ジョナス・フォルガーがドイツのSpeedweekに語るところによると、フォルガーは2020年にヤマハのテストライダーとして契約を更新しないことが決まったという。

ジョナス・フォルガーは2017年にテック3ヤマハでスピードを発揮したものの、ジルベール症候群を患い、同年の日本GPから2018年シーズンを欠場。将来を期待されながらMotoGP参戦を停止した。しかし、2019年からヤマハがヨーロッパベースのテストチームを結成するにあたり、そのテストライダーに抜擢されてテストライダーを務めていた。

競争が非常に激しい現在のMotoGPにおいて、年間19戦のうち年間12戦、実に60%超はヨーロッパのサーキットでのレースとなる以上、ヨーロッパにテストチームの拠点を持ってテスト、マシン開発を進めるほうが理にかなっている。

テストライダーに関しても、現役のMotoGPライダーに限りなく近いタイムで走ることが出来るライダーが開発にあたらないと、限界域での挙動、フレームやスイングアームの剛性の計算において問題が出てくるのは想像がつくところだ。

そういった意味でも、2017年のドイツGPではマルク・マルケスに続いて決勝レースで2位を獲得したジョナス・フォルガーがテストライダーを務める重要性は高かった。

各メーカーのテストライダーの状況としては、ホンダはステファン・ブラドル、Ducatiはミケーレ・ピッロ、スズキはシルヴァン・ギュントーリ、アプリリアはブラッドリー・スミス、KTMはダニ・ペドロサとミカ・カリオと、それぞれのメーカーが、MotoGP、それ以外の何かしらの世界選手権で活躍、優勝、表彰台獲得の経験があるライダーを起用している。

フォルガーはヤマハと2020年の契約更新について口約束を交わしていたと言うが、ヤマハ側はこれを否定している。今後のテストチームのあり方について、ヤマハのリン・ジャービスは「ヤマハのテストプログラムは、日本とヨーロッパで継続する計画である事は変わりません。同時にヨーロッパでのテストチームのテストライダーを探すということに関しては、あらゆる可能性を検討しています。」と語っている。

ヤマハは今後も中須賀克行、野左根航汰の2人が日本でM1の開発にあたるようだが、ヨーロッパのテストチームのライダーとしては、現状最も有望、且つ2020年に参戦予定が決まっていないライダーであるヨハン・ザルコを獲得する可能性が高い。

イケル・レクオーナの抜けた穴に、Moto2で2度タイトルを獲得したザルコが戻る可能性は残っているが、あくまでMotoGP復帰を目指すザルコは、Moto2に一度戻ってしまうとMotoGP参戦が相当に遠のくことは十分理解しているはずだ。

EICMAに顔を出したザルコは「2020年の予定はまだ決まっていない」と語っており、2020年のMotoGP参戦枠に空きがなく、且つMoto2に戻らないとなると、1年間何もせずに過ごすか、MotoGPテストライダーを探しているヤマハのドアを叩くかの2択しか無い。

最終戦バレンシアの後の2020年テストもそうだが、来年2月には各メーカーがある程度形になった2020年型バイクのシェイクダウンをセパンで行うわけで、シーズン終了からウインターテスト期間中にバイクをしっかりと開発していく必要がある。

そう考えると、ヨハン・ザルコがヤマハでテストライダーを務める場合、早ければ来週のバレンシアGPの中か、遅くとも年内には何らかの発表があるはずだ。

(Photo courtesy of michelin)