
ゼロからの挑戦、加速するヤマハの変革 V4投入で新章突入へ
ヤマハは2025年を通じてM1の刷新に取り組み、並行して従来型と新型の開発を推し進めてきた。その成果として2026年からは完全にV4プラットフォームに集中する体制が整い、新たな章が始まる。鷲見崇宏氏は進化に必要なのは規律と献身、そして全体がコンセプトとデータに忠実であることだと語り、基盤構築のスピードと自信の蓄積を成功の鍵と見ている。ブレーキングや加速など一部で好感触を得ながらも、直列4気筒の完成度にはまだ届かない点もある。しかし全知見を注ぎ込む姿勢に揺るぎはなく、パヴェシオ、メレガリ両氏も「ゼロからの挑戦」による成長に期待を寄せる。セパンでの初テストを前に、チームは確かな手応えとともに新章の幕を開けようとしている。
鷲見崇宏(ヤマハモーターレーシング社長)
「2025年はヤマハにとって変革の1年でした。M1を新しいM1にするための1年となったと言えるでしょう。従来のM1を並行しつつ集中して取り組んだ開発となりました。2026年はV4プラットフォームに完全に集中できる1年となります。新しい章をスタートするのは常にエキサイティングですが、しっかりとケアをしつつ進めていく必要があります。」
「新しい構造の中で進化していくには日本とイタリアのすべてのメンバーが集中して規律を持って献身的に取り組んでいく必要があります。皆はプロジェクトのコンセプト、ビジョン、客観的なデータに忠実である必要があります。我々は今、3つの要素の焦点を当てています。1つは学びの質、基盤構築のスピード、自信の蓄積です。これらすべてがトラック上ので短期的な成功と長期的なプロジェクトの成長を助けるでしょう。」
「V4プラットフォーム開発のターゲットの1つはより広いレンジのパフォーマンスウィンドーを得ることでした。プロジェクト前半においても良い成果を得ることが出来ていました。例えばブレーキングでの安定感、加速、そしてロングランにおけるコンスタントな感触です。実際まだ従来の直列4気筒エンジンのレベルに達していない部分はあります。ただ、現在ヤマハはすべての知識と経験をこのV4エンジンに注いでいます。内部的な成功の定義はトラック上の結果です。同時に開発サイクルの中で確実に前進しているという実感を得ることも成功と言えるでしょう。チームとライダーの相乗アクションのを続けていくことができれば、結果はついてくると感じています。」
パオロ・パヴェシオ(マネージングディレクター/チームプリンシパル)
「鷲見さんが語ってくれたように2025年は2026年の基礎を作り上げるための1年で、2026年は更に加速していきます。2026年は2027年を形づくるための1年でもあり、大きな変革の1年です。27年は26年をベースとして続いていくものです。2026年は我々がこのプロジェクトの注いだ努力の成果を感じられる1年としたいと思っています。2026年がマシンは完全に新しくなっており、世界中のスタッフの努力の成果と言えるものです。このプロジェクトはより高いポテンシャルを秘めていると思っていますし、セパンでのテストが本当に待ち遠しいですね。」
「このスポーツにおいて魔法はありません。そもそもこのスポーツはメカニカルなスポーツですから、時間をかけて取り組んでいくことを受け入れる必要があります。2025年はこれに取り組んでおり、スピードとパフォーマンスを求めていました。M1はスピードを増し、5つのポールポジション、10回のフロントロースタートを記録しました。」
「しかし、ロングレースにおけるコンスタントなスピードには苦戦していたため、鷲見さんが指摘したように新しいパッケージであればより多くのポテンシャルを持っていると考えていますし、シーズンを通じて改善ができると思っています。早くこのパッケージを理解しレースの中でシーズンを通じて改善していきたいと思います。この新しいマシンを素早く理解していきたいですし、ライダー達も同様にすぐに乗りたいと思っているでしょう。新しいM1はシーズンを通じて成長していくポテンシャルを持っていると思います。」
マイオ・メレガリ(チームディレクター)
「新しいバイクの公開は常に特別な瞬間です。今まで我々が投じてきた多くの仕事の成果と言えるからです。日本、イタリア、トラックで作業してきた皆の努力の結果です。ほぼゼロからのスタートと言えるプロジェクトですからシーズンを2つのパートに分けて結果を考えていく必要があるでしょう。」
「まず前半は新しいバイクを学んでいくフェーズとなり、そこからアレックス、ファビオが徐々に結果を出していくパートになるでしょう。多くの作業が待ち受けていますが、セパンでのテストリストは膨大です。テストの中で5日間程度はドライであることを願っています。このほうが多くのデータを収集することが出来ます。セパンにむけてしっかりと準備をし、セパンを多くの情報を得た状態で後にすることができればと思います。」
中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近はまた乾式クラッチのDucatiに乗りたいと思っています。