ダンロップが通算30勝
2025年のマン島TTレースウィークは、悪天候とスケジュール変更に見舞われながらも、ついに本格始動。月曜日に「Monster Energy スーパースポーツTTレース1」が開催された。このレースを制したのは、TT史上最多勝利記録を更新し続けるマイケル・ダンロップ(Milwaukee MD Racing Ducati)。最終ラップにディーン・ハリソン(Honda Racing)を逆転し、TT通算30勝目、スーパースポーツTTでは14勝目という驚異的記録を打ち立てた。
この勝利は、ダンロップにとって7つ目の異なるメーカーでのTT勝利であり、ドゥカティにとっては1995年のロバート・ホールデン(シングルスレース)以来、実に30年ぶりのマン島TT勝利となった。3位にはジェームズ・ヒリアー(Bournemouth Kawasaki)が入り、2019年以来となる表彰台を獲得した。
当初3周で予定されていたレースは2周に短縮され、午後3時15分にスタート。1周目のグレン・ヘレンでは、ハリソンが3.4秒のリードでトップに立ち、ダンロップが2番手。ヒリアーが1秒差で3位、デイビー・トッド(myCOOLMAN by Padgetts Honda)がわずか0.5秒差で4位に続いた。マイケル・エヴァンス(Smith Racing Triumph)が5位、ポール・ジョーダン(Jackson Racing Honda powered by Prosper2)が6位につけた。
バラフではハリソンがリードを4.6秒に拡大。ヒリアーはダンロップとの差をさらに広げられるも、トッドに対してはわずか0.033秒差で3位を死守。エヴァンスはジョーダンに1.6秒差をつけて5位を維持していた。
最初のラムジー・ヘアピンでは、ハリソンがさらに0.5秒を加え、7.4秒差でリード。ヒリアーは125.773mph、トッドは125.634mphで接戦を展開。エヴァンス(124.610mph)とブラウン(124.571mph)はわずか0.3秒差で5・6位争いを続けていたが、ジョーダンはグレントラマンでリタイアし、マイク・ブラウン(Boyce Precision by Russell Racing Yamaha)が6位に浮上した。
しかし、2周目に入ると流れが一変。グレン・ヘレンではハリソンのリードが6.4秒に縮小。ヒリアーは13.2秒差の3位だったが、4位トッドには5.1秒差をつけていた。ダンロップはセクタータイムで記録を連発し、バラフ~ラムジー間でも自己ベストを更新。ヘアピン通過時点で差を4秒に縮めた。
ヒリアーは後方を引き離し、4位トッドのすぐ後ろにはジョシュ・ブルックスが浮上。オーストラリア人ライダーはエヴァンスとブラウンを交わして5位へ。なお、エヴァンスはステラ・マリスでマシントラブルによりリタイア。ブラウンもスルビー・ブリッジで転倒(無傷)し、共にリタイアとなった。
レース終盤、ダンロップはついにハリソンのリードを2.9秒に縮めて最終周へ。ヒリアーは依然として単独3位、トッドとブルックスが4位争いを繰り広げた。エヴァンスとブラウンのリタイアにより、ロブ・ホドソンが6位に浮上。
最終ラップのグレン・ヘレンでは、ハリソンのリードはわずか0.8秒。そしてバラフ・ブリッジでは、ついにダンロップが0.104秒差で首位に立つ。勢いそのままにラップレコードペースで走行し、ラムジーでは3.4秒差、バンガローではさらに差を広げた。
最終ラップは130.313mphを記録し、ダンロップが10.2秒差で30勝目を手にした。2位のハリソンは終盤粘ったが及ばず。ヒリアーは堅実な走りで3位を確保し、2019年以来の表彰台に立った。
トッドとブルックスは終盤まで僅差で周回を重ね、4位と5位を分け合った。ホドソンが6位、続いてジェームズ・ヒンド、ドミニク・ハーバートソン(HRRC/Gilbert Brown & Son Ltd Ducati)、イアン・ハッチンソン、コナー・カミンズ(Burrows Engineering/RK Racing Ducati)がトップ10入りを果たした。