ヨハン・ザルコとKTMの2年契約が正式に発表となった事を受けて、テック3のエルヴェ・ポンシャラルがインタビューに答えています。ザルコとテック3がKTMを選んだのは偶然だったこと、KTMのジュニアチームとしての位置づけ、テック3の2019年のライダーラインナップ、Moto2クラスでもKTMを使用する可能性、そして今シーズンの初優勝への意気込みなどを語っています。

エルヴェ・ポンシャラル

「ヨハンがKTMファクトリーに移籍してしまうという事実は、彼との関係はテック3史上最高のものでしたので、正直非常に残念です。トラックの中でも外でも素晴らしい関係がありました。もちろんこれからの16戦でも素晴らしい関係を維持することが出来るでしょう。彼がマネージャーを通してKTMと契約交渉を行ったこと、テック3がKTMと契約交渉を行ったことは全く別で、テック3は2019年から今後3年間KTMのジュニアチームという事になります。ですから、彼とも少し話をしたんですが、こうしてテック3とザルコが結局は同じメーカーを選んだというのは面白い事だと思います。」

「もちろんKTMのMotoGP組織の中では、彼とテック3は全く別です。KTMのフルファクトリーチームはポル・エスパルガロとヨハン・ザルコ、そしてテック3はあくまでもジュニアチームという扱いです。ただマシンのスペックは完全に同一ですので、4台のファクトリーマシンで参戦する形となります。そしてテック3では現在KTMと共に可能性のあるライダーを探しているわけです。ただライダーの選択に関してファクトリーチームは急いで決定する必要があり、チャンピオンシップでファクトリーとして優勝したければ、ライダーマーケットにいる6人か7人の有力ライダーにすぐさまアプローチをする必要があるんです。ただジュニアチームの場合は真逆で、どの若手ライダーが良いかということを時間をかけて見定めていく必要があり、時間をかけるほどに良い選択が出来るものなんです。

「KTMが過去に様々なロードレース、オフロードレースで成し遂げてきた事を考えても、彼らと一緒にいて、その情熱、勝利への渇望も凄いものがありますし、KTMはザルコに真っ先にアプローチしたメーカーですし、レッドブルルーキーズカップの事を考えても、Aki Ajoとザルコの関係を考えても自然な流れでしょう。それにザルコ自身がトラック上で一緒にポル・エスパルガロやブラッドリー・スミスと走っていて、彼らが開発を進めているバイクがどの程度のスピードがあるのかといった事は感覚として把握しているでしょう。ですからそういったことも考えての決断だったと思いますし、何よりも大きな挑戦であるということもそうです。ライダー、もしくはチームマネージャーという立場で考えても、皆が何かに挑戦をしたいと思っているんです。ですからこれはお互いにとって最高にエキサイティングな挑戦なんです。」

「2007年のDucati、93年のスズキを除けば、ホンダとヤマハがタイトルを独占しています。そしてここに新たなメーカーがチャンピオンシップ争いに加わるのが見てみたいですし、2つの日本メーカー以外のメーカーがタイトル争いに絡むところを見てみたいと思うんです。」

KTMと話合って明確であるのは、テック3はジュニアチームであるということです。KTMが既に明らかにしているように、彼らはミゲル・オリヴェイラをMotoGPクラスにステップアップさせ、フルファクトリースペックのMotoGPマシンに乗せたいという意向を持っています。それに最近酷い転倒をしたハフィズ・シャーリンについても可能性はあると思っています。ブラッドリー・スミスについては、まだ話をしていませんし、KTMからも特に聞いていません。ブラッドリーは開発ライダーとして非常に有能なライダーですが、明らかにジュニアライダーではありません。彼は経験豊富で、素晴らしいフィードバックを返してくれるライダーです。ですから、現時点でテック3の2019年のラインナップは誰か?と今回答すると、最も可能性があるのはミゲル・オリヴェイラとハフィズ・シャーリンでしょうね。

「テック3のMoto2チームについても、まだ正式にKTMのマシンを使用するという発表は出していませんが、間もなく方向性について発表する方向です。ただKTMのバイクをMoto2でも使用するというのは理にかなっていて、KTMはルーキーズカップからMotoGPチームにまでステップアップ出来る階段を用意したいと考えているんです。ですから、これは自分達にとっても実に理にかなった選択なわけです。Moto2クラスでKTMで走るライダーの数が増えるほど、その中で速い選手をMotoGPジュニアチームであるテック3に引き入れやすくなりますからね。ですから、まだ正式ではありませんが、2019年テック3はMotoGPとMoto2の両方でKTMのマシンを使用することになるでしょう。」

「また年内にヨハンがテック3のバイクで優勝するという夢は諦めることが出来ません。ルチオのLCRはカル・クラッチローと共に既に3勝を達成していますが、正直うらやましいですよね。全くのフェアプレーですから見事と言う他ありません。ヤマハのパッケージとヨハン・ザルコという組み合わせを考えると、やはり夢見てしまいます。特に来年からはジュニアチームということで、優勝を目指すのは難しくなるでしょう。これからヘレス、ル・マンなどで、我々のバイクとヨハンというパッケージが戦力を発揮する場面もあるでしょう。サテライトチームとして優勝するというのはずっと夢みてきましたから、いつか叶えたいんです。テック3はヨハンと共に全力で初優勝を目指していきます。

(Photo courtesy of KTM)