チームスズキECSTARの河内健さんのインタビューがありましたのでご紹介します。2017年から今年にかけてのバイクの開発、今後の開発の方向性などに関して、色々な内容となっています。

Q

「2017年、技術的な観点ではチームスズキECSTARは周囲が考える以上に苦戦しました。そしてシーズン序盤から最大のレベルでの戦いが難しいだろうという予想がありました。今年は昨年と比較して何が変わったのでしょうか?」

河内健

「昨年は皆が知っているようにエンジンスペックの変更を行いました。2つのエンジンの主な違いはハンドリング面です。これに加えてリンスの怪我、そしてアンドレア・イアンノーネがスズキ1年目にバイクに適合するのに時間がかかり、望んだように向上していくことが出来ませんでした。シルヴァン・ギュントーリ、津田拓也といったテストライダー達の仕事がありましたが、良い結果を得ることが出来なかったんです。シーズンの中盤にハンドリングの問題を解決しようとし、新しいパーツの投入、そしてシャーシに関してもよりバランスを取る方向で作業を進めました。これはレギュレーションによって新しいエンジンを用意することが出来なかったからです。しかしこうした変更点によってシーズン後半をバイクの戦闘力が高い状態で終える事が出来ました。特に最後の4戦に関してはそうだったと言えます。」

 

Q

「技術的改善点ということに関しては、どの程度の学びがあったのでしょうか?」

河内健

「昨年はエンジンに問題があることがわかっていましたから、進むべき方向は明確でした。ですから2018年の開発を進める序盤の段階で、どの方向に進むのが良いかということが明確だったんです。また昨年新しいエンジンスペックに関して開発を進める中で、そうした中で見つかったポジティブな内容を組み合わせることが出来るということもわかっていました。」

 

Q

「チャンピオンシップ前半で4つ表彰台を獲得しており、常にトップ争いをしています。ここまで強いスタートを予想していたのでしょうか?」

河内健

「シーズン開幕前は、正直なところ目標は常に表彰台争いをすることでした。しかしここまで早い段階で結果が出ることは予想していませんでしたね。ですからシーズン序盤の両ライダーの結果に関しては非常に嬉しく思っています。いくつかのレースではフロントで争う中で転倒がありましたけどね。」

 

Q

「こうしたことを考えると、チームスズキECSTARは優勝からどの程度の距離にいると考えますか?」

河内健

「MotoGPにはやたらと強いスペイン人選手が一人いますからね(笑)この最高峰クラスで優勝するのは、そう簡単なことではありません。色々な物事が上手く組み合わさる必要があります。現時点でスズキのバイクは非常に戦闘力が高いわけですし、私達のライダーも非常にスピードがあります。しかし、こうした物事を上手く組み合わせる必要があるんです。もちろんそういったチャンスがあれば、当然出来るだけ早い段階で優勝したいと思っています。しかしこの最高峰クラスにおいては、それは非常に難しく複雑なんです。」

 

Q

「現時点ではバイクのどの部分に最も注力しているんですか?」

河内健

「今はブレーキング時の安定性とコーナーエントリーの改善を進めています。この部分に関して向上していく必要があります。」

 

Q

「アレックス・リンスに関しては、彼は昨年は怪我によってルーキーとして通常のシーズンを過ごす事が出来ませんでした。しかし彼はそれでもシーズンを良い形で終えることが出来ました。2018年に関してはどのような結果を期待していますか?彼にはこれからライダーとしてさらに成長する余地があるのでしょうか?」

河内健

アレックスに関しては常にトップ6を獲得出来るだろうと期待しています。これは練習走行でもレースでも同様です。」

 

Q

「アンドレアに話を移しましょう。彼はステップ・バイ・ステップで向上しているようです。そして表彰台、レースにおける良い結果も獲得しています。どうやったら彼はさらに結果を改善することが出来るでしょうか?」

河内健

「まず始めに、アンドレアのライディングスタイルとGSX-RRのキャラクターはあまり合っていませんでした。しかしアンドレアにはスピードがあります。彼は実際非常に速いライダーなんです。そして彼はバイクをより快適に感じる事が出来るように作業を進めてきました。ですから、彼は良い結果を残すことが出来ているんです。」

 

Q

「技術的な観点から、MotoGPチームにとって常に両ライダーが競争し合って、互いにモチベーションを与え合うというのは、バイクのパフォーマンスを改善していく上ではどの程度重要なのでしょうか?」

河内健

これは非常に、非常に重要です。例えば昨年はアレックスが負傷していたことで、アンドレアは一人でバイクを開発しなければならず、良い結果を得ることが出来ませんでした。今年は両ライダー共に良い状態で、互いにレースの中で同じ目的を持って競い合っています。チームにとってこれは理想的な状況だと言えるでしょうね。」

 

Q

「ムジェロ戦の前にバルセロナでテストを行いました。その中でこれからのレースに向けて、チームスズキECSTARが前進するための何かを見つけることは出来たのでしょうか?」

河内健

「色々と新しいアイテムをテストしました。その中で、正しい方向に進んでいるのだということを確認出来ました。しかし、こういった内容は来シーズンに向けてのものですね。

(Source: suzuki-motogp)

(Photo courtesy of suzuki-motogp)