ドルナ・スポーツCEOのカルメロ・エスペレーターは、2020年のMotoGP開催について、開催予定カレンダー、衛生面での手順作成、今後レースを継続していくためのコスト削減の必要性、バレンティーノ・ロッシの引退の可能性などについて語った。まずは今週末にスペイン政府から回答が来るといる7月19日の開幕戦の可否について注目が集まる。

今週末には7月19日の開催可否がわかる

「今回のパンデミックは私がドルナに加入した1991年以来最も経済的に大きな打撃を受けています。トラック上で何かしら悲劇的な事故が起きた時とは異なりますから対処は可能ですが、個人的にウイルスの拡大などに関して無力だと感じますね。」

今週末には、スペイン政府から7月19日にヘレスでレース開催が可能かどうかの返答があるはずです。返答を待っている状況ですが自信はあります。また今週はスペインスポーツ地方議会、異なる国の専門家と共に衛生面での対処手順を作成しています。」

今年は無観客でヨーロッパでレースを行う

今年のMotoGPはヨーロッパでは無観客でレースを行います。開幕戦はスペインのヘレスで7月19日、そして26日にもヘレスでレースを行います。その後チェコのブルノで8月9日、オーストリアのレッドブル・リンクで8月16日、23日にレースを行い、イタリアのミサノで9月13日にレースを行います。その後も11月半ばまではヨーロッパでレースを開催しようと思っています。
写真で振り返るMotoGP2019年シーズン アルゼンチンGP

ヨーロッパ以外のレースは観客動員が可能な場合のみ可能

現在アメリカのCOTA、マレーシアのセパン、アルゼンチンのテルマス、タイのチャーンなどと開催について話し合いを行っています。しかしこれらが確定するのは9月になるでしょう。これらのレースは11月半ばから12月に開催となります。」

これらのレースに関しては観客動員が可能な場合に限って開催が可能です。これは物資運搬に係る費用、物流面のコストをドルナが全てカバーする必要があるためです。なお、ヨーロッパラウンドに関しては無観客ですので、プロモーターはこれらの費用を支払いません。」

ヨーロッパ外でのレース開催が叶わない場合は、7月半ばから11月終わりにかけて、10戦から12戦をヨーロッパで開催することになるでしょう。メーカーとはチャンピオンシップは12月13日に終了することで合意しています。これはメーカーが2021年に向けて準備する時間を確保するためです。

衛生面のプロトコルは今週末に決定

衛生面での対処手順については今週末に決定します。イベントを運営するために、今のところ可能な全ての安全策を講じる必要があります。まずはパドック内で働く人数を制限します。」

パドック内の人数はチームと話し合いを行う中で、MotoGPファクトリーチームは40名、サテライトチームは25名、Moto2では20名、Moto3では15名と合意しました。ゲスト、メディアの参加は許可しません。TVプロダクション、レース運営に関わる最少人数のドルナスタッフのみ参加が許可されます。」

これによってパドック内の人数は1,300人程度となるはずです。ロジスティクスに関しては、ヨーロッパ以外から届く荷物はレースウィークの14日以上前に到着する必要があります。そして全ての荷物はサーキット到着の最大で4日前までに検査を受けます。」
写真で振り返るMotoGP2019年シーズン 第4戦スペインGP

感染者が出たとしてもチャンピオンシップは継続を検討

感染者が出た場合もチャンピオンシップを継続することを検討していますが、衛生面での対処手順に則って行動します。重要なのは全てを管理下においておくことです。非常に忙しくしていますが、幸運にもMotoGPファミリーの中でコロナウイルス感染者は少ない状況です。今のところこうした状況もコントロール下にあると言えるでしょう。」

「様々なライダー、チームと話し合いを行っています。多くのライダーは一刻も早くレースをしたいと願っています。MotoGPファミリーの結束は固いと思います。コンスタントにチーム代表、メーカー、プロモーター、FIMと話し合いを行っていますが、誰もがすぐにレースを開始したいと願っていますよ。」

チャンピオンシップのコスト削減が重要

「ドルナはチームをしっかりとサポートします。すでに財政面で支援を行っていますし、チャンピオンシップのコスト削減が重要だと考えています。Moto2、Moto3は2020年、2021年で同じマシンの使用が可能となりましたし、MotoGPクラスに関しては2020年と2021年について、エンジン、エアロダイナミクスの開発を凍結しています。

現時点でよりサステナブル(持続可能)なMotoGPのフォーマットを考えています。2020年シーズンがスタートした時点で新しいMotoGPのフォーマットを形づくっていくことが最重要課題です。」

引退するかどうかはロッシ自身が判断すること

「バレンティーノとは何度も話し合ってきましたが、彼とリタイアについて話し合ったことは一度としてありません。リタイアについて選手と話をするというのは非常に失礼なことだと思うんです。ロッシは9度の世界チャンピオンですし、今まで素晴らしいシーズンを過ごしてきました。彼はまだ優勝することが可能でしょう。

「引退するか現役を続けるかは彼の判断です。もちろん彼が70歳になっても現役を続けてくれれば、これほど嬉しいことはありませんけどね(笑)

MotoGPは最高のショー

MotoGPは最高のショーです。この状況からさらに力強くカムバックを果たしたいと思います。2020年だけでなく、2021年より先に向けて作業をしています。レースを開催し続けること、これが最も重要なんです。今年はファンにレース観戦してもらうことは難しいですが、ドルナが誇る素晴らしい放送技術によって、ファンにレースをお届け出来るでしょう。」

(Source: michelin)

(Photo courtesy of michelin)