ドゥカティは、高性能バイシクルの新たな開発・生産・販売に特化したプロジェクトの始動を発表した。この決定は、2018年にe-Bike分野に参入した際の理念をさらに前進させるものであり、サイクリングとモーターサイクルという二つの世界が共有する、路面を駆けるダイナミクス、スピードや競争、そして自由への情熱といった価値観の融合を強調するものだ。
この新プロジェクトは、イタリアのグルッポ・ゼッケット傘下のDiamant S.r.l.とのパートナーシップから誕生した。グルッポ・ゼッケットは、サイクリングシューズブランド「DMT」、テクニカルウェアブランド「Alè」、カーボンおよび複合素材部品を製造する「Diamant Compositi」など、サイクリング界で知られる複数のブランドを束ねる企業である。




今回のプロジェクトで発表される新しいハイパフォーマンス・バイシクルは、ロードバイク、グラベルバイク、そしてペダルアシスト式マウンテンバイク(e-MTB)を含む多様なモデルで構成されており、2026年3月より順次公開される予定となっている。これらの新型車は、ドゥカティが一貫して追求してきた「スタイル」「洗練」「性能」という価値を反映しており、各分野に特化した専用アクセサリーおよびテクニカルアパレルのラインアップも同時展開される。
この開発には、イタリアを代表するサイクリングチャンピオンたちが参加している。エリア・ヴィヴィアーニ、ヴィンチェンツォ・ニバリ、ロレンツォ・スディングの3名は、それぞれの専門分野において新モデルの開発に貢献する。
エリア・ヴィヴィアーニは、イタリアを代表するスプリンターの一人であり、これまでにプロロードレースで90勝以上を挙げている。また、2016年リオデジャネイロ五輪ではトラック種目で金メダルを獲得し、2025年サンティアゴ世界選手権のエリミネーションレースでも世界タイトルを手にした。こうした豊富な競技経験と技術的知見を活かし、ヴィヴィアーニはプロジェクト・コンサルタントとして開発の全フェーズに携わる。
エリア・ヴィヴィアーニ
「自分のプロキャリアを終えた後、心から情熱を注げる新たな挑戦を探していました。このサイクリングプロジェクトを支えることは、自分にとって大きな誇りです。長期的な目標としては、ドゥカティの持つスポーティな精神を自転車にも反映させ、ブランドの価値と競技の本質を体現するバイシクルを創り出すことです。」
また、現代サイクリング界の伝説的存在であり、ジロ・デ・イタリア、ツール・ド・フランス、ブエルタ・ア・エスパーニャというグランツール三冠を達成したヴィンチェンツォ・ニバリも本プロジェクトに参画。ミラノ〜サンレモやジロ・ディ・ロンバルディアなど、モニュメント・クラシックでの勝利経験も持つニバリは、豊富なレース経験と競技に対する深い理解をもとに、ロードバイクセグメントおよび関連スポーツプロジェクトの開発をサポートし、「性能」と「競争精神」に対する独自のビジョンをプロジェクトに提供する。
ヴィンチェンツォ・ニバリ
「このような野心的なプロジェクトに関われることに、大きな喜びを感じています。自分は昔からモータースポーツにも強い情熱を持っていて、ドゥカティは常にパフォーマンス、革新性、そしてデザインの象徴的存在でした。そんなブランドがサイクリング分野で成長していく過程に貢献できるのは、本当に名誉なことです。」
オフロード分野においては、イタリアのダウンヒル選手権で複数回の優勝経験を持ち、マウンテンバイク界でも高い評価を得ているロレンツォ・スディングが、e-MTBの開発を支援する予定である。
ドゥカティ・モーター・ホールディングCEOのクラウディオ・ドメニカーリ
「今回の新たなプロジェクトを通じて、サイクリング分野における我々の存在感をさらに強化していきます。Diamant社との連携に加え、ヴィンチェンツォ・ニバリ、エリア・ヴィヴィアーニ、ロレンツォ・スディングといったイタリアの名選手たちの協力を得ることで、我々のモーターサイクルと同等の品質と興奮を提供できるハイパフォーマンス・バイシクルの開発が可能になります。この場を借りて、これまで共に歩んできたThok社にも感謝の意を表したいと思います。これまでの貴重な協力に深く感謝しています。」
Diamant S.r.l. CEO フィリップ・ゼッケット
「ドゥカティと共に、自転車分野におけるこの新しい挑戦をスタートできることを誇りに思います。我々の両社の連携は、共通する価値観と卓越性への追求に根ざしています。サイクリングにおける我々の専門知識と開発体制を、ドゥカティのような象徴的ブランドに提供できることは、比類なきチャンスであり、大変意義深いものです。」

中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近はまた乾式クラッチのDucatiに乗りたいと思っています。







