カレル・アブラハムは19日火曜、20日水曜に2日間行われたバレンシアテストに参加したが、その週末となる22日金曜日に、Avintiaよりメールにてチームとの契約解除を一方的に告げられた。カレル・アブラハムは当初Avintiaと2020年まで契約を結んでいたが、Avintiaはアブラハムとの契約を解除、そのシートに去就が決まっていないヨハン・ザルコを迎えいれたい考えだ。

Avintiaとカレル・アブラハムの契約解除はメール経由で一方的に行われた

Avintiaからの契約解除は金曜にメールで告げられたということで、カレル・アブラハムは口頭による説明すら受けられないままに来年のシートを失ったことになる。なお、カレル・アブラハムの父、アブラハム・シニアはチェコGPの開催地であるブルノGPの所有者だ。カレル・アブラハムが来年からMotoGPでシートを失うことにより、チェコGPの動員数に大きな影響を与えるとは思えないが、アブラハム・シニアと、Avintia、Ducati、そしてドルナの間ではひと悶着ある可能性はゼロではない。

カレル・アブラハムのシート喪失の背景にはドルナ、Ducatiの影

もともと2020年まで契約があったカレル・アブラハムがなぜAvintiaから契約解除を告げられたのかについては、ヨハン・ザルコをどうしてもMotoGPクラスで走らせたいドルナ、そしてフランスGPプロモーターでザルコと親交の深いクロード・ミッチーの思惑がある。

ヨハン・ザルコは、今シーズンのオーストリアGPのレースウィーク中にKTMに契約の解除を申し入れ、サンマリノGP以降はオーストラリアGPから中上 貴晶の代役をLCRホンダで務め、最終戦バレンシアでホルへ・ロレンソが引退を表明したことから、来年はレプソル・ホンダへの加入もあるかと言われていた。しかしアレックス・マルケスがレプソルのシートを獲得したことから、ヨハン・ザルコの来年のMotoGP参戦は絶望的となり、アレックス・マルケスのいなくなったMarc VDSでMoto2に参戦するか、ヤマハのテストライダーを務めるかの2択が濃厚と予想されていた。

しかし、前述の通りフランスGPの動員数を考えるとどうしてもザルコをMotoGPクラスでは走らせたいクロード・ミッチー、同じくフランスGPの盛り上がりを考えた時にザルコを走らせたいドルナが恐らくAvintiaとDucati側にアプローチ。DucatiからAvintiaへエンジニアの貸し出しなどさらなる技術協力を引き出し、ザルコをAvintiaに迎え入れるという状況が作り出されたのだろう。このような通常ありえない種の動きがあったあたり、ドルナからAvintiaへの資金面での協力、何らかの譲歩があったと見るのが自然だろう。

ザルコは突如提示されたAvintiaからのMotoGP参戦の可能性について「優れたチーム、バイクで走りたいと思っています。Avintiaはトップチームではないでしょう。そのようなチームで1年を無駄にするのならMoto2に戻ります。」と語っていた。

未だザルコの去就は不明

Avintiaからカレル・アブラハムへ契約解除の通知が出されたことで、Avintiaの2020年のシートは1つ空いた状態だ。このシートはドルナとクロード・ミッチーによって、ザルコのためにかなり強引なやり方で作り出されたものだが、Avintiaからは未だにヨハン・ザルコ獲得の発表はない。ザルコとしてもこのシートを獲得したところで、この先Ducatiで目指すキャリアは不透明だ。

なお、ヨハン・ザルコがAvintiaで参戦することになったとしても、バレンシアGPで痛めた両足首があるため、明日25日から開催となるヘレステストには参加出来ないだろう。

(Photo courtesy of michelin, KTM)