バジャージがKTMの経営権を完全取得
バジャージ・オートは10月23日、子会社バジャージ・オート・インターナショナル・ホールディングス(BAIH)を通じ、KTMを傘下に持つオーストリアの合弁会社の株式を追加取得。出資比率をこれまでの49.9%から100%へと引き上げ、完全経営権を取得したことを発表した。

この買収は、オーストリア競争庁(BWB)、オーストリア買収委員会による承認を得て正式に完了。これにより、KTMは完全にバジャージの支配下に入り、財務・運営両面での再構築が進められている。KTMの経営権を完全取得したインドの二輪車大手バジャージ・オートは、同社の事業再建に向けて大規模なコスト削減策を打ち出しており、その対象にはMotoGPを含むレース部門も含まれている。バジャージの方針は明確で、研究開発・マーケティング・オペレーション・一般管理費といった全社的な諸経費の50%以上削減を目標としており、これには競技部門も例外ではない。
特に問題となっているのは、従業員構成や管理体制の非効率性だ。現在、KTMの人員は約4000人だが、そのうち実際に製造を担うブルーカラーの従業員は1000人に過ぎず、残り3000人がホワイトカラーだという。これに対してバジャージは「管理職を管理するための管理職」という過剰な組織構造を批判しており、管理部門を中心とした抜本的な再編・人員削減が進められる見通しだ。
しかしKTM側はチームの主導権は渡さないと発言しており、株主であるバジャージと現場経営陣との間にある方針のズレは、KTMのレース部門、特にMotoGPプロジェクトにとって不確実性と不安定さを生む大きな要因となっている。たとえ外部出資によって短期的な資金面の安定が確保されたとしても、今後の予算配分や人員体制、開発方針に関しては依然として不透明なままだ。チームの独立性をどこまで維持できるのか、MotoGP活動が今後も中長期的に企業戦略に組み込まれるのか?その方向性は、バジャージの経営判断に大きく左右される状況が続いている。
KTM CEO ゴットフリート・ノイマイスター
「MotoGPプロジェクトに参画したいという投資家から、非常に大きな関心が寄せられてます。たとえば運営コストの30%を負担できるようなパートナーは歓迎です。ただし、我々がチームの主導権を手放すことは決してありません。関心の高さゆえにプロセスは長引いていますが、我々は意図的に慎重な姿勢をとっています。重要なのは資金だけではなく、信頼関係と相性です。すでに複数の投資家と個人的に話し合いを重ねてきました。クリスマス前に契約を締結できる可能性は十分にあります。今回の目的は2026年以降に向けた強固な体制の確保にあります。」
中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近はまた乾式クラッチのDucatiに乗りたいと思っています。