2019年からレースが開催されていなかったオーストラリアで、MotoGPが開催となる。すべてのMotoGPライダーと密接に連携しているブレンボの技術者によると、フィリップアイランドはブレーキへの負担が最も少ないサーキットのひとつだ1から6までの難易度指数では1という評価となる。

メルボルンから140km離れたフィリップアイランドに位置するこのサーキットは、全選手権の中で最も南極に近く、緯度は38度である。ブレーキの初期温度を良好に保つため、MotoGPでは雨天時に他のサーキットと同じカーボンファイバー製のカバーが使用されることが多い。[adchord]

ブレンボ製ブレーキフルード

ブレーキキャリパー、ディスク、パッド、ブレーキマスターシリンダーおよびクラッチマスターシリンダーに加えて、ブレンボはすべてのMotoGPライダーにブレーキフルードも供給している。フルードには2種類のタイプが用意されており、HTC64ブレーキフルードは、耐熱性は高いものの、吸湿性が低くなっている。湿度が高い場合は1日に1回、ブレーキフルードを交換する必要があるが、気温が低いときに使うLFC600は、交換頻度も少なく、圧縮性、吸湿性も安定している。また、乾燥沸点も異なり、LFC600は約315℃、HTC64は335℃となる。

市販車向けのブレーキフルード

LCF 600 Plusフルードは市販されているが、サーキットでの使用を推奨している。このフルードは吸湿性が高いため、寿命が限られている。いくつかの要因にもよるが、通常2000~4000km(1242~2485マイル)で交換が必要だ。他のDOT3およびDOT4レーシングフルードと混合することが可能だが、マグネシウム部品を使用したブレーキシステムには使用出来ない。

一方、ブレンボ・スポーツエヴォ500++ DOT4フルードは、乾燥沸点が270℃(518°F)であり、性能を損なうことなく一般道での使用を推奨している。その優れた特性により、交換までの走行距離は通常2,000km~24,000kmと長くなっている。ただし、鉱物油用に設計されたブレーキシステムには使用できない。

ブレーキの不可は小さい

ライダーは、オーストラリアのコースにある12のコーナーのうち、スタートラインを過ぎた最初の4コーナーのうち3つを含む7つのコーナーでブレーキを使用する。1周あたり22秒、つまりレース全体の25%がブレーキを使用するセクションで占められている。これは、時速70km以下で進入する低速コーナー4でのブレーキングによるもので、時速156kmまで減速するのに4.6秒、ブレーキレバーに4.7kgの負荷がかかる。

スタートラインからチェッカーフラッグまで、ライダーがブレーキレバーにかける力をすべて足しても、640kgとなり、全選手権中4番目に低い数値となる。また、太平洋に近いため、カーボンファイバー製のブレーキは最低使用温度に達しないという問題がある。

282メートル、4秒間の減速

フィリップアイランドにある7つのブレーキングセクションのうち、ブレーキへの負担が大きいものはなく、2つが中程度の難易度、残りの5つは軽度の難易度となっている。MotoGPの場合、時速344kmから時速181kmまで4.1秒で減速し、その間にライダーはレバーに4.3kgの荷重をかけ、1.5Gの減速を強いられる。[adchord]

(Photo courtesy of brembo)

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