ディーン・ハリソンが2025年マン島TTレースのオプル・スーパーストックTTレースで通算5勝目を挙げた。ホンダ・レーシングのハリソンは、デイビー・トッド(モンスターエナジー・バイ・8TENレーシングBMWモトラッド)に16.03秒差をつけて優勝。マイケル・ダンロップ(MDレーシングBMW)が3位に入り、表彰台を締めくくった。
ハリソンは序盤から首位を奪取。一方でトッドとダンロップはそれぞれトラブルに見舞われた。ダンロップはオープニングラップのブラッダン・ブリッジでコースアウト。トッドは義務付けられたピットストップ後にBMWが再始動せず、ホンダのライバルとの差を0.5秒に詰めていたところで痛恨のロスを喫した。それでもダンロップは粘り強く追い上げ、TT通算50回目の表彰台を手にした。

レースは前夜の雨の影響で路面が乾くのを待ち、当初予定の午前10時45分から午後2時30分に約4時間遅れてスタート。レース開始後、ハリソンは再び好スタートを切り、グレン・ヘレンでトッドに2.2秒差をつけて先行。3番手にはイアン・ハッチンソン(moobob/MLavレーシングBMW)がつけた。序盤のサプライズはダンロップで、TVカメラがボラガリー通過時に、10秒後方からスタートしたジョシュ・ブルックス(ジャクソンレーシング powered by Prosper2 ホンダ)と既に接近戦を繰り広げる姿を捉えていた。

ダンロップはグレン・ヘレンまでにブルックスをかわしたものの、ハリソンとの差は17.2秒と大きく、最初のセクター終了時点で20番手に沈んだ。ジェームズ・ヒリアー(マックオフ・レーシングホンダ)が4番手、地元ライダーのコナー・カミンズ(バロウズ・エンジニアリング/RKレーシングBMW)とネイサン・ハリソン(H\&Hモーターサイクルズホンダ)が続いた。
ハリソンのリードはバラフで1.1秒に縮まるが、トッドはロード上で逆転。ラムジー・ヘアピンでは、ダンロップをオーバーテイクして0.025秒の僅差でリードを奪う。3番手はヒリアーで、以下ディーン・ハリソン、カミンズ、ドミニク・ハーバートソン(HRRC/アダム・ヒューイットLtdホンダ)が続いた。一方、ハッチンソンはヘアピンでスローダウン。ダンロップはブラッダン・ブリッジでのミスを挽回し、ラムジーで9番手まで順位を上げた。
バンガローではハリソンが再び首位を奪回、1.1秒差をつけた。オープニングラップは133.464mphで周回。トッドは133.387mphで続き、グランドスタンドでは僅か0.5秒差で両者ともピットへ。しかし、トッドのBMWがピット後に始動せず、10秒以上のタイムロスを喫した。
カミンズは130.378mphのペースで3位に浮上。ヒリアー(130.241mph)が続き、ダンロップ(130.236mph)は5位に浮上、ネイサン・ハリソン(130.017mph)が僅差で追走。ブルックス、ハーバートソン、マイク・ブラウン(KTSレーシング by Stanley Stewart BMW)、ジョン・マクギネスMBE(ホンダ・レーシング2台目)がトップ10を形成した。
2周目グレン・ヘレンではハリソンのリードが13.3秒に拡大。トッドは再びダンロップの後方を走行。ダンロップは3位に浮上し、ヒリアーはピット作業の速さでカミンズを逆転、3.5秒差を築いた。カミンズとネイサン・ハリソンの差は0.44秒。ハッチンソンはピットでリタイア。ブルックスのチームメイト、ポール・ジョーダンもバラクレインでリタイアとなった。
ハリソンはさらに差を広げ、グレン・ヘレン〜バラフ間で2秒追加。ラムジーでは17.5秒差に。後方ではダンロップがヒリアーに2.7秒差を築き、5位争いはネイサン・ハリソンとカミンズが1.39秒差と接戦を展開。
ファイナルラップ突入時点で、ハリソンは20秒の余裕を確保。トッドは2位を堅守し、ダンロップとの差は25.2秒。ダンロップもヒリアーに5.6秒差を築いた。5位争いはカミンズ、ネイサン・ハリソン、ブルックスの3名による混戦で、差は5秒以内。
最終ラップ、ハリソンはシグナルに従い安定走行。最終スピード132.580mphでホンダをフィニッシュラインに導き、トッド(133.099mph)に16.03秒差をつけて今週2勝目、自身TT通算5勝目を手にした。トッドは再始動トラブルがなければと悔しさを滲ませ、ダンロップ(132.126mph)は難しい展開を経て3位表彰台を死守した。
ヒリアーは最終ラップ131.569mphで4位。カミンズ(131.528mph)がブルックス(131.407mph)との接戦を制し5位を獲得。ブルックスは今週自己最速ラップを記録した。ネイサン・ハリソン、マクギネス、ハーバートソン、デビッド・ジョンソン(プラチナム・クラブ・レーシング・カワサキ)がトップ10入りを果たした。