FIM スーパーバイク世界選手権(SBK)開幕戦のフィリップアイランド戦はここ数年も最もエキサイティングなレースとなった。最高峰クラスで異なる3名のライダーがトップを走行しただけでなく、それぞれが異なるメーカーであり、カワサキ、ヤマハ、Ducatiのバイクが優勝争いを展開したのだ。
レース1で優勝したトプラック・ラズガトリオグル、カワサキのレイとロウズ、Ducatiのスコット・レディングが優勝候補であった。スーパーポールレースではカワサキのジョナサン・レイが優勝したが、レース2ではアレックス・ロウズがスピードを発揮した。Ducatiに移籍したスコット・レディングは3レースで3位を獲得、ロウズに続いてチャンピオンシップスタンディング2位とした。またサテライトのロリス・バズマキシミリアン・シャイブの活躍も目立った。
SSPクラスでは元Moto2ライダーのアンドレア・ロカテリが600ccデビュー戦で優勝している。Pirelliが提供したタイヤは再び素晴らしい性能を発揮、ライダー達は序盤から終盤まで終始速いペースを維持することが可能だった。SSPクラスについては初めてスリックが使用され、Pirelliは製品開発に役立つ貴重なデータを収集した。
スーパーポールレース
スーパーポールレースは日曜に開催され、序盤はジョナサン・レイが3番グリッドからスタート、すぐにレースをリードする。その背後にはトプラック・ラズガトリオグルとポールスタートのトム・サイクスが続いた。4位にはマイケル・ファン・デル・マークが続くがスコット・レディングが上位に浮上。
アルヴァロ・バウティスタはターン6で転倒して最後尾でレースを終えた。サイクスはレース1同様に徐々に順位を落としてスコット・レディングに道を譲る。4周目にスコット・レディングとジョナサン・レイが接触。これでレイ、レディング、トプラック・ラズガトリオグル、ロウズによるグループが形成された。グループは0.5秒以内の差で走行を続け、その後ろにマイケル・ファン・デル・マーク、サイクス、バズの集団が続いた。
7周目初めにアレックス・ロウズがトプラック・ラズガトリオグルを抜いて3位に浮上するもすぐに抜き返されている。残り2周でトプラック・ラズガトリオグルがジョナサン・レイをパスするも、レイもポジションを奪い返して最終ラップへ。
最終ラップにジョナサン・レイ、トプラック・ラズガトリオグル、スコット・レディングの差は0.1秒以内となる。ラズガトリオグルが最終ラップでレイにアタックを仕掛けるも、最終コーナー1つ手前でレイがラズガトリオグルを抜き返してそのまま完走。3位はスコット・レディングとなった。アレックス・ロウズは4位、マイケル・ファン・デル・マークが5位だった。
スーパーポールレース結果
1) J. Rea (Kawasaki Racing Team WorldSBK / Kawasaki ZX-10RR)
2) T. Razgatlioglu (PATA YAMAHA WorldSBK Official Team / Yamaha YZF R1)
3) S. Redding (ARUBA.IT Racing – Ducati / Ducati Panigale V4 R)
4) A. Lowes (Kawasaki Racing Team WorldSBK / Kawasaki ZX-10RR)
5) M. van der Mark (PATA YAMAHA WorldSBK Official Team / Yamaha YZF R1)
6) T. Sykes (BMW Motorrad WorldSBK Team / BMWS1000 RR)
7) L. Baz (Ten Kate Racing Yamaha / Yamaha YZF R1)
8) L. Haslam (Team HRC / Honda CBR1000RR
9) M. Rinaldi (Team GOELEVEN / Ducati Panigale V4 R)
10) M. Scheib (ORELAC Racing VERDNATURA / Kawasaki ZX-10RR)
11) S. Cortese (OUTDO Kawasaki TPR / Kawasaki ZX-10RR)
12) X. Fores (Kawasaki Puccetti Racing / Kawasaki ZX-10RR)
13) C. Davies (ARUBA.IT Racing – Ducati / Ducati Panigale V4 R)
14) F. Caricasulo (GRT Yamaha WorldSBK Junior Team / Yamaha YZF R1)
15) T. Takahashi (MIE Racing / Honda CBR1000RR)
16) Á. Bautista (Team HRC / Honda CBR1000RR)
FIM スーパーバイク世界選手権(SBK)レース2
