日本でも発表前から注目を集めていたZX-25Rだが、超高回転型エンジンを本気で走らせた時、どのようなサウンドを奏でるのかを確認出来る動画が公開された。ライディングするのはFIM スーパーバイク世界選手権(SBK)を5回制したジョナサン・レイ、舞台はヘレス・サーキットだ。

2019年の東京モーターショーで発表されたZX-25Rは、20,000回転まで刻まれたタコメーター、ZX-6Rなどと共通のハンドルスイッチ、左右レバーのアジャスター、ギアインジケーターを備えたダッシュボードなど、250ccクラスとは思えぬ本気の4気筒バイクとして、13年ぶりにカワサキが市場に投入する250cc4気筒バイクだ。
ZX-25R
ZX-25R
カワサキに限らず、近年登場する250ccスポーツバイクはことごとく2気筒エンジンだった。コストを抑えたそこそこのスポーツ性を持ったバイクを作れば、幅広い層に受け入れられるというメーカーの考えは確かにそのとおりだが、よりスポーツバイクの本質を追求した80年代〜90年台初頭の250ccスーパースポーツバイクを知っているライダー達からは、常に中途半端な性能とルックスの製品に不満の声があったのは事実だ。

絶対数としては少ないユーザーの意見のため、採算性を考えると250cc4気筒スーパースポーツバイクをメーカーが作りたがらないのは自然なこととは言え、その隙間を縫うように、海外ブランドからはMoto3マシンに近い単気筒250ccクラスのスポーツバイクが次々と登場。高いスポーツ性のある250ccクラスが欲しいのなら、海外製しか選択がない状態が続いている。

実売99万円ほどと予想されるZX-25Rの採算性は低いだろうが、コアなユーザーが求めている製品を、他メーカー真似できないほどの本気度で作り込んで試乗投入するという、カワサキの姿勢はまさに漢カワサキ。スーパーチャージャー搭載のH2もそうだったが、コアなユーザーにしかニーズが無いかもしれない製品でも、メーカー主導のプロダクトアウトではなく、ユーザーの声を拾い上げて作りあげるマーケットインで作られた製品は強い。

日本メーカーは海外市場ばかりを眺め、日本市場をないがしろにしていると言われて久しいが、ZX-25Rによってカワサキがマーケットインの重要性を、他メーカーに改めて教えてくれるだろう。

(Source: Kawasaki)