ワールドスーパーバイク(WorldSBK)第999戦は、スタート直後の多重クラッシュで赤旗中断となる波乱の展開から始まった。再スタート後、王者トプラック・ラズガットリオグル(ROKiT BMW Motorrad WorldSBK Team)が圧巻の走りでバラトン戦を制し、今季13勝目、BMWでの通算31勝目を飾った。これにより、コーリン・エドワーズ(ホンダ)のキャリア勝利数と並び、通算70勝に到達。表彰台はニコロ・ブレガ(Aruba.it Racing – Ducati)、アルヴァロ・バウティスタ(同チーム)が続いた。

レース序盤の混乱:ターン2で7台がクラッシュ、赤旗中断へ
レースのスタート直後、ターン2に進入した直後に7台が絡む多重クラッシュが発生。アンドレア・イアンノーネ(Team Pata Go Eleven)、ダニーロ・ペトルッチ(Barni Spark Racing Team)、ヤリ・モンテッラ(同チーム)、ライアン・ヴィッカーズ(Motocorsa Racing)、イケル・レクオナ(Honda HRC)、レミー・ガードナー(GYTR GRT Yamaha WorldSBK Team)、ギャレット・ガーロフ(Kawasaki WorldSBK Team)が転倒。イアンノーネには「危険なライディング」により再スタートレースでダブル・ロングラップペナルティが科された。再スタートにはヴィッカーズが不参加、レクオナは左手首の骨折、ガードナーは背部打撲と脳震盪の疑いで病院に搬送され、いずれも出走不能と診断された。
再スタート後はラズガットリオグルの独走劇
2回目のスタートでホールショットを決めたのはラズガットリオグル。ターン1を先頭で抜けると、アンドレア・ロカテリ(Pata Maxus Yamaha)とサム・ロウズ(ELF Marc VDS Racing Team)を引き離し、6周目には3.1秒以上のリードを築いていた。ラップ7でロウズが転倒し、ブレガが2位浮上。さらにラップ9ではバウティスタがターン9のブレーキングでロカテリを鮮やかに攻略し、3位表彰台を獲得した。
ペトルッチが最後尾から5位まで猛追、ロウズは追撃及ばず
ロカテリはスタート直後の好走も束の間、ブレガとバウティスタに抜かれて4位後退。一方、再スタート時にピット出口の1分ルールを逃したペトルッチは最後尾スタートから怒涛の追い上げを見せ、本来のグリッドポジションだった5位でフィニッシュ。アレックス・ロウズ(bimota by Kawasaki Racing Team)はペトルッチに抜かれた後、再逆転できず6位に終わった。これにより、上位6名に4メーカーが並ぶ結果となった。
中団の激闘:モンテッラが接戦制す、レアは2度の転倒で失速
サム・ロウズの転倒により繰り上がった7位争いでは、ジョナサン・レイ(Pata Maxus Yamaha)、モンテッラ、シャビ・ヴィエルへ(Honda HRC)、ガーロフが激しいバトルを展開。だがレアは残り6周でターン1にて1度目の転倒、さらにラップ16のターン4で2度目のクラッシュ。脱落したレアをよそに、モンテッラがP7、ヴィエルへがP8、ガーロフがP9でチェッカーを受けた。アクセル・バッサーニ(bimota by Kawasaki Racing Team)は序盤のミスを挽回し10位フィニッシュ。
その他ポイント圏:イアンノーネが13位、マッケンジーが新チームで初入賞
ペナルティを受けたイアンノーネは堅実な走りで13位に食い込み、ポイントを確保。タラン・マッケンジー(BONOVO MGM Action)はDucatiでの初戦を14位で終え、ポイントデビューを果たした。バハッティン・ソフォーグル(Yamaha Motoxracing WorldSBK Team)が15位で最後のポイント圏に滑り込んだ。