ミシュラン マレーシアGPに向けてタイヤアロケーションを刷新 ― 極限条件に対応した最新スペックを投入

2025年FIM MotoGP世界選手権第20戦、ペトロナス・マレーシアGPが今週末セパン・インターナショナル・サーキットで開催される。ミシュランは、年間を通じて行われた公式テストやプライベートテストで得たデータをもとに、セパン特有の厳しい条件に対応するため、前後タイヤともに改良された新しいアロケーションを準備している。

ミシュランにとって重要な開発拠点

セパンは全長5.543km、右10・左5の計15コーナーを備え、直線では時速340kmに達する高速サーキット。表面はグリップの高い反面、非常にアブレイシブ(摩耗性が高い)なアスファルトが使われており、路面温度は最大60℃、気温は35℃に達することも珍しくない。こうした高温多湿・高摩耗の条件下では、タイヤへの熱的・機械的負荷が極めて大きくなる。

ミシュランはセパンでの定期的なテスト活動を通じて膨大なデータを蓄積しており、マシンの進化と路面特性に合わせた的確なタイヤ選定が可能となっている。

2025年版タイヤアロケーションの詳細

フロント(対称構造スリックタイヤ:3種類)

  • ソフト(2024年仕様を継続)
  • ミディアム(2024年の旧ハード仕様を再分類)
  • ハード(新設計の強化仕様)

新しい強化型ハードは、高温下でも安定した制動性能と剛性を発揮し、特にセパンのような強い減速が連続するコースでのブレーキング安定性とマシンサポート性を向上させている。

リア(非対称構造スリックタイヤ:2種類、右側ショルダー強化)

  • ミディアム(新開発:標準カーカス+高剛性コンパウンド)
  • ハード(2024年仕様を継続)

リアタイヤでは、2024年にあった強化カーカス仕様を廃止し、2025年は2種類とも標準カーカスで統一。新しいミディアムは剛性の高いコンパウンドを採用し、長時間走行でも高温環境下でグリップと耐久性を両立する構成となっている。

ウェットタイヤ(MICHELIN Power Rain)

  • フロント/リアともにソフトおよびミディアムを用意
  • リアは非対称パターンで右側を強化し、ウェット時の右コーナー対策を施している

ピエロ・タラマッソ(ミシュラン・モータースポーツ二輪部門責任者)

「セパンは毎年テストや公式イベントで訪れるため、非常によく知っているサーキットです。高速コーナー、大きな減速、長いストレートといったすべての要素を備えており、前後タイヤともに常に高い負荷がかかります。」

「気温が高く、熱管理が極めて重要な中、グリップレベルはドライ・ウェットともに良好ですが、アスファルトは摩耗性が強く、レースディスタンスでのタイヤ管理がカギとなります。」

「フロントでは2024年の高性能タイヤを継続採用しつつ、ブレーキング安定性とパワフルなマシンに対応するための強化型ハードを新たに加えました。リアは2024年に採用していた強化構造を廃止し、標準カーカスに統一。高温に強いコンパウンドを採用した新ミディアムは、長距離走行での一貫した性能を実現しています。」

「我々の目標は変わりません。レースを通じて安定したパフォーマンスを提供し、路面状況や天候に左右されず、すべてのチームが最大限の力を発揮できる環境をつくることです。」