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スズキ プロジェクトリーダー 佐原伸一「MotoGPでチャンピオンシップ優勝できた事は夢のよう」

プロジェクトリーダー 佐原伸一

Team SUZUKI ECSTAR(チーム・スズキ・エクスター)のプロジェクトリーダーである佐原氏は、スズキの創立100周年、レース活動60周年の節目に達成したMotoGPチャンピオンシップにおけるライダーズタイトル獲得、チームチャンピオンシップ優勝、世界耐久選手権(EWC)でのチャンピオンシップ優勝を振り返った。
ジョアン・ミル

チャンピオンシップ優勝は夢のよう

プロジェクトリーダー 佐原伸一

MotoGPでチャンピオンシップ優勝できた事は夢のようです。今年はすべてがスズキにとって良い流れとなりました。記念すべき100周年の年にMotoGP、世界耐久選手権で優勝出来ました。これほどの結果を残せるとは思っていませんでしたが、チームとして確実に成長を続けてきました。スタッフとライダーを育て、前進を続けてきたんです。」

「Team SUZUKI ECSTAR(チーム・スズキ・エクスター)のチームワークは本当に素晴らしく、一人一人が最高の仕事をしてくれました。互いに切磋琢磨しながら支え合ってきました。これがスズキの成功の大きな要因でしょう。チャンピオンシップシップ優勝を目指し作業を続けてきましたが、今回の結果が新たなマイルストーンとなるでしょうね。」

「バレンシアの1戦目ではジョアンとリンスが1、2を達成しました。この時点でお祭り騒ぎでしたが、その翌週にタイトル獲得が出来て本当に信じられない気持ちでした。私の携帯は祝福の電話が鳴り止まず、皆が嬉しい気持ちで、レース部門には花、お祝いの品、ギフトカードが溢れていました。」

小規模でも何も欠けてはいなかった

こうしてタイトルを獲得できたことか意味するのは、どんなに小規模であっても何も欠けてはいなかったということです。全てが完璧でなければ、全てのスタッフがスムーズに作業出来なければ、このような結果を達成する事は出来ませんからね。」

「技術的な観点から言うと、GSX-RRは素晴らしいパッケージでした。しかし、毎年、レースごと、部品に改善が必要だった事は確かです。本当に小さな改善点の積み重ねが、バイクを本当に良くしていったんです。複雑でトリッキーなプロセスでしたが、これらの作業かライダーズタイトルと、チームタイトルをもたらしてくれました。」

「多くの方が言うように、ヨーロッパ、日本の良い形でのコンビネーションが出来ていたと思います。河内、ダヴィデ、私も良い関係性で同じ方向に動くことが出来ています。河内がレーシングチームをコントロールし、全てのデータの収集、リクエストを整理しています。」

「それが私に共有され、私はファクトリーでエンジニアと共に、いかに回答すべきか、いかにレーシンパーツを供給するか考えるわけです。このやり方が非常に上手く行き、全ての面で良好なコミュニケーションが実現できています。また、今年から来年にかけて開発は凍結されますから、基本的に今年とバイクは変わりません。」

ジョアンとアレックスは最高のチームメイト


「ジョアンとアレックスは互いにプッシュしながらも協力し合っています。彼らはこの競争が激しいシーズンにおいて、実に素晴らしいチームメイトだったと言えるでしょう。本当に才能に溢れ、バイクも素晴らしいと言えますが、まだまだ改善の余地はあります。これからもさらに改善を進め、この先数年の中でしっかりと前進していきたいと考えています。」

エアロダイナミクスとシャーシ、予選位置は改善出来る

「バイクの改善点については常に考え続けていますし、エアロダイナミクスとシャーシについて改善できると思います。また、ルールに沿いながらエンジニについても改善出来る点があると感じています。ライダーについては、いかに彼らが素晴らしいライダーであろうと、どれだけ素晴らしい未来が待ち受けていようとも、常に改善の余地があると考えています。」

「例えば予選位置、グリッドポジションについては改善が出来ると感じていますしね。しかし、今まで彼らが成し遂げてきた成果については満足しています。両ライダーの今シーズンの働き、今シーズン達成した結果については、素直に脱帽です。」

怪我がなければリンスはタイトル争いが最後まで出来た


「アレックスの怪我は残念でしたが、彼はあの状況から可能な限り早いスピードで復活したと言えるでしょう。怪我にも関わらずプッシュし続けた彼の姿勢には満足です。100%の状態であれば、彼はコンスタントでスピードを発揮出来る選手です。あの怪我がなければ、アレックスは最後の瞬間までジョアンとタイトル争いが出来たと確信しています。ライティングスタイルは大きく違いますが、パフォーマンスは非常に似通っていましたね。」

ジョアンは短い期間でトップライダーになると思っていた

「過去のインタビューでも語っていますが、ジョアンはかなりのスピードで、まだキャリアの浅い段階でトップライダーになると思っていました。もちろん彼が今年タイトルを獲得するとは私も思っておらず、タイトル獲得は2021年だろうと予想していました。彼はどんどん強さを手に入れ、このクラスに非常に早く適応しました。しかし彼のポテンシャル、スピード、レース運びについて疑った事は一度もありません。」

「スズキのバイクには今まで培ってきた知識とテクノロジーが集約されています。つまり基本的なパフォーマンスが高いということです。そこからパッケージを作りあげていきます。しかし常に基礎となるのはバイクのベースの部分です。そしてこれらの市販バイク、スーパーバイク、GSX-RRに活かしていくんです。」

サテライトチームは将来的に持ちたい

「サテライトチームを組織するかは難しい問題です。今まで私自身もグリットで二台のバイクでの作業しかしたことがありませんが、サテライトチームを将来的に持つことは考えていることではあります。 しかし、そこに到達するためには数多くのステップを越える必要があります。スズキ以外のメーカーはサテライトチームを組織していますから、いずれスズキの番が来ると言えるでしょう。」

ギュントーリ、津田、浦本は必要不可欠な存在

「正直なところ、スズキは経験豊富なテストチームから素晴らしいフィードバックを得ることができています。シルヴァン・ギュントーリ、津田拓也、浦本修充は本当に素晴らしいライダーで、開発にとって必要不可欠な存在です。 しかし、サテライトチームからより多くの情報を得ることができる事は、将来的に競争力を発揮する上で重要になると思います。」

「今回の結果についてチームやスタッフだけをねぎらおうとは思っていません。彼らの働きが素晴らしかったことはもちろんですが、 今回のチャンピオンシップ優勝はライダーやチームだけのものではなく、スズキファミリー、そして常に支えてくれるファンの皆さんのものなんです。

(Source: suzuki-racing)

(Photo courtesy of michelin, Suzuki)

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