Ducatiへの移籍を経て、マルク・マルケスが抱く新シーズンへの期待と課題

マルク・マルケスは、今季プレシーズンを通じて、従来のバイク開発からDucatiへの適応へと焦点を移した。Ducatiのトップライダーたちからの学びを深めながら、まだ優勝や表彰台を目指せる段階ではないと認識しているが、チームとの連携を深め、新しい挑戦に対する自信を持っている。ペドロのような若い才能あるライダーたちからの刺激を受けつつ、自己の実力と競争力を再確認する機会としてこのシーズンを捉えている。

マルク・マルケス

「今年は今までと異なるプレシーズンでした。今まではバイクの開発を主に行ってきましたが、今年の冬はバイクのライディングに自分のスタイルを合わせることを焦点にしてきました。最初の感触は悪くありませんが、まだやるべきことはあります。Ducatiのトップライダー達から多くを学ぶ必要があると思っていて、現時点では表彰台、優勝は狙えませんがベースを作り上げて自分たちの立ち位置を確認したいですね。」

「最初からDucatiマネジメントからのサポートは感じています。もしサポートを感じていなければそもそも移籍を決意しません。Gresniチームで2023年型ですが、これは移籍を決断する前からわかっていたことです。彼らからはリスペクトを感じていますし、そういう状態であることは自信に繋がりますね。」

「ファクトリーとサテライトの違いは大きいです。まずはチームのやり方に慣れていくことが重要でしょう。ただ、自分が知っている別のやり方のほうが良いと思えば、それは両者の相談になるでしょう。いずれにしても最初のレースを通じてタイヤ戦略、燃料戦略、エレクトロニクス、その他の戦略については共に理解を深めて行く必要があります。ただ、別のメーカー、別のバイクですし、このバイクで別のライダーが優勝しているわけです。それはつまり彼らのやり方は正しいということですからね。」

「ペドロの才能には疑いがありません。Moto3、Moto2でのスピード、それからテストでも素晴らしいスピードがありました。才能のあるライダーであればMotoGPバイクでもすぐにスピードを発揮するものです。過去にも多くのルーキーが表彰台、優勝を達成してきました。彼は自分のレコードを破ることが出来るでしょう。」

「彼は今後のMotoGPの主役になっていくでしょう。自分への期待も高まっていますが、自分は過去4年間の苦戦もありますし、このレースで優勝を狙うようなことをすべきではありません。過去2年間はGPレースでの優勝はありませんしね。まずはベースを作り上げていくことが重要です。」

「Ducatiではペッコ、マルティン、バスティアニーニがスピードを発揮していますから、彼らから学ぶ必要があるでしょう。そして何よりも全てのライダーにはモーメントがあって、全盛期を過ぎるとパフォーマンスは落ちていってしまうものです。これに抗うためにはハードに努力して戦闘力をフラットに保つ必要があります。」

「そうしている間に若いライダーが台頭してくるわけです。ファビオはペトロナスで素晴らしいスピードを発揮していましたし、ペドロ、ペッコ、マルティンなどの若いライダーのほうがスピードがあるわけです。彼ら若いライダー達から学び、自分のレベルを出来る限り長く維持したいと思います。」

「自分の実力が低下しているかどうかは今年わかるでしょう。昨年は苦戦しながらホンダではトップでした。7年間で6回チャンピオンシップ優勝し、3位が一回でした。2020年からは悪夢が続いてきましたが、今年は自分でも疑問に思っている今の実力を確かめることが出来るでしょう。」

「ただ時間はありますから1戦目ですべての疑問に答える必要はないと思っています。ステップ・バイ・ステップで進んでいきます。自分が望んでいるのは競争力を感じることで、これは消してチャンピオンシップ優勝ではなく、トップ5、6で戦うことです。」

「今週末はテストと違いレースウィークエンドです。自分は未だに本能的なライディングはホンダのままですので、こうしたプレッシャーがかかる状況において、本能的なライディングがホンダ時代のままであることは少し心配です。常に自分ではなくバイクが何を望むかを考えながらライディングしています。」

「今年のタイヤ空気圧はフロントが1.8bar(昨年は1.88bar)になることに関してはしっかりと対応して行く必要があります。ただ誰かの後ろで走行すればタイヤ空気圧は大きく上昇していきますし、タイヤ空気圧が低すぎることも高すぎることもパフォーマンス悪化に繋がります。ちょうど良い妥協点が必要でしょうね。」

(Photo courtesy of michelin)