
MotoGPの覇権を握ってきたドゥカティが、明確な停滞局面に入っている。3週間のブレイクを経て迎えるヘレス戦は、その流れを断ち切れるかどうかの試金石となる。
ドゥカティ・レノボ・チームは、2025年日本GP以降、日曜決勝で表彰台に届いていない。8戦連続ノーポディウムは、2012年アラゴンから2014年カタールにかけて以来の異例の長さだ。さらにメーカー全体でも、マルコ・ベッツェッキ率いるアプリリアの躍進によって5戦連続未勝利。絶対的な勝者として君臨してきた勢力に、明確な陰りが見えている。
かつての停滞期を振り返れば、2020年アラゴンから2021年にかけて8戦勝利なしという時期があったが、その後ドゥカティは一気に頂点へと駆け上がった。2022年から2025年にかけては、フランチェスコ・バニャイア、ホルヘ・マルティン、そしてマルク・マルケスがタイトルを分け合い、デスモセディチは最強マシンとして君臨し続けた。しかし今季は、その構図が崩れつつある。主導権を握るのはアプリリアだ。
欧州ラウンド初戦となるヘレスで、ドゥカティは反撃の狼煙を上げられるか。中心となるのは、現王者マルク・マルケスとチームメイトのバニャイアだ。マルケスは2025年スペインGPでの転倒を払拭する必要がある。オースティンでは序盤に乱れがあったものの、レースペース自体は依然として高い水準を維持していた。ブラジルでのスプリント勝利が示す通り、速さは失われていない。
アレックス・マルケスも重要な存在だ。2025年ヘレスの勝者であり、地元で圧倒的な支持を集める。今季序盤は目立った結果を残せていないが、再び上位争いに絡む条件は揃っている。そして現状、最も安定して結果を出しているドゥカティ勢がファビオ・ディ・ジャンアントニオだ。2戦連続ポールポジションを獲得し、ランキングでも最上位に位置する。ブラジルとアメリカで見せたパフォーマンスを維持できれば、ヘレスでも勝利争いの中心に入る可能性が高い。
バニャイアにとってもヘレスは特別な舞台だ。2022年から2024年まで3連勝を記録した得意コースであり、ここで流れを取り戻せるかが今後を左右する。また、大腿骨骨折からの回復途上にあるフェルミン・アルデゲルのコンディションも、ドゥカティ陣営の戦力を左右する要素となる。
数多くの不確定要素を抱えたまま突入するヘレス戦。2026年シーズンの主導権争いを占う重要な局面で、ドゥカティが反撃に転じるのか、それともアプリリアの優位が続くのか。さらに、地元戦となるホルヘ・マルティンもベッツェッキへの挑戦を強め、タイトル争いは一層激化する。流れを変えるのか、それとも流れに飲み込まれるのか。ヘレスは、その分岐点となる。
中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近DucatiモンスターS4Rに乗り換えました。