
2026年ダカール・ラリーは、ラリー史に残る歴史的接戦の末、モンスターエナジー・ホンダHRCのリッキー・ブラベックが優勝をわずか2秒差で逃すという劇的な結末を迎えた。
最終ステージを前に、前日の勝利で3分20秒のリードを築いていたブラベックは、第3のタイトル獲得に向けて好位置につけていた。しかし、残されたのはわずか105kmの計時区間。先頭スタートを任されたブラベックにとって、前走者の轍がない中でのナビゲーション精度が問われる一日となった。
最終ステージは、山岳地帯のテクニカルな区間と紅海沿岸の高速セクションから構成されていた。序盤から快調に飛ばしたブラベックだったが、ゴールまで残り7kmで進路ミス。大きくタイムを失い、悲願のベドウィントロフィーにあと一歩届かなかった。
トータル49時間0分41秒、4,737kmに及ぶサウジアラビアでの過酷な戦いの末、2026年大会はルチアーノ・ベナビデス(レッドブルKTM)の手に渡った。ブラベックは2度のステージ優勝を含む好走を見せ、通算ステージ勝利を13に伸ばしながらも、悔しい2位フィニッシュとなった。
トシャ・シャレイナは最終日に3位でフィニッシュし、激動の2週間を表彰台で締めくくった。2025年大会準優勝者として優勝候補に挙げられていたが、マラソンステージでのスタート手順ミスによる10分のペナルティが響いた。それでも後半の挽回劇で3度のステージ優勝を果たし、総合3位に滑り込んだ。
スカイラー・ハウズは序盤でのタイヤトラブルで出遅れたが、後半に初のステージ優勝を挙げ、総合4位まで順位を戻した。エイドリアン・ヴァン・ベヴェレンは序盤のクラッシュやホイールに絡んだ金属ワイヤーによるトラブルなど苦戦を強いられたが、後半は安定した走りで第10ステージを制し、最終的に6位入賞を果たした。
この厳しい戦いを終えたモンスターエナジー・ホンダHRCのライダーたちは、3月17日〜22日に開催されるポルトガル・ラリーレイドに向けて、しばしの休息に入る。
ルーベン・ファリア(ゼネラルマネージャー)
「2026年ダカールの最終日は、自分たちが期待していた結果にはなりませんでした。しかし、これがダカールであり、ラリーレイドという競技です。最終ステージの残り6kmで、リッキーはわずかに早く左に進んでしまい、正しいルートから外れてしまいました。その結果、大きくタイムを失い、ゴールではルチアーノに2秒差で敗れることとなりました。」
「本日のステージを迎えるにあたり、タイムボーナスのおかげでリッキーは2位に対して4分42秒のリードを持っていました。わずかなミスでしたが、それが結果に大きく影響し、最終的に2秒差でダカールを逃すことになりました。もちろん、自分たちは優勝を目指していたので、非常に悔しい結果です。」
「それでも、チームとしては非常に良いパフォーマンスを発揮できたと思います。リッキーは総合2位、トシャが3位、スカイラーが4位、エイドリアンが6位という結果でした。リッキーは安定した走りを見せてくれましたし、トシャは初週にミスがありながらも最終的には素晴らしい結果を残してくれました。スカイラーは苦しい前半から立て直し、エイドリアンも途中でホイールにケーブルが絡まるトラブルで1時間近くを失いながらも、後半には非常に強い走りを見せてくれました。」
「当然ながら、我々の目標は優勝でしたが、これほどまでに僅差での決着はこれまでに例がなく、非常に印象的な大会となりました。今後も自分たちはプッシュし続け、次のレースでの勝利、そして次回のダカールではさらに強くなって戻ってくるつもりです。チーム全体が素晴らしい働きをしてくれましたし、ホンダのマシンもラリーを通じて非常に優れたパフォーマンスを発揮してくれました。」
リッキー・ブラベック(ステージ8位/総合2位)
「今回のダカールは、最初から最後まで本当に戦いでした。最終ステージでは、やや混乱したナビゲーションノートに従った結果、正しいルートを外れてしまいました。引き返したときには、ルチアーノがすぐ後ろにいて、自分の状況を見て正しいルートをキープしていました。それがこの僅差での勝負を分ける決定的な差になったと思います。」
スカイラー・ハウズ(ステージ5位/総合4位)
「今回のダカールは本当にいろいろなことがありました。無事にフィニッシュできて本当にうれしいです。たくさんの困難や課題がありましたが、良いライディングもできました。自分の走りには満足していますし、チームはメカニックもロジスティクスも本当に素晴らしい仕事をしてくれました。モンスターエナジー・ホンダHRCの一員としてこのラリーを走り切れたことを誇りに思っています。自分の中で改善すべき点も多く、特に初日のステージではもう少し我慢が必要でした。今回は運も味方してくれたと思っています。母が見守ってくれたおかげでここまで来られました。このラリーは母に捧げたいです。」
エイドリアン・ヴァン・ベヴェレン(ステージ4位/総合6位)
「よく“完走するだけでも勝利”と言われますが、今回もまさにその通りだと感じました。同時に、自分としてはもう1週間ほしかったというのが本音です。第1週はリズムが掴めず、クラッシュやホイールに金属ワイヤーが絡むなどトラブル続きで、本当に波乱のスタートでした。でも第2週に入ってからは好調で、ステージ優勝もできたし、毎日トップ争いができたことは大きな収穫です。この結果を糧に2027年に戻ってきたいと思います。2025年のポルトガルでクラッシュしてから自信を取り戻すまで時間がかかりましたが、今大会はそのプロセスとして必要なものだったと思います。」
トシャ・シャレイナ(ステージ3位/総合3位)
「数年前までは、ただ出場することを目指して戦っていました。いま、表彰台に立つのが“当たり前”のように感じられるのは不思議な気分です。ただ、現実的に見ればやっぱり表彰台は最高です。自分の人生をかけて戦ってきた結果なので、本当にうれしいです。ホンダとして2台が表彰台に上がれたことも大きな意味を持ちます。まだ改善すべき点はいくつかありますが、確実に前進できていると感じています。ペナルティの影響で戦略変更を余儀なくされましたが、ナビゲーションや細かい注意力が求められる部分ではもっと集中が必要だと痛感しました。高速セクションでもまだ足りない部分があるので、そこは今後の課題です。」
次戦、2026年ラリーレイド・ポルトガルは3月17日から22日まで開催予定。モンスターエナジー・ホンダHRCは、さらなる勝利を目指し再始動する。
中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近はまた乾式クラッチのDucatiに乗りたいと思っています。