ホルへ・ロレンソ「引退はチームにとっても自分にとってもベストの決断」

ホルへ・ロレンソがバレンシアGPにおいて今シーズン限りでの引退を表明した。脊椎の怪我の影響から、肉体的にも精神的にも望むライディングが出来なくなっていたことが引退決断の最大の原因だ。「ホンダとホルへ・ロレンソは優勝すること、チャンピオンシップ優勝を目指して共に戦っていたのに申し訳ない」と語ったロレンソの、最後の走りをしっかりと見届けたい。

ホルへ・ロレンソ

「皆さん今日はお集まりいただきありがとうございます。今日は自分にとって非常に重要な日で、沢山の方にお集まりいただき嬉しいです。ライダーにとって非常に重要な日が4つあると思って今までやってきました。初めてレースをした時、初めて優勝した時、初めてワールドタイトルを獲得した時、そして引退する時です。ここにいる皆が予想していたと思いますが、今回が自分にとって最後のMotoGPでのレースとなります。そしてその後自分はプロライダーを引退します。

「全ては自分が3歳の頃に始まりました。そして20数年このスポーツに全力を尽くしてきました。自分を知る人は、自分がどれほどまでレースに向けて準備をしてきたか、完璧主義者であるか、どれだけのエネルギーを注いで来たか、それほど真剣に打ち込んできたかを知っているでしょう。そしてこうした事には大きなモチベーションを必要とするんです。」

ヤマハでは9年間過ごしましたが、おそらく自分のキャリアの中でベストと言える時代だったと思います。その後、このスポーツに対して完全にコミットするには、環境を変える必要があると感じDucatiに移籍しました。この移籍は自分にとって大きなモチベーション、力となりました。結果が出ない時もそれ自体をさらなるモチベーションとし、ムジェロで達成した美しい最高の勝利を遂げるまで努力を続けてきたんです。

「HRC、レプソルホンダという全てのライダーが夢見るチームに加入出来たということで、さらにモチベーションを得ることが出来ましたが、不運にも怪我をしてしまいました。そしてこの怪我によってフィジカル面でスピードと競争力を発揮することが出来なくなってしまいました。加えてバイクの特性が自分にはどうしても合わず、望んだほどの競争力を発揮出来ませんでした。

「そうした中でもけして諦めずチームと共に作業していました、いつか物事のピースがはまる時がくると思っていたんです。その後モントメロで酷い転倒をして、その数日後にオランダGPのアッセンで酷い転倒をしてしまいました。グラベルを転がって立ち上がった時に”ホルヘ、ココまで自分を痛めつけて、これは今まで成し遂げたきたことから考えて価値があることなのか?”と考えてしまったんです。」

「その後家に帰って”まだ挑戦を続けたい”と思ったんです。しかしその時に感じた挑戦の壁の高さは非常に高く、それを乗り越えるだけのモチベーションと忍耐を感じることが出来ませんでした。ライディングも好きですし、レースも好きですが、何よりも優勝したいんです。そして、それがホンダのバイクでの短い時間の中ではどうにも難しいという現実に気が付きました。そして現時点のキャリアにおいてモチベーションを維持することが出来なくなってしまいました。シーズン開始前に思い描いていたホンダでの成功は、この短期間で考えて現実的ではありません。」

引退という決断は、この機会を与えてくれたホンダ、そして何よりもアルベルト・プーチに対して申し訳ないと思います。プーチを失望させてしまいましたし、武雄、桒田さん、野村さんも失望させてしまいました。でも、これがチームにとっても自分にとってもベストの決断でしょう。ホンダとホルへ・ロレンソはポイントを獲得するため、トップ5を獲得するため、単純に表彰台争いをするために走っているのではなく、両者共にチャンピオンであるわけですから、優勝するために走っているんです。

キャリアを振り返ると本当に幸せな人生でした。今まで本当に凄いライダーと戦ってきましたし、自分の世代のライダーで同様の結果を残した選手はいません。それに世界選手権プロライダーになれずに通常の仕事に戻っていった人もいました。」

自分はハードワーカーで多くを犠牲にしてきましたが、多くの人の協力、あるべきものがあるべきところになければ、このような結果を得ることは出来なかったでしょう。ですから自分を助けてくれた全ての人、このスポーツに感謝しています。特にカルメロ、ドルナには感謝しています。また自分を信じてくれたすべてのファクトリーであるデルビ、アプリリア、ヤマハ、Ducati、ホンダ。それからジャンピエロ・サッキ、ジジ・ダッリーニャ、リン・ジャービス、アルベルト・プーチにも感謝を捧げます。」

「そして自分をこの世に産み落としてくれた母、自分を信じてバイクを教えてくれた父、支えてくれた妹にも感謝したいですし、常に自分を応援してくれたファンクラブの皆さん、MotoGPを好きで応援してくれているMotoGPファンの皆さんにも感謝を述べたいと思います。」

以上です。皆さん本当にありがとう。今まで一緒に仕事が出来たことを嬉しく思います。皆さんの今後の人生が、仕事、プライベートの両方で実り多いものでありますように。どうもありがとう。

(Source: HRC)

(Photo courtesy of HRC, Michelin)