HRCホンダは、2026年FIMスーパーバイク世界選手権(WorldSBK)に向けた準備の第一歩として、ファクトリーライダーのジェイク・ディクソンとソムキアット・チャントラを起用し、スペイン・ヘレス・サーキットでシーズン最初のテストを実施した。
気温は低かったものの快晴に恵まれたアンダルシアの名門コースで、両ライダーはHRCのCBR1000RR-Rに初めて乗車。各自のクルーチーフとの連携を深め、チームの作業体制に慣れることを主目的として、2日間にわたって100周以上を走行した。
ディクソンはトム・ヨジック、チャントラは佐々木哲也をそれぞれクルーチーフに迎え、チームマネージャーの森雄司の指揮のもとでテストに臨んだ。さらに、HRCのテストライダーである長島哲太も参加し、データ収集をサポートした。

チャントラ:ブレーキングに課題も、確かな前進に手応え
MotoGPから参戦するステップアップとなるソムキアット・チャントラは、初のWorldSBKマシンに対して一歩一歩理解を深め、毎日の改善を実感。ブレーキング時のマシン制御に課題を残しつつも、ポジティブなテストだったと振り返った。
ソムキアット・チャントラ
「今回、ホンダHRCチームと初めてテストに参加できてとても嬉しかったです。多くの項目を一緒に作業しながら、自分自身もバイクやタイヤの理解に集中しました。多くの周回を重ねて段階的に理解を深めていきましたが、毎日確実に良くなっていき、どのトライでもポジティブな手応えがありました。」
「今の自分の課題はブレーキングと減速時のフィーリングですが、これも時間をかければ自信がついてくると思います。GPバイクとCBR1000RR-Rは全く異なるマシンですが、今回はパワーデリバリーの部分で自分に近い感覚に寄せる作業も行い、良い方向性が見えてきました。今後ももっと走り込み、さらに感覚を高めていきたいです。チームのサポートにもとても感謝していますし、全体的に本当に良いテストでした。」
ディクソン:クラッシュも経験しながら、着実に適応中
元Moto2ライダーのジェイク・ディクソンにとっても、HRC加入後の初テストは収穫の多い2日間となった。WorldSBKの強大なパワーに適応する中で転倒も経験したが、リズム走行やハードタイヤでのロングランに集中し、今後の方向性を掴んだ。
ジェイク・ディクソン
「ホンダHRCライダーとしての初テストは、本当に良い感触でした。再びビッグバイクに乗るのは最高で、このパワーを感じるのは素晴らしい体験ですが、同時に学ぶことも多いです。今回、理解を深める過程で何度か転倒してしまいましたが、チームは本当に素晴らしく、非常にプロフェッショナルで、これだけ多くのスタッフに囲まれて作業するのは初めてで、とても嬉しいです。」
「今はとにかく順応する時間が必要です。このバイクにはリスペクトが必要で、油断すると手痛いしっぺ返しを食らいます。今回の2日間では多くの周回を重ね、ロングランを行い、ずっとハードタイヤで作業しました。予選タイヤはまだ試していません。Moto2と比べて、電子制御で変更できる項目の多さには驚きましたし、1周の速さを引き出すのはまだ慣れていませんが、レースペースは悪くないと思います。これからWorldSBKライダーとして成長していくことが楽しみです。」
次回テストは2026年1月に再びヘレスで実施予定
今回のヘレステストでは、ポジション調整、電子制御の初期設定、基本セットアップ、そしてライダーのフィーリング構築を中心に作業が進められた。冬季休暇を挟み、次回のテストは2026年1月21〜22日に再びヘレスで実施予定。
中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近はまた乾式クラッチのDucatiに乗りたいと思っています。