サンマリノGP マルケスが優勝 ベッツェッキの転倒でマルクがタイトル争いの首位へ

ベッツェッキの転倒でレースが激変

サンマリノGPの決勝レースではマルコ・ベッツェッキ(アプリリア・レーシング)が1周目にトップ走行中に転倒。現世界チャンピオンのマルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)がこれに乗じ、今季初めてMotoGP世界選手権の首位に立つとともに、MotoGP通算78勝目を手にした。イタリアGP後には「もうタイトル争いから脱落した」と語っていたマルク・マルケスだが、もはやそうではない。

2位はアレックス・マルケス(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)。グリッド9番手から追い上げ、ミザノでは兄を最後まで追い詰めた。グレシーニ・レーシングのホームレースにあたるこの一戦で、チームはマルコ・シモンチェリへのトリビュートカラーリングを纏った。表彰台の3番目に立ったのは圧巻の走りを見せたペドロ・アコスタ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)。レース前にチャンピオンシップリーダーだったホルヘ・マルティン(アプリリア・レーシング)は5位に終わり、ホルヘ・マルティンはオーストリアへ総合2位で向かうことになったが、現チャンピオンとはポイント差なしの同点だ。

1周目の大波乱:ベッツェッキが転倒

アラゴンとは違い、また前日のスプリントとも違い、ベッツェッキはターン1でマルク・マルケスを抑えてトップを守った。マルク・マルケスはP2を維持したまま、序盤の4分の3周はチャンスをつかめなかった。しかしターン13で、地元の英雄にしてGPリーダー、タイトル争いの一角であるベッツェッキが1周目に転倒してしまった。

最大級のドラマだった。ベッツェッキのフロントが限界を超え、重要な25ポイントを獲得する大きなチャンスは水の泡となった。幸いベッツェッキ本人に怪我はなかったが、またしても序盤での痛恨の転倒となった。2026年のタイトル争いにとって計り知れない痛手であり、ミザノのマルク・マルケスにとっては棚ぼた以外の何物でもなかった。マルク・マルケスはトップに立ち、チームメイトのマルティンはP2につけた。

マルティンが仕掛ける

この状況で、マルク・マルケスはタイトルライバルのマルティンを前に先頭に立ち、5周目には両者のギャップはわずか0.4秒だった。アコスタはアレックス・マルケスと激しいバトルを繰り広げ、最終的にアレックスが同国人を抑えてトップ2を追いかけ始めた。

そのマルティンは7周目、アプリリアに歓声をもたらした。ターン4でマルティンがマルク・マルケスのインに飛び込んでトップを奪取。現世界チャンピオンは反撃に出ることなく、今度はアレックス・マルケスが背後に迫ってきた。ティソ・スプリントの勝者は序盤に苦しんでいたのか、それとも冷静に我慢していたのか。

マルク・マルケスが反撃、マルティンが後退

数周後、答えが見えてきた。#93は数周にわたって自己ベストラップを刻んで差を縮め、12周目のターン6でマルク・マルケスがマルティンからレースリードを奪い返した。

その後数周でマルク・マルケスのリードは0.7秒まで広がり、さらにアプリリアとマルティンにとって悪い知らせが続いた。14周目のターン6でアレックス・マルケスが仕掛けてP2を奪取。元GPリーダーのマルティンは突然P3に後退し、アコスタが猛烈な勢いで表彰台争いに加わってきた。

16周目、アコスタは表彰台争いに加わるどころか、強引に割り込んできた。ターン8でアコスタが仕掛けてP3に浮上し、マルティンを表彰台圏外へ押し出した。マルク・マルケスにとってはさらに朗報で、ターン6の立ち上がりでアレックス・マルケスがシートから浮き上がったすきにリードが1秒超に拡大。さらにBK8グレシーニ・レーシングMotoGPの2台目、フェルミン・アルデゲルがマルティンのP4を脅かし始めた。

その脅威はすぐに現実となり、またしてもターン6でドゥカティがアプリリアのインに飛び込んだ。これが意味することは何か。マルク・マルケスとマルティンが選手権首位でポイント並んだということだ。

チェッカーへ向けての最終盤

ただし、マルク・マルケスは先頭で完全に安心できる状況ではなかった。残り5周でアレックス・マルケスが数十分の1秒を削り取り、兄との差を0.5秒まで縮めた。P3のアコスタもアレックス・マルケスから1.1秒差と遠くなく、しかもKTMのスターが3人の中で最速だった。

残り2周での差は0.5秒。グレシーニのホームラウンドで勝利を狙うには、アレックス・マルケスにとって十分な差ではなかった。新たな世界選手権リーダーとなったマルク・マルケスは、アウェーの地でも冷静さを保ち、MotoGP通算78勝目を飾った。ドゥカティとマルク・マルケスにとって、ミザノでの夢のような週末となった。ル・マンでのクラッシュによるタイトル争い脱落から、現世界チャンピオンは2025年のタイトル獲得以来初めて世界の頂点に返り咲いた。まさに劇的な逆転劇だ。

今季怪我に苦しんできたアレックス・マルケスにとって、スーパー・シック(マルコ・シモンチェリ)にインスパイアされた特別カラーリングを纏ったこの日のP2と日曜日のペースは、格別な意味を持つだろう。そしてアコスタはどうか。RC16を限界まで駆り、アラゴンGPの表彰台に続いて今季5度目の表彰台をミザノでも手にした。

ミザノのポイント獲得者

今季怪我に悩まされてきたもう一人のライダー、アルデゲルにとって、ミザノでのP4は印象的な結果だった。マルティンはP5でフィニッシュ。結果だけ見れば完全な惨敗とは言えないが、選手権の文脈では重くのしかかる一戦だ。それでも次週のオーストリアGPを前に、マルク・マルケスとポイントで並んでいる。ただ、アプリリアには早急な巻き返しが求められることは間違いない。

その他の結果として、ラウル・フェルナンデス(スーパーファイル・トラックハウスMotoGPチーム)がP6、ファビオ・ディ・ジャンナントニオ(ペルタミナ・エンデューロVR46レーシングチーム)は難しい1周目から挽回してP7、エネア・バスティアニーニ(レッドブルKTMテック3)、ルカ・マリーニ(ホンダHRCカストロール)、ファビオ・クアルタラロ(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)がトップ10を締めくくった。

残りのポイントは、ブラッド・ビンダー(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)がP11、トプラック・ラズガットリオグル(プリマ・プラマック・ヤマハMotoGP)がP12、フランコ・モルビデッリ(ペルタミナ・エンデューロVR46レーシングチーム)がP13、ポル・エスパルガロ(レッドブルKTMテック3)がP14で獲得した。

ベッツェッキと同様に、フランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)もホームグランプリをグラベルで終えることとなり、地元ファンにとって失望の日曜日となった。バニャイアにとってはまたしても忘れたい週末だ。