イタリアGPの予選の最後には驚くようなドラマが待ち受けていました。当初セッションをリードしたのはファビオ・クアルタラロ。1’45.845という素晴らしいタイムを記録し、チームも本人も確かな手応えを感じていました。しかし、ここで最後の最後にタイムを出してきたのはマルケス。そしてそのタイムの出し方も実に見事なものでした。

マルケスは序盤のアタックの最中にドヴィツィオーゾの後ろを走る形になったものの、ドヴィツィオーゾがスローダウンしたことでペースを乱され良いタイムを記録出来ず、その後、執拗にDucatiのミケーレ・ピッロに後ろに付かれたことで、ピットに戻って作戦を変更。逆にDucatiの後ろについてタイムを出してやろうという作戦を取ります。

セッション最後にドヴィツィオーゾはなんとしてもタイムを出してグリッド順位を良くする必要があることをわかった上で、マルケス陣営はタイミングをしっかりと計算して出走。最終アタックで見事ドヴィツィオーゾの真後ろについたマルケスは、最終コーナーからの立ち上がりのストレートでドヴィツィオーゾのスリップストリームをしっかりと利用。

これで1’45.519というムジェロ最速タイムを更新して、6戦目にして今シーズン4度目のポールポジションを獲得。マルケスの後ろに執拗にピッロをつかせてマルケスのリズムを崩そうと狙ったDucatiの戦略を利用して、ドヴィツィオーゾのスリップストリームを利用したマルケス。これについてマルケスは、「この戦略はDucatiがこうした戦略を使ってきたため、それに対抗して生み出したもの」と語っています。

レースで有利に立つために重要な予選。レースでも同様に重要になる戦略の組み立てかたに関しても圧倒的な強さを誇るマルケス。今後Ducatiがチームオーダーを利用してマルケスに対抗してきても、飄々と躱すことが出来る印象を与えました。

(Photo courtesy of michelin)