2027年の新レギュレーション導入を見据えたホンダの850cc初テストは、セパンに居座る雨雲に阻まれた。空力を簡略化した仕様のマシンに跨った中上貴晶は、ドライでのデータ収集を目指したが、スリックタイヤでの本格走行は叶わなかった。それでも彼は、他陣営が未経験のピレリ製ウェットタイヤの感触を掴む貴重な機会に手応えを見せた。Dレベルコンセッション最後の活用となった今回のセッションは、ホンダにとって重要な岐路となった。

雨に阻まれたホンダの850cc初テスト
マレーシア・セパン・インターナショナル・サーキットで行われたホンダの850ccエンジン初テストは、3日間にわたる悪天候により大きく妨げられた。2027年のMotoGPレギュレーション導入に向けた重要なプロトタイプテストだったが、実戦的な走行データを得るには至らなかった。
中上が簡略仕様の850cc車両でテスト走行
ホンダのテスト・開発チームは、クリスマス休暇前の最終テストとしてセパン入り。HRCのテストライダー、中上貴晶は、空力パッケージを簡略化した仕様の通常型バイクに850ccエンジンを搭載し、コースインした。
今回のテストでは、ミシュランに代わり2027年からMotoGPの公式タイヤサプライヤーとなるピレリが開発中のウェットおよびスリック(ドライ)タイヤの両方を試す計画だった。しかし、連日の雨により中上はスリックタイヤでの走行機会がほとんど得られず、乾いた路面での有効なデータ収集は不可能となった。しかしながら、今回のセパンでは、他メーカーが未経験のピレリ製ウェットタイヤのテストが実施された点が注目される。
Dレベルコンセッション最終活用の機会
このセパンテストは、ホンダにとって「Dレベルコンセッション(優遇措置)」を活用できる最後の機会でもあった。ホンダは2025年シーズン中に、与えられたポイントの35%を獲得したことで、2026年からはグループCに昇格。この結果、テストの自由度は大きく制限されることになる。
ホンダは2026年からグループCに分類されたことで、2026年には以下の制約を受ける
- テスト回数と場所に制限
- ライダー1人あたり年間260本までというタイヤ使用制限
- レギュラーライダーによるプライベートテストの禁止

中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近はまた乾式クラッチのDucatiに乗りたいと思っています。







