MotoGP第10戦ドイツGPのTissotスプリントは、マルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)が最終ラップでマルコ・ベッツェッキ(アプリリア・レーシング)を交わし、今季スプリント8勝目を挙げた。3位にはファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)が入り、2023年オランダGP以来のスプリント表彰台を獲得した。

ターン1でミスをするも冷静な巻き返し

ポールポジションからスタートしたマルケスは好発進を見せたが、ターン1で大きくワイドに入り順位を落とす。一時は5番手、続いて8コーナーでファビオ・ディ・ジャンアントニオ(プルタミナ・エンデューロVR46)に抜かれ6番手に後退した。

先頭に立ったのはベッツェッキ。後方にはフランコ・モルビデリ(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)が0.6秒差で続き、7番グリッドからスタートしたクアルタラロが3番手に浮上した。一方でヨハン・ザルコ(CASTROLホンダLCR)は10番手に後退。リアにミディアムウェットを選択したタイヤチョイスが影響した可能性もある。

3周目、モルビデリが8コーナーで転倒し、クアルタラロが2位に浮上。その後2周にわたりクアルタラロは全体ベストを記録し、5周目終了時点で首位ベッツェッキとの差は1.5秒に縮まった。その頃、マルケスはディ・ジャンアントニオを攻略し、ペドロ・アコスタ(レッドブルKTMファクトリーレーシング)も続いてポジションアップ。

追撃開始、そして逆転へ

ディ・ジャンアントニオをパスして以降、マルケスは全体最速のペースで走行。7周目開始時点でベッツェッキとの差は2.4秒、クアルタラロとの差は1.2秒。8周目にマルケスは1コーナーでクアルタラロを捉えて2番手に浮上。

この時点でベッツェッキのリードは1.6秒。10周目には1.3秒へと縮まり、ベッツェッキも懸命に応戦したが、トップとの差はみるみる縮まった。残り4周で0.5秒差、3周を残して両者の差は事実上ゼロとなった。

最終ラップで勝負は決着

最終ラップ、マルケスは1コーナーで一度はオーバーランしかけたが、外側から粘り、2コーナーでインに入り首位を奪取。ベッツェッキは反撃を試みたが、左コーナーが続く中でのマルケスの速さには太刀打ちできず、そのままマルク・マルケスが優勝。ベッツェッキは悔しさの残る2位となったが、アプリリアにとっては大きな一歩となる表彰台となった。3位には終盤ディ・ジャンアントニオの猛追を振り切ったクアルタラロ。ヤマハにとって久々のスプリント表彰台獲得となった。

4位は0.3秒差で表彰台を逃したディ・ジャンアントニオ。5位にはジャック・ミラー(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)が入り、ヤマハにとって好調な土曜日となった。ブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリーレーシング)はザルコとアレックス・マルケス(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)を抑えてフィニッシュ。手の骨折を抱えるアレックスは10ポイントを失う痛手となった。最後の1ポイントは、コースアウトから立て直したアコスタが獲得した。

優勝マルク・マルケス

「スタート直後にターン1でワイドに入ってしまい、序盤はかなり苦しかったですが、自分のペースを信じて落ち着いて走りました。コンディションは難しかったですが、マシンのフィーリングが良かったので、最後まで攻め続けることができました。サクスリンクで再び勝てて本当に嬉しいです」

2位 マルコ・ベッツェッキ

「自分のベストを尽くしたつもりですが、最後の数周はかなりプレッシャーがありました。マルクのペースが非常に良くて、自分ではどうにもできない部分もありました。それでもアプリリアで表彰台に上がれたことはチームにとっても自分にとっても大きな成果だと思います」

3位 ファビオ・クアルタラロ

「久しぶりの表彰台で、とても嬉しいです。序盤からいいペースで走れましたし、マシンの感触も良かったです。ここまで長い間、表彰台から遠ざかっていたので、自分にとってもチームにとってもポジティブな結果になりました」