マルク・マルケス、激戦制してアラゴン・スプリント優勝
マルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)の独壇場かと思われたアラゴンだったが、予選でラップレコードを叩き出したにもかかわらず、決勝は一筋縄ではいかなかった。マルク・マルケスはスタートでホイールスピンを起こして順位を落とすが、最終的に今季スプリント7勝目を挙げ、弟のアレックス・マルケス(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)を抑えて優勝。3位には同じくグレシーニのフェルミン・アルデゲルが食い込んだ。

SPR優勝マルク・マルケス
「スタートでリアがスピンしてしまいました。あまりポジションを落とさないように工夫したんですが、当初のプランは最初からレースをリードすることでした。アレックスが序盤にプッシュしているのがわかりましたが、ソフトリアでは序盤に自分は弱点があるんですよね。ただ、落ち着いてからフィーリングが良くなってきて完璧な走行が出来ました。明日も同じリズムを保ちたいですね。」
SPR2位アレックス・マルケス
「マルクのスタートが良くなかったこともあって、ギャップを作ろうとしていました。しかしその後のレース展開の中でピットボードで接近されていることはわかりましたので、彼に抜かれた後に最後まで2位を維持する走りを考えていました。明日のロングレースに向けて情報も収集出来ましたが、マルクに明日接近するのは難しいと思っています。」
SPR3位フェルミン・アルデゲル
「今日は改善を模索していましたが、失うものはないのでミディアムリアを試してみたんです。トラック上では唯一の選択かもしれないけど、明日の情報収集のためとチームと話して決めたんです。最終的に素晴らしい形で走行出来て表彰台となりました。スペインの皆さんと祝う表彰台は格別ですね。」
ホールショットはアレックス・マルケス
オープニングラップは波乱の展開となった。マルク・マルケスはスタートで出遅れ、さらにブレーキングエリアで快速スタートを決めたペドロ・アコスタ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)と接触。一時4番手まで後退した。マルクはすぐに巻き返し、アコスタを抜き返して3番手に浮上。一方、ホールショットを奪ったのはアレックス・マルケスで、フランコ・モルビデリ(プルタミナ・エンデューロVR46レーシング・チーム)を引き離して独走状態に持ち込んだ。
後方ではフェルミン・アルデゲルとアコスタが4番手争いを展開。序盤はアコスタが優勢だった。後方ではジャック・ミラー(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)とジョアン・ミル(ホンダHRCカストロール)が接触。ミルはコースアウト後に転倒し、ミラーにはロングラップペナルティが科された。前方ではマルクがモルビデリを攻略し、2番手浮上。弟アレックスの背中を追う展開に持ち込んだ。
アルデゲルvsアコスタ:一歩も譲らぬ接近戦
4周目、アコスタは再びモルビデリへの攻撃を試みたが、第1コーナーで深く入りすぎ、逆にアルデゲルとのバトルに突入。アルデゲルはターン12で先行し、ターン16では再びアコスタが抜き返すもワイドラインを取ってしまい、アルデゲルが4番手を奪還。そのまま表彰台圏内を目指して猛追を開始した。
マルク、兄弟対決を制す
レース中盤、マルクはアレックスとのギャップを詰め、6周目の第1コーナーでついにトップ奪取。アレックスは半周ほど食らいついたものの、ターン7で差を広げられ、以降マルクがペースを掌握した。一方、同じワークスドゥカティのフランチェスコ・バニャイアは序盤で順位を落とし、ターン7でのミスで13番手まで後退。苦しい展開となった。
アルデゲル猛追、マルク独走
残り4周、ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)とマーベリック・ビニャーレス(アプリリア・レーシング)がターン1で激しく争い、スペイン人ライダーがクアルタラロを抜くも、ラインを大きく使ったことでクアルタラロは態勢を崩し、その隙にブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)とマルコ・ベッツェッキ(アプリリア・レーシング)が先行した。
残り3周、アルデゲルはさらにモルビデリに果敢な攻撃を仕掛け、ターン4で見事に3番手へ浮上。モルビデリはファイナルラップでアコスタから4位を死守したが、首位マルク・マルケスはその背後を寄せ付けず、スプリント勝利を達成。ランキングリードを27ポイントに広げ、ムジェロへ首位のまま乗り込むことが確定した。2位はアレックス・マルケス、3位にアルデゲルが入り、グレシーニはアラゴンでダブル表彰台を達成。アレックスにとってはルーキーイヤー2度目のスプリント表彰台となった。
KTM健闘、ベッツェッキ見事な追い上げ
モルビデリはアコスタの終盤の猛追を振り切り4位フィニッシュ。アコスタは6番手からスタートしたファビオ・ディ・ジャンアントニオ(プルタミナ・エンデューロVR46レーシング・チーム)に終盤猛追されるも、5位を死守した。ビニャーレスが7位、マルコ・ベッツェッキは予選20番手から驚異的な追い上げで8位フィニッシュ。シルバーストーン後のアプリリアの速さを改めて証明した。最後のポイントはブラッド・ビンダーが獲得。タイ以来初のスプリントポイントとなった。ラウル・フェルナンデス(トラックハウスMotoGPチーム)は惜しくも10位、ペッコ・バニャイアは12位に沈んだ。