ドゥカティ本社で開催された歴史的セレブレーション
ドゥカティは、マルク・マルケスのMotoGP制覇と2025年シーズンの数々の競技的成功を祝し、ボルゴ・パニガーレ本社工場において特別イベントを開催した。このイベントでは、同社ライダーたちが主役となり、工場内を走行する前代未聞のパレードが実現した。

7度目の世界王座と記念モデルの初公開
この日ドゥカティは、マルク・マルケスにとって7度目となるMotoGP世界タイトル、そしてドゥカティにとっては4年連続、通算5度目のライダーズタイトル獲得を記念し、「パニガーレV4 マルケス 2025 ワールドチャンピオン・レプリカ」を初公開した。このモデルはわずか293台限定で生産されるコレクターズアイテムで、MotoGPに着想を得た専用リバリーと特別装備を採用している。
この勝利はチームワークの価値を象徴するものでもあり、ドゥカティは日々“赤い夢”を二輪に込めて作り上げる社員たちこそが最大のファンであるとして、その功績に敬意を表した。MotoGP、スーパーバイク、モトクロスという世界最高峰の舞台で2025年に活躍したライダーたちが一堂に会し、ボルゴ・パニガーレは祝賀ムードに包まれた。
各カテゴリーのトップライダーが集結
会場には、マルク・マルケスとフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)、アレックス・マルケスとフェルミン・アルデゲル(BK8グレシーニ・レーシング)、ファビオ・ディ・ジャンアントニオ(ペルタミナ・エンデューロVR46レーシング)、ニコロ・ブレガ(Aruba.itレーシング・ドゥカティ)、さらにミケーレ・ピロ、モトクロスのトニー・カイローリ、アレッサンドロ・ルピーノ、ジェレミー・スィーワー、そしてMX2のフェルッチョ・ザンキ、EMX250のシモーネ・マンチーニが集結した。
公式レースマシンによる圧巻のパレード
この中でも最大の見どころとなったのが、公式レースマシンによるパレードだ。マルク・マルケス、バニャイア、アレックス・マルケス、アルデゲル、ディ・ジャンアントニオはデスモセディチGPで、ニコロ・ブレガはパニガーレV4Rスーパーバイクで、カイローリとスィーワーはデスモ450 MX、ルピーノはデスモ250 MXで走行。工場敷地内を1周する栄誉周回は大きな拍手と歓声に包まれ、会社そのものが一瞬で祝祭の場へと変貌した。ボルゴ・パニガーレから世界のサーキットへと続く一本の糸を、誰もが強く実感する瞬間だった。
マルケスの偉業を称える特別な1台
イベントの幕開けを飾ったのが、パニガーレV4 マルケス 2025 ワールドチャンピオン・レプリカの発表だ。293台すべてにシリアルナンバーが与えられ、タンクカバーにはマルク・マルケス本人の直筆サインが入る。このマシンは、6年という史上最長のブランクを経て再び世界王者に返り咲いたスペイン人チャンピオンの偉業を称える存在であり、これまで誰も成し得なかった記録でもある。
2025年MotoGP王者のマシンをイメージした専用リバリーを纏い、ベースとなるパニガーレV4 Sよりも軽量かつ高出力を実現。標準装備される数々の専用コンポーネントにより、MotoGPにより近い存在へと昇華し、サーキット性能を大幅に高めている。
公道走行可能なアクラポヴィッチ製サイレンサーの採用により、重量は2.5kg軽減され、専用エンジンマッピングによって最高出力は218.5馬力に達する。さらに、2021年にドゥカティがMotoGPへ導入したコーナーサイドポッドを装備。深いバンク角でもグラウンドエフェクトを発生させ、タイヤグリップを向上させることで、より高い旋回速度とラップタイム短縮を可能にしている。
5スポークのカーボンファイバーホイールは、鍛造ホイール比で0.95kgの軽量化を実現し、慣性モーメントをフロントで12%、リアで19%低減。切り返しの俊敏性と、加速時におけるトラクション性能を大きく向上させている。
ブレーキには公道対応のフロントブレーキPRO+システムを採用。338.5mm径、厚さ6.2mmのブレンボT-Driveディスクと、削り出しのGP4スポーツ・プロダクションキャリパーを組み合わせ、2024年レース・オブ・チャンピオンズでファクトリーライダーが使用した仕様をベースとしている。マスターシリンダーにはMotoGPやスーパーバイクと同様のMCS 19.21を装備する。
このほか、乾式クラッチ、調整式ビレットアルミフットペグ、GPSモジュールを標準装備。サーキット走行向けとして、ビレットアルミ製レーシングタンクキャップ、ブレーキキャリパー用エアダクト、オープンカーボンクラッチカバー、ナンバープレートホルダー取り外しキットも付属する。アルカンターラシートやレーシングスクリーン、専用キーオンアニメーションにより、特別な所有体験を演出する。車両は専用デザインの木製クレートで納車される。
コレクターズアイテムとしての完成度
トップブリッジにはモデル名とシリアルナンバーが刻まれ、イグニッションキーにも同様の刻印が施される。真正性証明書と専用バイクカバーも付属し、すべてが特別なボックスに収められる。
将来のオーナーは、2026年MotoGPのいずれかのラウンド、または2026年ワールド・ドゥカティ・ウィーク(7月3〜5日)において、マルク・マルケス本人との記念撮影という特別な機会を得ることができる。
公式メディアで公開される詳細情報
ドゥカティ公式サイトには専用ページが開設され、全情報を掲載。車両画像はドゥカティ・メディアハウス、プレゼンテーション動画はドゥカティ公式YouTubeチャンネルで公開されている。
パニガーレV4 マルケス ワールドチャンピオン・レプリカ 概要
・293台限定生産
・1103cc デスモセディチ・ストラダーレエンジン
・最高出力 218.5馬力 / 13,500rpm
・最大トルク 122.1Nm / 11,250rpm
・乾燥重量(燃料除く)186.5kg
・カーボンファイバーホイール
・Front Brake PRO+ システム ほか
2025年MotoGPにおけるドゥカティの支配
・ライダーズランキング1位・2位
・トップ8に6台のドゥカティ
・全タイトル制覇(ライダー、チーム、コンストラクター、インディペンデント、ルーキー)
・17勝、44表彰台
・88戦連続表彰台(2021年アラゴン〜2025年バレンシア)という史上最多記録
・トリプルクラウン3度目(2007年、2022年、2025年)
中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近はまた乾式クラッチのDucatiに乗りたいと思っています。