1969年に建設されたミサノサーキットは、1972年からモーターサイクルレースを開催し、その歴史は52年に及ぶ。1993年の近代化プログラムによる中断があったものの、MotoGPは2007年以降、毎年ミサノでグランプリを開催。2007年にはサーキットの走行方向が反時計回りから時計回りに変更された。ミシュランとそのパートナーがコースを熟知している理由の一つに、数多くのプライベートテストが行われている点が挙げられる。このサーキットは海に近い地理的条件と、快適ながらも変わりやすい天候、そしてグランプリ週末に多くのファンが集まることで高く評価されている。ミシュランのエンジニアたちは、長年にわたるデータ分析を基に、タイヤコンパウンドの進化の必要性を確認している。
ミシュラン二輪レースマネージャー ピエロ・タラマッソ
「昨年から変更を検討していましたが、2024年シーズンのデータが決定を後押ししました。フロントにより硬いゴムコンパウンドを選ぶことにしたのです。昨年持ち込んだタイヤは完璧に適応しており、すべての記録を更新しました。しかし、2024年のバイクのパフォーマンスレベルとそれに伴う改良を考慮すると、パートナーたちはフロントタイヤに対して異なるニーズを持っていることがわかりました。」
「より一貫したパフォーマンスとフィーリングを提供するため、この決定を下しました。ミサノは比較的平坦でテクニカルなコースで、タイヤに厳しいコーナーが多いです。トラモントのヘアピンや高速右コーナーのクルボーネなどがタイヤに大きな負荷をかけます。硬いフロントコンパウンドとリアタイヤの適切なパワー伝達が、最高のタイヤパフォーマンスを発揮する鍵です。」
サンマリノGPでのタイヤ選択
ミシュランは、前輪にソフト、ミディアム、ハードの3種類の対称コンパウンドタイヤを提供。リアにはソフトまたはミディアムの非対称コンパウンドが用意され、右側が強化されている。これは、ミサノサーキットが右コーナーが10、左コーナーが6という構成になっているためである。雨天の場合は、フロント・リアともにソフトとミディアムのMICHELIN Power Rainが提供され、こちらも右側が強化されている。
記録更新に挑む
ホルヘ・マルティン(Prima Pramac Racing)は昨年予選で1分30秒390のコースレコードを樹立。スプリントレースとグランプリも制し、レースタイムを41分33秒421に短縮。レースラップ記録はフランチェスコ・バニャイア(Ducati Lenovo Team)が2023年に1分30秒791で記録。ライダーたちはこれらの記録更新を目指す。
レース週末は9月6日(金)午前10時45分からのプラクティスセッションでスタートし、午後3時からの2回目のセッションでトップ10ライダーがQ2に直行。土曜日午前10時10分からの最終フリープラクティスの後、Q1とQ2でグリッドが決定。土曜日午後3時からスプリントレース(13周)、日曜日午後2時からグランプリ(27周)が開催される。
MotoEシーズン最終戦
ミサノでは、Ducati製の電動バイクを使用するMotoEワールドチャンピオンシップの最終2ラウンドが行われる。今シーズンは8週末にわたりパフォーマンスの向上が見られ、15・16戦目となるこのラウンドで2024年シーズンのチャンピオンが決定。環境保護に焦点を当てたMotoEでは、ミシュランタイヤがフロントで49%、リアで53%の再生可能およびリサイクル素材を使用。新デザインのリアタイヤには、ベルベット状の模様が初期ラップで消える特殊なトレッドが採用されている。ミシュランは、このMotoEで試された技術をMotoGPや市販タイヤにも応用することを目指している。MotoEの全プログラムは金曜日のプラクティスと予選、そして土曜日の8周レース2回がMotoGPスプリントレース前後に開催される。
(Photo courtesy of michelin)