レース2ではマイケル・ファン・デル・マークが5番グリッドから素晴らしいスタートを決めレースをリードした。彼の後ろではジョナサン・レイとトプラック・ラズガトリオグルが続き、カワサキのアレックス・ロウズ、Ducatiのスコット・レディングが後に続く。その後2周目にレイがリードを奪う傍ら、レオン・ハスラム、リナルディはグラベルでレースを終えている。
4周目にスコット・レディングがアレックス・ロウズを抜き4位となった。その後バズがロウズとトプラック・ラズガトリオグルをオーバーテイクして4位、その後レディングもオーバーていくしている。10周目にバズはさらにスピードを発揮し、マイケル・ファン・デル・マークとジョナサン・レイをオーバーテイクしてトップに踊り出る。
後方ではDucatiのチャズ・デイビスが5位となり、フェデリコ・カリカスロはターン2で転倒。中盤になるとバズ、レイ、ロウズ、ファン・デル・マークの4人の戦いとなり、その後ろのライダーを含んだ10名のライダー達が2秒以内に接近したままレースが展開される。
16週目にアレックス・ロウズはレイはストレートでオーバーテイクするが、レイは再びトップを獲得している。残り4周で優勝争いはレイ、ロウズ、ファン・デル・マークに絞られる。残り2周でラズガトリオグルとバズがターン4でワイドに膨らみバズがあわやコースアウト。
同時にラズガトリオグルは燃料切れによってレースを終えた。アレックス・ロウズはレイを抜いて再びレースをリード。スコット・レディングはマイケル・ファン・デル・マークを抜いて3位となる。レースは最終的にロウズが優勝、2位にアレックス・ロウズ、3位にスコット・レディングとなった。
FIM スーパーバイク世界選手権(SBK)レース2結果
1) A. Lowes (Kawasaki Racing Team WorldSBK / Kawasaki ZX-10RR)
2) J. Rea (Kawasaki Racing Team WorldSBK / Kawasaki ZX-10RR)
3) S. Redding (ARUBA.IT Racing – Ducati / Ducati Panigale V4 R)
4) M. van der Mark (PATA YAMAHA WorldSBK Official Team / Yamaha YZF R1)
5) C. Davies (ARUBA.IT Racing – Ducati / Ducati Panigale V4 R)
6) Á. Bautista (Team HRC / Honda CBR1000RR)
7) M. Scheib (ORELAC Racing VERDNATURA / Kawasaki ZX-10RR)
8) L. Baz (Ten Kate Racing Yamaha / Yamaha YZF R1)
9) S. Cortese (OUTDO Kawasaki TPR / Kawasaki ZX-10RR)
10) T. Sykes (BMW Motorrad WorldSBK Team / BMWS1000 RR)
11) X. Fores (Kawasaki Puccetti Racing / Kawasaki ZX-10RR)
12) L. Haslam (Team HRC / Honda CBR1000RR)
RT) M. Rinaldi (Team GOELEVEN / Ducati Panigale V4 R)
RT) T. Razgatlioglu (PATA YAMAHA WorldSBK Official Team / Yamaha YZF R1)
RT) F. Caricasulo (GRT Yamaha WorldSBK Junior Team / Yamaha YZF R1)
RT) T. Takahashi (MIE Racing / Honda CBR1000RR)
スーパースポーツクラス
FIM スーパーバイク世界選手権(SBK)のレース2前に開催されたスーパースポーツクラスのレースでは、アンドレア・ロカテリが1位をキープしてそのまま優勝。元Moto2ライダーのロカテリにとっては、スーパースポーツクラスで初の優勝となった。
スーパースポーツクラス結果
1) A. Locatelli (BARDAHL Evan Bros. WorldSSP Team / Yamaha YZF R6)
2) R. De Rosa (MV Agusta Reparto Corse / MV Agusta F3 675)
3) J. Cluzel (GMT94 Yamaha / Yamaha YZF R6)
4) C. Perolari (GMT94 Yamaha / Yamaha YZF R6)
5) L. Mahias (Kawasaki Puccetti Racing / Kawasaki ZX-6R)
6) H. Soomer (Kallio Racing / Yamaha YZF R6)
7) S. Odendaal (EAB Ten Kate Racing / Yamaha YZF R6)
