった噂も出ていた。

しかしマレーシアGPの走行は練習走行、予選とスピードを発揮、スプリントレースでも4位を獲得すると、決勝レースではスタートからフィニッシュまで安定した走りで優勝。タイヤが厳しくなるレース後半での安定した走りは、昨年の活躍でファクトリー入りを決めた彼本来の強さを感じさせる走りとなった。

今シーズンは最悪のシーズンだった

エネア・バスティアニーニ

「今シーズンは本当に最悪のシーズンでしたけど、ようやく優勝することが出来ました。今週は今までとアプローチを変えて挑んだ週末でした。データをチェックして何が必要かをしっかりと確認して挑んだ形でした。」

「本当に素晴らしい結果です。昨日は素晴らしいペースだったので、優勝が出来ると言われていましたが、今日も午前中スピードがあり、ターン1でとにかくライバルについて行こうと思っていました。」

「今週末バイクに施した変更はエンジンブレーキのセッティングです、またリアブレーキを人差し指でかけられるよう変更を施していました。これがハードブレーキングで効いてきましたね。今までのレースではペッコのデータと比較するとブレーキングでタイムを失っていたんですが、大きく改善されました。」

「今年はトレーニング方法を変えたり多くの変化がありましたが結果が出ずにいました。難しい状況からの復活は容易ではありませんでした。しかしガールフレンド、家族が支えてくれました。本当に今年はどん底の状況だったんですが、周囲の支えがあってここまでこれましたね。」

(Photo courtesy of michelin)