マルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)が圧巻のパフォーマンスでハンガリーGPを制し、2025年シーズンの連勝記録を「7」に伸ばした。決勝序盤こそ接戦となったが、終わってみれば2位ペドロ・アコスタ(レッドブルKTMファクトリーレーシング)に4.3秒差をつける完勝。3位には序盤にレースをリードしたマルコ・ベッツェッキ(アプリリア・レーシング)が入った。

レース前に波乱、ディ・ジャンアントニオはピットレーンスタート
決勝スタート前、3番グリッドからのスタートが予定されていたファビオ・ディ・ジャンアントニオ(ペルタミナ・エンデューロVR46)はテクニカルトラブルによりピットレーンからのスタートを強いられ、表彰台争いから脱落する形となった。
オープニングラップでマルクとベッツェッキが接触
1周目、ターン1でワイドに膨らんだマルケスが続くターン2でベッツェッキと接触。イタリア勢のフランコ・モルビデリ(ペルタミナ・エンデューロVR46)がトップに立ち、マルケスは3番手につける展開となった。その後、エネア・バスティアニーニ(レッドブルKTMテック3)がターン12で転倒、続いてアレックス・マルケス(BK8グレジーニ・レーシングMotoGP)も同一周回でクラッシュ。#73は再スタートを切ったが、19番手まで後退し、アレックス・リンス(モンスターエナジー・ヤマハ)との差は8秒に広がった。
マルク、ターン1で決定打のオーバーテイク
レースはベッツェッキを先頭に安定し始め、3周目終了時点でモルビデリとの差は0.8秒、マルケスはさらに0.2秒後方に位置していた。ペドロ・アコスタは好スタートを切り、4番手でマルケスの背後に迫る。
マルケスは5周目のターン9でモルビデリを攻略して2番手に浮上。オープンなハンガリーのアスファルトを生かし、立て続けにファステストラップを記録しながらベッツェッキとの差を詰めていった。
8周目にはターン1で一度仕掛けるも成功せず、ターン5でも同様に阻まれたが、11周目のターン1で再度仕掛けてついにオーバーテイク成功。この時点でマルケスは1分38秒343のタイムで一気に差を広げ、ベッツェッキは1分39秒台に後退し、ギャップは1.1秒に。
アコスタが2位浮上、ベッツェッキは反撃できず
さらに差を広げるマルケスを追い、ベッツェッキはアコスタのプレッシャーにさらされる展開に。フェルミン・アルデゲル(BK8グレジーニ・レーシングMotoGP)がターン1で転倒し、代わってホルヘ・マルティン(アプリリア・レーシング)が5番手に浮上。16周目、ターン15でベッツェッキがわずかにワイドになった隙を突き、アコスタが加速区間で抜き去って2位に浮上。マルケスとの差は2.7秒に広がっていた。
その後もマルケスは1分37秒843と再びタイムを更新し、完全に主導権を掌握。アコスタとの差は維持され、3位以下も固定化されるかと思われたが、マルティンがモルビデリを交わして5番手に浮上。2024年チャンピオンとしての意地を見せた。
ハンガリーでも無敵、マルケスは勝利した22番目のサーキットに
最終的にマルケスは一切の隙を見せずトップチェッカー。これでキャリア通算22番目の勝利サーキットとなり、2025年のMotoGPタイトルへ向けてまた一歩前進。これで7戦連続のダブル優勝(スプリント&決勝)を達成、ランキングでも2位に175ポイント差をつける圧倒的なリードを築いた。
アコスタ&ベッツェッキも好調キープ、マルティンは今季最高位
アコスタは予選での苦戦を引きずったものの、直近3戦で2度目の表彰台。ベッツェッキは5戦で4度目の表彰台と安定した成績を維持しており、総合3位争いでフランチェスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)に迫る。ホルヘ・マルティンは16番グリッドから4位に入り、アプリリアでのベストリザルトを記録。チームと自身にとって大きな前進となった。