記念すべきWorldSBK第1000戦は、天候のいたずらと戦略の明暗が勝敗を分ける混戦となった。バラトン・パーク・サーキットは朝の雨で濡れた路面が残る難コンディションに。そんな中、トプラック・ラズガットリオグル(ROKiT BMW Motorrad WorldSBK Team)が今季14勝目、そして8連勝を達成し、シリーズの新たな節目にその名を刻んだ。

勝負を分けた選択:ラズガットリオグルはスリック、ブレガはインターミディエイト
ラズガットリオグルはポールポジションから好スタートを切ったものの、3周目にサム・ロウズ(ELF Marc VDS Racing Team)とダニーロ・ペトルッチ(Barni Spark Racing Team)に一時先行を許す展開に。しかし、終盤の勝負どころで再びリズムを取り戻すと、1分40秒台の連続ラップを記録して再逆転。そのままトップでチェッカーを受け、カワサキで800戦目、ヤマハで900戦目、そしてBMWで1000戦目と、3メーカーで節目の勝利を重ねるという前人未到の偉業を達成した。
一方、タイトル争いを繰り広げるニコロ・ブレガ(Aruba.it Racing - Ducati)は、直前のタイヤ選択で前後ともインターミディエイトを選択。この判断が裏目に出て、レース中盤以降に大きく順位を落とし、13位でフィニッシュ。WorldSBKキャリアで初めて完走してノーポイントという苦い記録となった。
ロウズがキャリアベスト更新、バウティスタは表彰台常連の記録更新へ
2位にはサム・ロウズが入り、これでスーパーポールレースでの3度目の表彰台。終盤までラズガットリオグルに食らいつき、初優勝に迫る走りを見せたが、あと一歩及ばず。3位にはアルヴァロ・バウティスタ(Aruba.it Racing - Ducati)が入り、表彰台獲得は通算83回目となった。これはジョナサン・レイとラズガットリオグルが持つ85回に次ぐ歴代2位の記録。
中団バトルも激化:ヴィエルへが今季ベスト、ビモータ勢も健闘
アンドレア・ロカテリ(Pata Maxus Yamaha)は好スタートを切るも、表彰台には届かず4位でゴール。シャビ・ヴィエルへ(Honda HRC)は5位で今季ベストタイを記録。アクセル・バッサーニ(bimota by Kawasaki Racing Team)は堅実に走り切り、6位でビモータ勢をリードした。
イギリス勢の奮闘:ヴィッカーズが自己最高7位、マッケンジーも躍進
ライアン・ヴィッカーズ(Motocorsa Racing)は朝のウォームアップで3位タイムを記録し、その勢いのままスーパーポールレースでも自己最高の7位。タラン・マッケンジー(PETRONAS MIE Honda Racing Team)は8位でキャリアベストを更新。9位にはジョナサン・レイ(Pata Maxus Yamaha)が続き、かろうじてポイント圏内に滑り込んだ。
ペトルッチはタイヤ選択で明暗分かれ10位、アレックス・ロウズは失速
ペトルッチはインターミディエイトタイヤでスタートし、一時は上位を走行。しかしコンディションに合わずペースを維持できずに10位に後退。ドミニク・エガーター(GYTR GRT Yamaha WorldSBK Team)は最後までレアと競り合い11位。アレックス・ロウズ(bimota by Kawasaki Racing Team)はペースが上がらず12位でレースを終えた。
モンテッラ転倒、ラバトはリタイア ブレガにとっては苦い1000戦目に
ブレガは最終的に13位でゴールし、完走したレースで初めてポイントを逃す屈辱の結果。ヤリ・モンテッラ(Barni Spark Racing Team)は3周目のターン14で転倒し、上位走行中にリタイア。ティト・ラバト(PETRONAS MIE Honda Racing Team)もレース終盤にリタイアとなった。