ドゥカティ、モトクロスへの歴史的一歩──Desmo450 MXがボルゴ・パニガーレ工場からラインオフ

2025年5月26日、イタリア・ボルゴ・パニガーレ──ドゥカティにとって記念すべき日となった。ブランド史上初となるモトクロスマシン「Desmo450 MX」の量産が開始された。フランスGPでジェレミー・シーワーが2度目の表彰台を獲得した直後、初号機が組み上がり、工場からラインオフ。開発に深く関わったトニー・カイローリや、デビュー戦で初勝利と国内タイトルをもたらしたアレッサンドロ・ルピーノもセレモニーに参加した。

プロからアマチュアまで対応──軽快で扱いやすく、限界まで攻められる一台

Desmo450 MXは、プロフェッショナルとアマチュアの両方を想定して開発され、軽さ・パワー・信頼性を兼ね備えたレース仕様マシン。特に、ドゥカティならではのデスモドロミック機構と、セグメント初となるリアスリップ量を正確に測定可能なトラクションコントロールを搭載している点で、他のモトクロスマシンとは一線を画す。

また、パワーの出方が非常に扱いやすく、低~中回転域でのトルクと高回転域での伸びを両立。結果として、シフトの選択肢が増え、コーナー立ち上がりやスタートでの優位性が得られる。さらに、溶接箇所を最小限に抑えた軽量アルミフレームにより、剛性と軽さの両立も実現している。

MXGPスペックに近づける純正パーツ群とファクトリールックのアパレル展開

Desmo450 MXは、単なる市販モデルにとどまらない。ジェレミー・シーワーやマッティア・グァダニーニがMXGPで使用するマシンに近づけるため、Ducati Performanceカタログには多彩な純正パーツが揃う。CNC削り出しのファクトリー仕様ホイールハブやトリプルクランプ、アクラポヴィッチ製チタン製スリップオン、ブレンボレーシングキャリパーなど、パフォーマンスアップの選択肢が豊富に用意されている。

また、ファクトリールックを完成させるために、Drudi Performanceとコラボしたアパレルコレクションも展開。アルパインスターズ製のジャージ/パンツ/グローブ/ブーツセット、Arai製ヘルメット、ウィンドベスト、ソフトシェル、レインジャケットなど、レーススタイルをトータルで揃えられる。

ドゥカティCEOクラウディオ・ドメニカーリ

「私たちはドゥカティの企業文化において本質的な特徴を探しました。その中で、レーシングの世界と市販車の世界が非常に近いという点を再認識しました。そして、社内には多くのオフロード愛好者がいるという事実にも気付きました。こうしたすべてが、Desmo450 MXという“誰にでも扱いやすく、それでいて高性能なバイク”の実現につながりました。」

販売開始時期と今後の展開

Desmo450 MXは、2025年7月より欧州の一部ディーラーで販売開始。その後、北米、そして全世界へと展開が予定されている。ドゥカティ公式YouTubeチャンネルでは、Desmo450 MXの紹介動画を視聴可能。

(Photo courtesy of Ducati)