イタリアのタイヤメーカー、ピレリはカタールのロサイル・インターナショナル・サーキットでMoto2およびMoto3のレースに復帰する。約1年前、この地で両カテゴリーにおけるグランプリ初参戦を果たしたピレリは、今回も昨年と同じタイヤ構成を投入する。ただしMoto3クラスにおいては、リアに開発タイヤであるC1096ハードが加わる点が唯一の変更点だ。

この変更により、Moto3ではリアタイヤの選択肢が3種類となるため、週末を通して使用可能なリアタイヤの最大本数も規定により1本増え、9本から10本に拡大される。一方、フロントタイヤの使用上限は8本で据え置かれる。

2024年にこのロサイルで行われたレースでは、ほとんどのライダーが前後にミディアムコンパウンドを選択していた。Moto2ではSC1が最多選択タイヤとなったが、表彰台に上がったライダーはいずれもリアにSC0を装着していた。Moto3においてはSC2が基準コンパウンドとして使用された。

ロサイル・サーキットは、タイヤへの負荷が中程度から高めのサーキットであり、特に摩耗の観点で他のサーキットよりも厳しい条件を持つ。加えて、金曜日の初回セッションでは風によって砂が路面に堆積し、タイヤの摩耗をさらに加速させる。ただし、走行が進むにつれて路面が“ラバーアップ”されることでグリップが向上し、コンディションも安定する傾向にある。気温の変化も重要な要素だ。日中と夜間で気温が大きく変動するため、各セッションでの気温差がタイヤ選択と戦略に影響を与えることが予想される。

ピレリ モーターサイクルレース部門ディレクター ジョルジオ・バルビエ

「昨年のカタールは、Moto2およびMoto3における我々の初グランプリでした。シーズン最初のラウンドだったため、ピレリとしてもライダーやチームにとっても正確な基準がない状態での戦いとなり、マシンも前任のタイヤサプライヤー向けに最適化された仕様のままでした。」

「しかし今年は違います。すでに3戦を消化し、さらに我々自身はもちろん、チームとライダーにもピレリタイヤの知見と実戦経験が蓄積されています。それだけでなく、2024年と比べて各車体やフレームの構成も、我々のタイヤにより適応した設計になっています。」

「昨年選んだタイヤ構成が正しかったと考えており、今年もその選定を継続します。そのため、2024年と同様のタイヤが両カテゴリーで提供されます。唯一の違いは、Moto2においてフロントホイールのリムサイズが3.75インチから3.5インチへ変更される点です。」

「配分を変更せずに走行データを比較できることで、昨シーズンと比べてどれだけの進化があったかを明確に確認できます。我々のタイヤが持つ本来のポテンシャルを、タイヤ摩耗が激しいこのサーキットでも証明できると考えています。適切なマシンセッティングさえあれば、よりソフトなコンパウンドであってもその性能を最大限に引き出すことが可能になるでしょう。」

(Photo courtesy of ピレリ(Pirelli))