
ホンダ・モーター・ヨーロッパは11月2日、2027年モデルの「CBR1000RR-R Fireblade SP」と「CBR1000RR-R Fireblade HRC WORKS EDITION(HRC WE)」を発表した。スタンダードモデルと同じく、スーパーバイク世界選手権(WorldSBK)で戦うHRCチームの要求を先に固めてから開発された新しいフレームとエンジンを使う。SPはオーリンズの最新電子制御サスペンションとブレンボの新型キャリパー「Hypure」を装備し、HRC WEはさらに車体の調整機構やカーボン製ウイングレットを備えたサーキット向けの仕様となる。
スタンダードと共通の新しい車体とエンジン
フレームはホンダの薄肉重力鋳造(GDC)製法で作られたアルミ製ダイヤモンドフレームで、横剛性を従来比で20%下げた。リアショックの下側の取り付け位置はフレームからエンジン後部に移されている。前後の重量配分は53.3%/46.7%(従来は52.8%/47.2%)、クランク軸の位置は5.2mm高い432.5mmとなった。スイングアームは1.2mm短い620.6mmで、横剛性を12%下げ、200g軽くなった。ドライブチェーンは525サイズから520サイズに変わり、さらに270g軽くなっている。
エンジンは1,000cc直列4気筒で、最高出力160kW(14,000rpm)、最大トルク114Nm(10,500rpm)は従来どおり。ホンダの量産二輪車で初めて2段階の可変エアファンネルを採用し、中速域を強化した。圧縮比は13.6から13.8に上がっている。シリンダーヘッドカバーやクラッチカバー、ACGカバー、オイルパンなどのマグネシウム化と35本のアルミボルトで、クランクケースの軽量化分を除いても1,099g軽くなった。メインシャフトとカウンターシャフトの間隔は3mm広い68mmとなり、1速は5%高く(ロング)なっている。
カウルはHRCと共同で作り直され、ウイングレットを使わずに従来モデルと同じ水準のダウンフォースを得ている。アンダーカウルのサイドポッドもMotoGPでの知見をもとに設計された。燃料タンクはチタン製で、樹脂カバーを廃止して1.4kg軽くした。容量は16.6Lのまま。SPのタンクはクリア塗装のみで、ヘアライン仕上げのチタンがそのまま見える。
SPはオーリンズの電子制御サスペンション
SPのフロントはオーリンズの43mm径NPX倒立フォーク、リアはTTX36ショックで、いずれも最新の電子制御「S-EC3.0」とスプールバルブ技術を採用した。フロントフォークはSP専用の鍛造アルミ製トップブリッジとボトムブリッジで支える。
設定にはオーリンズの「OBTi(Objective Based Tuning Interface)」を使い、前後それぞれを基準の設定から個別に調整できる。ライダーが作った設定は3つまで保存でき、天候やタイヤの摩耗、燃料の量に合わせてすぐに切り替えられる。TFTメーターには、ライダーの体重に応じたプリロードの推奨値を表示するガイド機能もある。
ブレンボHypureキャリパーを採用
フロントブレーキは、従来のStylemaに代わってブレンボの新型ラジアルマウント4ピストンキャリパー「Hypure」を採用した。マスターシリンダーとブレーキレバーもブレンボの新しいものになる。サーキット走行で高温が続いても安定した制動力を保つとしている。ディスクは軽量化された330mm×4.5mm。
コーナリングABSはSTANDARD、TRACK、RACEの3モードで、RACEモードではリアのABSが解除される。ボッシュ製の6軸IMUと、3段階で調整できるホンダ電子制御ステアリングダンパー(HESD)も備える。ホイールは新しい7本スポークの中空デザインで、フロントで190g、リアで590g軽くなった。
電子制御
ライディングモードはRACE、ROAD、RAINの3種類で、出力(5段階)、エンジンブレーキ(3段階)、ウイリーコントロール(3段階+オフ)、ホンダセレクタブルトルクコントロール(HSTC、9段階)を調整できる。レーススタート用のスタートモードは6,000、7,000、8,000、9,000rpmの4段階。SP、HRC WEともクイックシフターを標準装備する。
HRC WEはサーキット向けの専用装備
HRC WEは、WorldSBKのレース車両のベースとして作られたモデル。SPと同じフレーム、エンジン、空力の改良を受けたうえで、次の装備を持つ。
