アッセンでの勝利を振り返るマルケス、戦略と安定性が鍵に
ザクセンリンクを控え、マルク・マルケスは今季の勝利の中で最も意外だったアッセンでのレースを振り返った。得意でないサーキットで優勝を収めたことに対し、単なる速さではなく戦略とレースコントロールが鍵だったと分析。特にバイクの施したセッティングによって、スタートからラストラップまで安定して走り切れるようになったと振り返る。次は得意とするザクセンリンクとなるが、日曜日の失敗を繰り返さないためにも落ち着いたアプローチで挑みたいとする。
難関サーキットでの優勝に満足感、弟アレックスへの思いも
「予想しない形の週末となりました。アッセンもそうですが、自分にとって難易度の高いトラックで今年は優勝しています。得意なサーキットでのミスはあるものの、それはさておき嬉しいです。今回も最速ではありませんでしたが、レースをコントロールすることが出来ました。今週末は難しい形でのスタートでしたので100%満足はしていません。父によるとアレックスは手の指を骨折しているようですが、今日もアレックスは良いライディングをしていました。彼がなるべく早く復帰出来るように協力したいと思います。」
ライダーへのリスペクトとターン攻略の重要性を強調
「今回の週末で少し言いたいのは、ジャーナリストをはじめとしてですが、弟やマルコ・ベッツェッキもそうですが、すべてのライダーを尊重した発言をして欲しいです。自分が最速ではなかったわけですが、自分が苦戦していたターン11、ターン12は非常に狭くアタックは容易ではありません。自分はブレーキングで強みがあったのもありますし、上手にディフェンスが出来ました。誰しもが自分のチームやブランドのために走行しているんです。誰しもが優勝しようと思っていますが、残念ながら優勝出来るのは一人だけなんです。」
ユーズドタイヤでの強みを活かす戦術
「ユーズドタイヤのほうが良いタイムが刻めるのは昨年と同様ですが、今年に関しては練習走行と予選を改善、スプリントを改善出来ています。それもあって決勝レースではユーズドタイヤのほうが得意というメリットをレース後半になってから発揮することが出来ます。タイヤを温存出来ているということではなくて、ユーズドタイヤのほうが得意という自分の強みを活かしているんです。」
転倒防止への意識とセッティングの進化
「日曜の転倒がここ最近ないのは自分で意識しているのもあります。もちろんザクセンリンクで同じミスを繰り返すかもしれませんが、意識していることが大きいですし、チームが1周目とラストラップにおいて快適に感じることが出来るセッティングを施してくれていることもありますね。今日は昨日ほど完璧なスタートではありませんでしたけど、アレックスやペッコを抜いてレースをリードすることが出来たのは、セッティングのおかげですね。」
勝利の価値と集中力、チームへの感謝
「今年最も重要な勝利はカタール、ムジェロ、そしてここです。これらのトラックは自分がスピードを発揮出来ると予想していませんでしたし、優勝も予想していませんでした。そういう意味ではカタールが最も重要な優勝でした。集中もしていましたし、適切なタイミングでアタックが出来ました。週末を完璧とは言えない形でスタートしましたが、Ducatiのためにもダヴィデ・タルドッツィのためにも、チームのためにも嬉しかったですね。今日に関しては腕は痛みませんでした。アドレナリンに勝る痛み止めはありませんから(笑)」
セッティングの一貫性と対応力の高さ
「今日のバイクはムジェロと全く同じセッティングでした。転倒した後に乗ったセカンドバイクは新しいエアロダイナミクスが装着されていた点では異なっていましたけどね。ただ、新しいエアロにも慣れてそのまま使用していました。自分の強みはその場の状況やバイクに適合出来るものなんです。ザクセンリンクでは同じセッティングが良いかどうか見極める必要がありますけど、正直なところタイからここまでベースセットアップは変わっていないんです。ムジェロでステップが進んで、今回も同じセッティングということですね。」
ザクセンリンクでの戦略とポイントマネジメント
「ザクセンリンクでは37ポイントを獲得する気持ちで挑みますが、ただ走行を開始してみて速いライバルがいれば、そこに合わせていきます。チャンピオンシップではリードがありますが、まだ先は長いです。とは言え、先を見据えて少しずつポイントをマネジメントしていこうと思っています。」
キャリアの中で最も重要だった2024年シーズン
「自分にとって最も素晴らしいキャリアの瞬間を選ぶのは難しいです。ルーキーとして戦ったシーズンも重要ですしね。 ただ、最も困難なチャレンジは怪我からの復帰でした。多くを失いましたが、可能性に賭けて手術を受けました。自分自身が再び競争力を発揮出来るかに賭けたんです。そして自分にとってもっと重要なのは2024年のグレシーニチームで過ごしたシーズンです。キャリアにとって最も重要な2024年があったからこそ怪我からの復帰が出来ましたし、こうしてDucatiファクトリーの赤いレザースーツを着ることが出来ています。あの1年がなければ、こうしてチャンピオンシップをリードすることも叶わなかったでしょう。」
昨年の教訓を胸に、ザクセンリンクへ挑む
「ザクセンリンクではホンダのタイトコーナーが得意という特性が合っていました。今年はどうなるかわかりません。昨年は順調に思えた矢先に転倒して指と肋骨を骨折しましたが、2位で完走出来ました。楽しみたいと思いますが、週末の中身によって調整していきます。」