Team SUZUKI ECSTAR(チーム・スズキ・エクスター)のテストライダーのシルヴァン・ギュントーリは、自らも大好きと語るドニントンパークで、市販状態のGSX-R1000Rで走行、いかに市販状態の1,000ccスポーツバイクが速いか解説している。

シルヴァン・ギュントーリ

「もうかれこれ25年バイクでレースをしています。2014年にはFIM スーパーバイク世界選手権(SBK)でチャンピオンになり、今はTeam SUZUKI ECSTAR(チーム・スズキ・エクスター)のテストライダーとして働いています。MotoGPでもワイルドカードライダーとしてバルセロナ、ブルノ、もてぎ、シルバーストーンで走行し、例年世界耐久選手権の最終戦である鈴鹿8耐のライダーでもあります。」

「ドニントンパークではFIM スーパーバイク世界選手権(SBK)で2度表彰台を獲得しています。2009年にはキャリアを通じて一番酷い怪我もしていますが、殆どは良い思い出がある大好きなサーキットなんです。トラックの解説をすると、最初の左コーナーである第3コーナーはフロントに荷重がかからないので、冷えている時などは特に注意する必要があります。」
 
「市販車のままでトラックを走る場合はタイヤ空気圧の管理が非常に重要です。これはトラック温度などにも左右されますが、基本は公道で走行する場合よりも大幅に空気圧を落とします。今日は最初のセッションではリアの空気圧は45psi(310kPa)まで上がりました。ここまで高い空気圧だと全くグリップしませんので、リアは1.65bar(165kPa)、フロントは2.2bar(220kPa)程度まで落とします。」
シルヴァン・ギュントーリ
「メーカーによって異なりますが、ブリヂストンの純正タイヤであればこの程度で走るのがいいでしょう。このGSX-R1000Rの場合であれば、パワーモードの調整も必要で、トラック走行をする際はフルパワーにしたほうがいいでしょう。トラクションコントロールは公道では10でもいいですが、トラックを走行する際は1程度で十分です。」

「GSX-R1000Rで今回走行したタイムは1:37秒5でしたが、FIM スーパーバイク世界選手権(SBK)のレース中のタイムが1:27〜1:28秒、MotoGPでダニ・ペドロサが記録したベストタイムが1:27秒台ですから、この10秒という差は非常に少ないですよね。今回は市販車のままで何も改造をせず、セッティングも一切行っていません。唯一変更したのはタイヤ空気圧のみでした。」

「これを車と比較すると実に大きな差で、例えば車に200万投資したとしても、F1と市販車を比較した場合、比べることも意味が無いほどの差があるわけです。その差は1分かそれ以上になるかもしれません。バイクの場合は同じ金額をかけたとしても、しっかりとライディングを磨けば、MotoGPと10秒差までに迫れるわけです。ですからライダーはラッキーだと言えるでしょうね。」

(Photo courtesy of suzuki-racing, Michelin)

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