ミシュラン・グランプリ・オブ・ハンガリーは2025年MotoGP世界選手権第14戦として初めて開催され、MotoGPが約30年ぶりにハンガリーの地に帰還する。舞台は2023年5月にオープンした新設サーキット「バラトン・パーク」。8月22日から24日にかけて、ブダペストから南西へ85km、バラトン湖近郊に位置するこの4.115kmのコースが世界最高峰のバイクレースを迎え入れる。
このサーキットは高速の加速区間、激しいブレーキング、そしてテクニカルなセクションをバランスよく織り交ぜたレイアウト。現代の安全基準に適合するよう設計されており、MotoGPとWorldSBKの要求に応じてロリス・カピロッシが手を加えた。ターン6-7の再設計、新たなシケインの設置、最終セクションの改良によって、安全性と競技性の両立が図られている。

ミシュラン、夏の猛暑と新レイアウトに対応した専用タイヤを供給
バラトン・パークは全ての関係者にとって未知の挑戦だ。ミシュランは今夏、各メーカーのテストライダーによる走行テストを実施し、現地データを収集。結果として、路面グリップは良好で摩耗も少なめだったが、路面温度は55~60℃に達し、タイヤに極めて大きな熱ストレスがかかることが確認された。
この初開催に向け、ミシュランは以下の構成でタイヤを供給する:
- フロント:ソフト、ミディアム、ハード(いずれもシンメトリー)
- リア:ソフト、ミディアム、ハード(いずれも左右非対称で、左ショルダー強化型)
リアは標準構造を採用し、ハードのフロントタイヤは2025年型としてオーストリアGPで導入された強化構造を使用。レース週末の気温とレイアウトに柔軟に対応できる広範な選択肢となっている。
また、雨天時にはMICHELIN Power Rain(ソフト、ミディアム)がフロント・リア共に用意される。


ミシュラン・モータースポーツ 二輪マネージャー ピエロ・タラマッソ
「ミシュラン・グランプリ・オブ・ハンガリーは歴史的なイベントであり、MotoGPがバラトン・パークで初めて開催される重要な瞬間です。このサーキットについては完全に把握できているわけではありませんが、シミュレーションと現地でのテストにより重要なデータを得ることができました。ただし、公式ライダーはテストライダーよりも遥かに限界までプッシュするため、本番ではさらに大きな負荷がタイヤにかかります。」
「このレイアウトは極端に高速ではありませんが、加速区間、ハードブレーキング、スローセクションが多く、特に真夏の気温下ではタイヤへの熱負荷が非常に大きくなります。我々は、3種類のシンメトリックなフロントタイヤ(ソフト、ミディアム、ハード)と、左ショルダーを強化した3種類のアシンメトリックなリアタイヤを用意しました。この幅広く柔軟な選択肢により、金曜からチームとライダーが最適な組み合わせを迅速に見極め、セットアップを最適化することが可能になるはずです。」
2025年ハンガリーGPスケジュール
- 8月22日(金)
午前中にフリープラクティス(FP)、午後に公式プラクティス(Practice)を実施。このセッションの上位10名がQ2へ直行。 - 8月23日(土)
最終FPを経て、Q1とQ2でグリッドが決定。午後3時から14周のティソ・スプリントが行われる。 - 8月24日(日)
午後2時より、27周の決勝レースがスタート。
MotoE™世界選手権第4戦も併催、サステナブルタイヤで2レースを実施
バラトン・パークではFIM MotoE™世界選手権の第4戦も開催され、Ducati製電動プロトタイプを使用したレース7とレース8が行われる。使用されるミシュランタイヤは、フロントに56%、リアに58%の再生・再生可能素材を含み、50%以上のサステナブル素材で構成された競技用タイヤの証として「Race to Vision」のベルベットマーキングが施されている。
MotoEのスケジュールは以下の通り:
- 8月22日(金)
フリープラクティスおよび予選 - 8月23日(土)
MotoGPスプリントの前後に、それぞれ7周の決勝レースを実施