バレンシアGPで遂にそのキャリアを終えたバレンティーノ・ロッシ。1996年のデビューから常に第一線で走り続け、チャンピオンシップ優勝回数は実に9回、全クラスでの表彰台獲得数は235回、全クラスでの優勝回数は115回と、他の選手とは比較することの出来ない存在の選手であることは言うまでもない。
その強さだけでなく、人懐っこい笑顔、明るいキャラクターとトラック内外の駆け引きの巧みさから、老若男女を問わず、全世界で熱狂的なファンと一部のアンチを生み出した。本人も木曜プレスカンファレンスで語っているが、その最大の功績と言えるのは、より多くの世界中の人々をモーターサイクルレース、MotoGPの世界に惹き込んだことだろう。
未だにバレンティーノ・ロッシがいないMotoGP、レースは想像しにくいが、今週末から始まるプレシーズンテストはもとより、3月の開幕戦の時点でグリッドに並ぶバレンティーノ・ロッシの姿が無いことで初めて、改めて大きな喪失感を覚えるファンも多いだろう。プライベートでは待望の女の子の出産も控えており、これからは子育てに、車でのレースに、新しい世界で活躍するバレンティーノ・ロッシを見守りたい。
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想像していた以上の形でキャリアを終えることが出来た
バレンティーノ・ロッシ
「本当に素晴らしい週末でこのような結果が得られると思っていませんでした!先週の時点では引退を迎える今週末がどのようなものになるか想像もつきませんでした。レースに集中出来るのか、悲しくなって何も出来ないのかわからなかったんです。」
「でも木曜の段階から素晴らしい週末になり、過去タイトルを獲得したバイクが一同に会するという嬉しいサプライズもあり、アカデミーのライダー達が自分のゼッケンの入ったヘルメットを使用してくれたのは非常に嬉しかったです。パドックの皆、MotoGPライダー達からも素晴らしいサポート、リスペクトをもらいました。実に特別なことで感動しました。」
「また土曜も良い走行が出来、今日のレースではトップ10を獲得出来ました。つまり自分のキャリアを世界最高のトップ10のライダーとして終えることが出来たわけです。自分にとってこれは本当に大きな意味を持ちます。キャリア最後のレースで10位だったというのは、これから先かなりの間、自慢出来るでしょうね(笑)」
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「レースが終わった後もガレージでチームの皆とお祭り騒ぎでした。まるでチャンピオンシップ優勝をしたような盛り上がりで、けして忘れることはないでしょう。ここ数戦を通じてバイクをしっかりと改善出来ましたし、チームの皆の働きが大きかったと思います。特に今年はシーズンが長く簡単ではありませんでしたから。」
「自分にとっては現役を続けるか否かの判断をした重要なシーズンとなりましたが、結果が長いことでない状態が続き、その時点でこれで引退をしようと決断することが出来ました。でも、ポルトガルでチームと、苦手なバレンシアで最後尾ではレースを終えたくないから全力を振り絞らなければいけないなと話していたんです。」
「しかし蓋を開けてみれば思っていたよりポジティブな結果で、今日は10位でレースを終えています。正直、今シーズンでベストの走りが出来たと思いますよ。チームと共に作業をした内容が生きていて、金曜から更に改善をしてFP3を迎えました。」
「土曜、日曜も改善が続きましたし、FP3ではペッコの助けもあってトップ10に残ることが出来、Q2にそのまま進出出来たんです。今日は最後のレースということで高い集中力とモチベーションを持ってレースに挑みました。人生最後のMotoGPレースですからね。けして忘れることはありません。」
「月曜から多くのプレッシャーを感じていましたし、色々なイベントもありました。でも自分は引退するまではライダーですから、レースで最高の結果を出す必要があるんです。今日のレースでは本当に感動しました。ライディング自体も良かったですし、ミスもなく走行出来ました。序盤から最後まで全くミスをすることなく走行出来ましたね。」
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時間が経過するにつれて辛さが増すと思う
「残念に感じるのは、これで本当に全てが終わりだということです。これから時間が経過するにつれてさらにこの感情は大きくなるでしょう。数週間、数ヶ月、そして来年3月にシーズンがスタートする時は辛いでしょうね。それに10度目のタイトルを獲得出来なかったのは心残りです。」
「とは言え、9回タイトルを獲得出来たことに関して後悔はありません。キャリア残りの10年間のような努力を、キャリア最初の数年間にしていれば、もっともっと優勝出来ていたでしょうね。でも、若い頃は愚かであるのは誰も同じですからね。こうした事は経験と共に学習するしかありません。こうした後悔は多少あれど、今回のレースの結果には満足ですし、最高の形でキャリアを終えることが出来ました。」
「来年はアカデミーのライダーが4名MotoGPに参戦します。フランコとペッコはファクトリーヤマハとDucatiに、ルカとベッツェッキはVR46で走ります。来年はフランコとペッコはチャンピオンシップ争いが出来るでしょうし、アカデミー出身のライダーからスーパースターが生まれることを願っています!」[adchord]
バレンティーノ・ロッシの戦績
チャンピオンシップ優勝回数:9回
(125ccで1回、250ccで1回、500ccとMotoGPで7回)
1997年/125cd/アプリリア
1999年/250cc/アプリリア
2001年/500cc/ホンダ
2002年/990ccMotoGP/ホンダ
2003年/990ccMotoGP/ホンダ
2004年/990ccMotoGP/ヤマハ
2005年/990ccMotoGP/ヤマハ
2008年/800ccMotoGP/ヤマハ
2009年/800ccMotoGP/ヤマハ
優勝回数:115回
125cc/12回
250cc/14回
500cc、MotoGP/89回
表彰台獲得回数:235回
125cc/15回
250cc/21回
500cc、MotoGP/199回
ポールポジション獲得回数:65回
125cc/5回
250cc/5回
500cc、MotoGP/55回
(Photo courtesy of michelin)