ジョアン・ミルのクルーチーフを務めるフランチェスコ・カルチェディは、今回タイトルを獲得したジョアン・ミルについて、その学習スピードの早さを大きな特徴の1つだと語る。
また、高い戦闘力を発揮した2020年のGSX-RRは1年の開発で完成したものではなく、シルヴァン・ギュントーリのコメントがジョアン・ミルと非常に似通っていることも開発において大きな助けになったとしている。
ジョアン・ミルはとにかく学習が速い
フランチェスコ・カルチェディ
「ミルと挑んだレースのアプローチは今までの他の選手とやってきたのと同様です。1年目に学習し、2年目に全力を尽くすというものです。」
「ミルは昨年の開幕時点ではタイヤをすぐに終わらせてしまう乗り方をしていました。そこから我々はいかに前後タイヤをマネジメントするかといったことを教えていったんです。そして今年はすべてのトラックで、コーナー1つごとに改善点を探して挑んでいきました。」
「彼はとにかく学習が早く、今年ミルに改善が必要だと話した唯一のコーナーはバルセロナのターン3だけで、これも1つのセッションで改善することが出来ました。」
「若いライダーでもベテランでもライディングの癖が染み付いているもので、アドバイスどおりの走り方は出来ないことがありますが、ミルの場合は次の周にはもう修正してくるんですよ。」
「それに年々グリップが向上し柔らかくなるタイヤだと、ブレーキングをどれだけかけられるかにも限界があります。しかしミルはこうした状況でも違いを生み出すことが出来ているんですよね。」
「ミルはすべてのセッションでトップタイムを記録しようとは思っていません。彼はユーズドタイヤで走行することが多いのですが、彼は他の誰よりもレース終盤のペースを気にかけています。ユーズドタイヤを使用して走行を重ねることが彼にフィーリンを与えてくれるんですよ。」
「今年に関しては予選も大きく改善しました。今年は殆どのレースでQ2に進出していますが、昨年は半分もQ2に進出していないはずです。ポールポジションとは言いませんが、今の3列目4列目を2列目にしたいと思っています。」
ギュントーリとミルのコメントが近いのが開発に役立つ
「今年のバイクは周囲が思っている以上に進化していますが、このような大きな進化は1年では達成出来ません。昨年彼に6ヶ月全く同じバイクに乗らせ、その後は毎週ごとにバイクを徐々に変えて、バイクのポテンシャルを理解させました。」
「そして彼のライディングポジションも変更しています。彼は最初からライディングポジションには文句がなかったんですが、新しいポジションを試すと驚いてましたね。今はシート高さ、ハンドルバーやフットステップの何十回と変えて落ち着いています。」
「今年のバイクは昨年から少しずつ変えていったもので、昨年バレンシアで走らせたバイクと今回のバイクでは80%ほど違っています。そして何よりも、ミールとテストライダーのシルヴァン・ギュントーリのコメントが非常に近いのも助かっています。」
「驚くべきことですが、2人とも同じトラックの同じコーナーでのコメントが同じなんです。Team SUZUKI ECSTAR(チーム・スズキ・エクスター)は最高のテストライダーを抱えていると言えるでしょうね。」
(Source: suzuki-racing)
(Photo courtesy of michelin)