ブルノでの週末は波乱の幕開けとなった。セッション序盤はウエット、終盤には路面が乾き始め、見どころ満載のFP1となった。そんな中、最速タイムを叩き出したのは、技術的トラブルに見舞われながらも立て直したマルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)だった。一方、注目を集めたのは4月以来の復帰となるホルヘ・マルティン(アプリリア・レーシング)。久々の走行で17番手に沈んだが、無事にセッションを走り切った。

セッション開始5分、マルコ・ベッツェッキ(アプリリア・レーシング)が7コーナーで転倒。直後にマルケスがピットを出て走行を開始したが、マシンに技術トラブルが発生。サービスロードを使ってガレージへ戻る波乱のスタートとなった。マルティンはコースに慣れながら徐々にペースを上げていった。セッション残り25分、ジャック・ミラー(プリマ・プラマック・ヤマハ MotoGP)が初めてスリックタイヤに履き替え、数周後にはトップタイムを記録。路面が急速に乾いてきたことを示した。
セッション終盤にかけて路面コンディションは改善を続け、最後のタイミングでアタックに成功した者が上位に浮上する展開となった。アウグスト・フェルナンデス(ヤマハ・ファクトリー・レーシング)が2分の壁を最初に破るも、最終ラップでマルケスがトップタイムを記録。僅か9周の走行ながら、いきなりコースレコードに迫るタイムを叩き出し、2位のミラーを逆転した。
マルケスのチームメイトであるフランチェスコ・バニャイアは3位を獲得。終盤にはマルケスと同時にコースを走り、連携した走行も見られた。アレックス・マルケス(BK8 グレシーニ・レーシング MotoGP)は最後のアタックで4位に浮上。復帰戦となったエネア・バスティアニーニ(レッドブルKTMテック3)は5位に入った。
6位にはペドロ・アコスタ(レッドブルKTMファクトリー・レーシング)が入り、初のブルノでの公式セッションを上々の内容で終えた。転倒がありながらも、ベッツェッキは7位でフィニッシュ。ホンダ勢トップはルカ・マリーニ(ホンダHRCカストロール)の8位。アレックス・リンス(モンスターエナジー・ヤマハ MotoGP)、中上貴晶(IDEMITSU ホンダLCR)がトップ10を締めくくった。注目の復帰となったマルティンは、慎重な走行を重ねて17位。午後のセッションではさらなる向上が期待される。
マルク・マルケス
「自分としては理想的なスタートではありませんでしたが、チームがすぐに対応してくれたおかげで、残りの走行でしっかりと走ることができました。最後のアタックでタイムを出せたのは大きいです。明日につながる良い感触を得ることができました」
ホルヘ・マルティン
「久しぶりの走行で、まずは身体の感覚とマシンに慣れることが目的でした。路面の変化もありましたが、セッションを無事に終えられたことが収穫です。午後はさらに一歩前進したいと思います」
小椋藍
「転倒はしてしまいましたが、自分としては攻めた結果だったので後悔はしていません。身体は問題ありません。午後に向けてしっかり修正していきます」
次のセッションではさらにコンディションが安定する見込み。タイトル争い、復帰戦、そして若手の台頭が激しさを増す中、ブルノの週末はますます目が離せない。