KTMはファクトリー、サテライト隔てなく同一スペックのバイクを供給してライダーをサポートする体制を作っているが、ニューパーツを先行して試す中で結果を徐々に向上させていったポル・エスパルガロ、完全に迷路にはまり、シーズン途中にチーム離脱を決意したヨハン・ザルコと明暗が大きく別れた。
KTMのモータースポーツディレクターであるピット・バイラーは、ダニ・ペドロサの貢献もあって徐々に改善していくバイク、そして来年はブラッド・ビンダー、イケル・レクオーナという若手が加わってフレッシュになってKTMのチーム体制に期待を寄せる。
ポル・エスパルガロは素晴らしい走りをしてくれた
ピット・バイラー
「今年はポル・エスパルガロとヨハン・ザルコが両輪で動いてくれると思っていたんですが、ザルコは最後までKTMのバイクに適合することが出来ませんでした。ポル・エスパルガロは今シーズン素晴らしい走りをしてくれました。中盤以降もダニ・ペドロサが開発に携わった新しいパーツを投入し、結果を出すことが出来ています。夏からはバイクをしっかりとコントロールすることが出来ていて、ミサノではフロントローの獲得が出来ました。」
後半は選手達の怪我が相次いで発生
「ポル・エスパルガロはこうして結果を出していったんですが、その後怪我に苦しみました。アップダウンがあったシーズンですが、バイクのセットアップをしっかりと行い、今までは難しかったトップ10を獲得することも出来るようになっていきました。ミゲル・オリヴェイラも肩を痛めていますし、KTMとしてバイクの改善ももちろん必要ながら、来シーズンはとにかくライダー達が健康な状態で揃ってくれることを一番に願っています。」
2020年は若手に期待したい
「ルーキーのミゲル・オリヴェイラはオーストリアでは20位から決勝8位まで追い上げる素晴らしい走りをしてくれましたが、肩を痛めています。いずれにしても、来年はブラッド・ビンダー、ミゲル・オリヴェイラ、イケル・レクオーナという若手に期待したいと思います。」
「ポルに関しては今年は手首を怪我しながらもタイで復帰してくれるなど、ライダーとして本当にプッシュして頑張ってくれています。2020年はリセットボタンを押して挑みたいと思っています。KTMは4台のバイクを全く同一のパッケージで用意しますので、ライダー、そしてチーム同士様々なメリットがある事でしょう。」
同じパーツで片方のライダーだけ苦戦するのは悪夢
「ライダーの離脱についてはヨハン・ザルコとホルへ・ロレンソの状況は異なると思います。ホンダはウイニングマシンでもう片方のライダーは優勝という結果を出していました。KTMの場合はプロジェクトがまだまだ若く、ヨハンのために懸命に努力したものの、このクラスの競争力が高いこともあって難しかったということでしょう。」
「昔はトップから1秒遅れでもポイントを獲得出来たものが、今やトップから1秒遅れでポイントを獲得するなんて不可能です。同じパーツを2人のライダーに与えて、片方は徐々に改善出来ていて、もう片方が苦戦に苦戦を続けるという状況は、技術者にとっても悪夢なんです。」
(Source: KTM)
(Photo courtesy of michelin)