KTMでテストライダーを務めるダニ・ペドロサは、KTMのRC16について改善が進んで来ている実感を持っている。体格に恵まれず、ミシュランタイヤにタイヤサプライヤーが変更となった以降は、特にタイヤを発熱させることで苦戦しただけに、どんなライディングスタイルのライダーにも適応出来る幅の広さを持ったバイクを目指しているという。

マルケス以外が乗りこなすことが難しいRC213Vを参考にスタートしたKTMのRC16だが、ペドロサの経験がフィードバックされることで、扱いやすさを手に入れることが出来るかもしれない。

ダニ・ペドロサ

テストに参加し始めてからバイクは改善してきています。様々なKTMのライダーにライディングスタイルに適応する懐の深さが出てきました。そしてこれこそが非常に重要なんです。今はこの世界選手権を戦う中で遭遇する、様々な状況に対応出来るバイクに仕上げようと進めているところです。1つのレース、ある特定の状況だけに特化したバイクを作るのは全く面白みがありません。全てのトラックにおけるレベルを1段階アップしたいんです。


「1つの問題はオーバーテイクで、グリッド後方からのスタートだとレースが難しくなります。前のライダーを追う中でグリップに苦戦しているんですが、ブレーキングでオーバーテイクを仕掛けるだけのアドバンテージを稼ぐことも出来ていません。ですから、例え予選結果が悪くとも、コーナー立ち上がりのトラクションを向上させて前走者に接近してオーバーテイクを仕掛けていけるバイクにしようとしています。

こうした変更点は自分が色々と提案しているもので、KTMと議論をしながら何が機能していないのか理解し、各ライダーからのフィードバックを参考にしています。各ライダーが気に入らないと思っているグリップ、旋回性、ブレーキング、トップスピードなどの作業を進めているんです。」
ダニ・ペドロサ
MotoGPクラスでの優勝経験から言えることは、バイクが優勝するために必要な情報を正確に伝えることが出来るということですね。トップ5で完走出来るバイクではなく、優勝出来るバイクということです。優勝経験からトップ集団の中で戦うには何が必要なのか、どういった問題に対処すべきかがわかるんです。
ブラッド・ビンダー
「メンタルとアプローチは少し異なっています。バイクの良い点、悪い点の受け止め方にしてもそうです。時には”このバイクは駄目だ。この部分を変更しないとトップでは戦えない。”と言うこともあります。しかしどのメーカーのバイクも進化の過程があります。いきなり優勝争い出来るポテンシャルを持って生まれてくるわけではありません。しかし、バイクの進歩の第2段階に入った時から、さらに詳細な部分を詰めていくことが出来るんです。」
イケル・レクオーナ
「KTMのライダーは一部は非常に若く、経験不足です。これはチャンピオンシップが短い場合はミスをしやすいことを考えてもネガティブでしょう。しかし一方で、新鮮な気持ちでただレースに打ち込むということを考えると悪くはないとも言えるんですよ。」

(Source: KTM)

(Photo courtesy of KTM)