- ステアリングステムの上下カラーでキャスター角を調整できる
- スイングアームピボットの位置を調整でき、加速時や減速時のアンチスクワット、アンチリフト特性を変えられる
- フルメカニカル式のオーリンズ製サスペンション(前NPX28-30倒立フォーク、後TTX36)
- ブレンボ「Hypure Sports」ラジアルマウント4ピストンキャリパー(従来のStylemaより32g軽い)
- カーボン(CFRP)製のデュアルエレメント・ウイングレット、リアシートダクト、フロントフェンダー
- シングルシート(タンデムステップとステーは装備しない)
- オプションのHRCキットパーツで、1速と2速の間でニュートラルに入らないボトムニュートラル式のシフトパターンにできる
フロントのウイングレットは上側の翼面積が従来の2.4倍となり、299km/hでスタンダードの2027年型CBR1000RR-R Firebladeの3.5倍のダウンフォースを生むという。キャスター角とトレールは23.8度/99.8mm(SPは24.0度/101mm)、シート高は847mm(SPは843mm)。装備重量はSPが201kg、HRC WEが200kg。起動時のメーターにはHRCのロゴが表示される。
なお、ギア比、バルブタイミング、ステアリングステムとスイングアームピボットの変更は公道走行では認められておらず、車両の保証にも影響するとしている。
カラーとアクセサリー
SPの車体色はイグニッションレッドとマットバリスティックブラックメタリックの2色。HRC WEはイグニッションレッドのみとなる。純正アクセサリーとして、スモークスクリーン、USB Type-Cソケット、フレームガード、タンクパッド、スポーツメインシート(SPのみ)、車体色に合わせたシートカウル、ホイールストライプなどが用意される。
主な諸元(欧州仕様・暫定値)
| 項目 | SP | HRC WE |
|---|---|---|
| エンジン | 水冷4ストローク直列4気筒DOHC 4バルブ | 同左 |
| 排気量 | 1,000cc | 同左 |
| ボア×ストローク | 81×48.5mm | 同左 |
| 圧縮比 | 13.8 | 同左 |
| 最高出力 | 160kW/14,000rpm | 同左 |
| 最大トルク | 114Nm/10,500rpm | 同左 |
| 最高速度 | 299km/h | 同左 |
| 燃料タンク容量 | 16.6L | 同左 |
| 燃費(WMTC) | 6.7L/100km | 同左 |
| CO2排出量(WMTC) | 155g/km | 同左 |
| 変速機 | 6速(クイックシフター標準) | 同左 |
| 全長×全幅×全高 | 2,105×735×1,150mm | 2,105×750×1,150mm |
| シート高 | 843mm | 847mm |
| 最低地上高 | 130mm | 135mm |
| キャスター角/トレール | 24.0度/101mm | 23.8度/99.8mm |
| 装備重量 | 201kg | 200kg |
| サスペンション(前) | オーリンズ 43mm NPX S-EC3.0倒立フォーク(電子制御) | オーリンズ 43mm NPX倒立フォーク(フル調整式) |
| サスペンション(後) | オーリンズ TTX36 S-EC3.0(電子制御) | オーリンズ TTX36(フル調整式) |
| ブレーキ(前) | 330mmダブルディスク、ブレンボ Hypure | 330mmダブルディスク、ブレンボ Hypure Sports |
| ブレーキ(後) | 220mmディスク、ブレンボ製2ピストン | 同左 |
| タイヤ(前/後) | 120/70ZR17/200/55ZR17 | 同左 |
| 標準装着タイヤ | ブリヂストン BATTLAX RACING STREET RS12/ミシュラン POWER GP2 | 同左 |
| メーター | 5インチTFT | 同左 |
諸元はすべて暫定値で、予告なく変更される場合がある。
中の人は元スズキ(株)気になるバイクニュースを2014年から運営しています。愛車遍歴はGSX-R1000K5、DucatiモンスターS2R、Ducati 916、XR230F、GSX-R600 K7、最近DucatiモンスターS4Rに乗り換えました。