8) M. Gonzalez (Kawasaki ParkinGO Team / Kawasaki ZX-6R)
9) F. Fuligni (MV Agusta Reparto Corse / MV Agusta F3 675)
10) I. Viñales (Kallio Racing / Yamaha YZF R6)
11) C. Öncü (Turkish Racing Team / Kawasaki ZX-6R)
12) D. Webb (WRP Wepol Racing / Yamaha YZF R6)
13) P. Hobelsberger (Dynavolt Honda / Honda CBR600RR)
14) P. Sebestyen (OXXO Yamaha Team Toth / Yamaha YZF R6)
15) A. Verdoïa (bLU cRU WorldSSP by MS Racing / Yamaha YZF R6)
16) J. van Sikkelerus (MPM Routz Racing Team / Yamaha YZF R6)
17) L. Cresson (OXXO Yamaha Team Toth / Yamaha YZF R6)
18) G. Hendra Pratama (bLU cRU WorldSSP by MS Racing / Yamaha YZF R6)
RT) C. Bergman (Wójcik Racing Team / Yamaha YZF R6)
RT) P. Oettl (Kawasaki Puccetti Racing / Kawasaki ZX-6R)
RT) H. Okubo (Dynavolt Honda / Honda CBR600RR)
RT) R. Krummenacher (MV Agusta Reparto Corse / MV Agusta F3 675)
SBKライダー、SSPライダー達が選択したタイヤ
SBKライダー達がスーパーポールレースで使用したタイヤ
スーパーポールレースでは、トム・サイクスと高橋巧もW1049 SC1デベロップメントタイヤ(オプションA)をリアに使用。これはレース2で最も使用されたタイヤだった。フロントは最も人気だったのはスタンダードSC2(オプションB)でヤマハファクトリーライダー達はスタンダードSC2からスタンダードSC1に履き替えている。
SBKライダー達がレース2で使用したタイヤ
レース2ではレース1同様のタイヤを使用するチームが多く、リアを変えたのはトム・サイクスと高橋巧の2人で、2人ともに全てのライダー同様にW1049 SC1デベロップメントタイヤ(オプションA)を使用した。フロントはサンドロ・コルテセとマキシミリアン・シャイブがスタンダードSC2からSC1を使用している。
SSPクラスのライダー達が使用したタイヤ
スーパースポーツクラスではライダー達は皆Y1006 SC1デベロップメントタイヤ(オプションA)をリアに使用。フロントに関しては最も使用されたのはスタンダードSC1だった。
Tyres selected on the starting grid of WorldSSP race
スーパーポールレースに関するデータ
・PIRELLI BEST LAP AWARDはスコット・レディングが獲得 タイムは3周目に記録した1’30.684
・最も使用されたフロントタイヤはスタンダードSC2 125/70(16台中9台)
・最も使用されたリアタイヤはデベロップメントSC1 W1049 200/65(16台中16台)
・Pirelli DIABLO™ Superbikeでの最高速度はチャズ・デイビスが記録した330.3km/h
・気温25℃
・路面温度33℃
レース2に関するデータ
・PIRELLI BEST LAP AWARDはスコット・レディングが獲得 タイムは2周目に記録した1’31.793
・最も使用されたフロントタイヤはスタンダードSC2 125/70(16台中12台)
・最も使用されたリアタイヤはデベロップメントSC1 W1049 200/65(16台中16台)
・Pirelli DIABLO™ Superbikeでの最高速度はアレックス・ロウズ、チャズ・デイビス、アルヴァロ・バウティスタが記録した 329.3 km/h
・気温31℃
・路面温度43℃
スーパースポーツクラスレースに関するデータ
・PIRELLI BEST LAP AWARDがアンドレア・ロカテリが獲得 タイムは11周目に記録した1’33.210
・最も使用されたフロントタイヤはスタンダードSC1 (22台中13台)
・最も使用されたリアタイヤはデベロップメントSC1 Y1006(22台中22台)
・Pirelli DIABLO™ Superbikeでの最高速度はマヌエル・ゴンザレスが記録した289.5 km/h
・気温28℃
・路面温度40℃
(Source: Pirelli)
(Photo courtesy of Pirelli)