事実上のホームレースへ挑む
モンスターエナジー・ヤマハMotoGPチームは、2025年MotoGP世界選手権第9戦・イタリアGPに向けて、トスカーナの丘陵地帯に位置するムジェロ・サーキットに到着した。ブレンボがタイトルスポンサーを務める今大会は、ヤマハ・モーターレーシングにとって事実上の“ホームGP”であり、ファビオ・クアルタラロとアレックス・リンスの両選手もモチベーション高く週末に臨む。
ムジェロはヤマハにとって特別な意味を持つサーキットだ。ファビオ・クアルタラロは2021年にここで優勝、2022年には2位と好成績を収めており、パドック随一の才能を証明してきた。直近のアラゴンテストでも手応えを得ており、総合10位からの巻き返しを狙っている。
一方、アレックス・リンスもアラゴンテストで好感触を掴み、ムジェロでは上位進出を目指す。MotoGPクラスでの表彰台はまだないが、2019年には4位に入るなど実績はある。下位カテゴリー時代にはMoto3で2013年に2位、2014年に3位と表彰台を経験しており、週末を通じて安定したポイント獲得を狙う。現在リンスはランキング16位タイに位置している。
ムジェロ・サーキットは全長5245mで、アップダウンと高速・低速コーナーが絶妙に組み合わされた、カレンダー随一の美しいレイアウトを誇る。1976年に初開催され、1991年からはMotoGPの常設開催地となったイタリアGPは、その熱狂的な雰囲気で“現地観戦必須”とも称されている。
なお今大会は、ブレーキシステムで知られるイタリアの自動車部品メーカー・ブレンボの創立50周年記念大会でもあり、日曜の決勝ではクアルタラロとリンスのマシンに同社の記念ロゴが特別に掲出される予定だ。

チームディレクター マッシモ・メレガリ
「アラゴンGP、IRTAテスト、そしてバルセロナでのプライベートテストと、ヤマハにとってこの2週間は非常にタフなスケジュールでした。そして今週から始まる連戦もまた重要な局面です。ムジェロと次戦アッセン、この2戦はチームにとって技術面でも戦略面でも大きな意味を持つでしょう。アラゴンで収集したデータが、ここムジェロというまったく異なる特性のサーキットでどう機能するか、非常に楽しみにしています。このイタリアGPはチーム本拠地に最も近いレースでもあり、我々にとって特別な存在です。」
ファビオ・クアルタラロ
「いよいよ今シーズン初の連戦が始まります。アラゴンテストでは、いくつかのパーツがムジェロでも良い影響を与えそうだと感じました。ムジェロは自分がとても好きなサーキットですし、グリップレベルもアラゴンより良い傾向にあるので、期待しています。いつも通り全力で臨みます。」
アレックス・リンス
「アラゴンのテストでは多くのことを試して、最終的に良い感触で終えることができました。ただし、レースウィークの初日は通常のベースセッティングからスタートする予定です。良いベースが見つかってきてはいますが、前戦の問題を回避するためには微調整が必要だと考えています。このイタリアGPはチームにとって“ホームレース”的な意味を持つので、良い結果を残したいです。」