2025年フランスGP(ル・マン)において、ピレリはMoto2クラスにスペインGP(ヘレス)と同様のタイヤアロケーションを導入する。注目は、スペインでレースデビューを果たしたスーパーソフトコンパウンドのSCXリアタイヤで、同時に新たなスタンダード仕様であるSC0リアタイヤも用意される。

SCXはMoto2における新たなソフトオプションであり、スペインGPでは全ライダーが即座に採用。デニズ・オンジュがオールタイムラップレコードを1秒更新、マヌエル・ゴンザレスはレース最速ラップを7/10秒更新して優勝、さらにレース全体の所要時間を前年より5秒以上短縮した。SCXの性能は、フルレースディスタンスにおいても一貫性を示しており、高評価を得ている。

一方、SC0は従来のD0640開発スペックに基づいたソフトコンパウンドで、特に路面温度が低い状況において効果を発揮すると見られている。ル・マンでは気温や路面温度が変動しやすいため、SCXとSC0の選択は天候次第となる。Moto3クラスでは、前戦と同様に前後輪ともソフトのSC1とミディアムのSC2が提供される。

ジョルジオ・バルビエ(モーターサイクルレーシングディレクター

「ル・マンは、ヘレスで導入したMoto2の新型リアタイヤ——SCXスーパーソフトと新スタンダードのSC0——を異なるサーキットで直接比較する貴重な機会です。SCXはスペインで圧倒的に採用され、予選・決勝ともに旧記録を塗り替えました。WorldSBKでは主力の選択肢であり、Moto2でもすぐに定着したのは当然といえます。高い路面温度が確保されれば、ル・マンの低いタイヤ摩耗特性も相まって、多くのライダーがSCXを使うでしょう。しかし、寒くなればSC0の選択肢も再浮上してくるはずです。」

SCXとSC0の直接比較は、今週末のフランスGPでの重要な焦点となる。ライダーたちがどのような選択をするか、そしてタイムや安定性にどのような影響が出るかに注目が集まる。