43に及ぶ選手権への参加、最高峰クラスでの経験を通じて、brembo(ブレンボ)は世界選手権で32回優勝、コンストラクターズタイトルを33回獲得、グランプリレースでの優勝回数は500回を超え、2002年に500ccクラスからMotoGPへと移行し、20年を迎える最高峰クラスで22名のライダーに合わせたブレーキシステムをカスタマイズしてきた。
全11チームは最高の性能、信頼性、安全線の観点からbrembo(ブレンボ)のブレーキを選択。そのラインナップはブレーキキャリパー、カーボンディスク、ブレーキパッド、ブレーキマスターシリンダーなどに及ぶ。
2021年シーズンは全てのライダーがライディングスタイル、トラックの特徴、レース戦略などから様々なブレーキングシステムをカスタマイズ出来るようになる。
GP4キャリパー
2020年初頭に登場したGP4は、新しいモノブロックアルミキャリパーで、アルミの塊を削って製造される。キャリパーはラジアルマウントで4ピストンを備える。このキャリパーはMotoGPライダーがスタンダードとして選ぶものだが、中にはフィーリングの違いなどから2019年型のキャリパーを愛用する選手もいる。
GP4キャリパーは放熱フィンを特徴としており、引きずり防止効果も合わせてもっている。このブレーキキャリパーを使用するとブレーキトルクを増大させる効果があり、ライダーはブレーキフルードがブレーキピストンを押す油圧に加え、さらにブレーキを握る効力を発揮することが可能だ。引きずり防止機能は、パッドとディスクが勝手に触れないようにするためのもので、意図しないブレーキングの発生を防止する。
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カーボンディスクの種類は10種類
ライダーの大半は340mmの大質量ディスクもしくはスタンダードディスクを使用する。しかし、中には320mmの大質量ディスクもしくはスタンダードディスクを使用するチームも存在する。
それぞれのブレーキディスクとパッドは、初期噛みつきの強さ、耐熱性の異なるものが選択可能で、ライダーが選択可能なディスク自体の種類をまとめると全部で10種類、5つのジオメトリーでそれぞれに大質量タイプとスタンダードが存在する。
これらのディスクに加えて、新たに今シーズンからbrembo(ブレンボ)は各チームにベンチレーテッド・カーボンディスクを供給する。これはディスクに開けられた穴によって放熱を容易にし、ディスクの冷却性能をアップさせる狙いがある。このディスクはスピルバーグ、もてぎ、セパン、ブリーラムなどブレーキに厳しいサーキットのためにデザインされたものだ
なお、カーボンにはバネ下重量の軽減、変わらぬ摩擦係数、そしてスチールディスクで発生する残留トルクを考えずに済むことが挙げられる。
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ブレーキフィール改善に尽力
チームが使用可能なマスターシリンダーは、それぞれストローク量が異なる。これはレースでの使いやすさと、ライダーが求める操作性を実現するためだ。また、各車にはリモートアジャスターが装着され、走行中であってもブレーキレバーの位置を調整することが出来る。
brembo(ブレンボ)の技術者によるとMotoGPライダーのうち、3分の1以上がサムマスターシリンダーでリアブレーキを操作している。これは90年代にbrembo(ブレンボ)がミック・ドゥーハンをサポートするために開発したもので、リアブレーキを左ハンドルに取り付けたレバーによって親指で操作するものだ。
2021年には2種類のマスターシリンダーが投入され、最も一般的に使用されているものは、2つのリアキャリパーを、それぞれ左手親指と、右足によって操作が可能なように独立させたタイプだ。なお回路については2つのキャリパーを独立して操作が可能なパターンと、2つのキャリパーを同時に操作するパターンとに切り替えが可能。
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2019年からは既存のサムブレーキを異なる使い方で動作させる方式もテストされており、親指で使用するプッシュ型、もしくは人差し指で使用するプル型のものもある。人差し指で操作するものは左ハンドルにレバーが装着されることで、減速時のホールド性が高い。
マルケジーニホイール
マルケジーニの鍛造ホイールは2021年も大多数のライダーが使用する。11チームのうち7チームがマルケジーニホイールを使用し、フロント用は5本もしくは7本スポーク、リアは7本スポークとなる。マルケジーニはbrembo(ブレンボ)のグループ企業で、モーターサイクルの車重軽減、加速性の向上、ハンドリングの向上などに効果を発揮する。
つまり、コーナーエントリーでの原則、60°に迫る角度でのコーナリング、コーナー立ち上がりからの加速など、レースにおいて必要不可欠な要素に好影響を与える。
Moto3クラスで新しいブレーキングシステムを投入
ポルトガルでテストを行い、2021年にbrembo(ブレンボ)は正式にMoto3クラスに新しいブレーキングシステムを導入する。なおMoto2への 供給体制は変わらない。
Moto3で新たに使用されるブレーキングシステムに関しては、昨年のモデルと比べて200グラム重量が軽くなっている。 新しくなったアルミニウムモノブロックキャリパーは、アルミの塊から削り出され、マウント方式はラジアル、2つのピストン径は32mmとなる。
Moto3で使用される新しいキャリバーはGP4と酷似した外観を与えられている。性能はもちろんのことながら、選手権全体を通したアピアランスの統一化も、brembo(ブレンボ)が長年取り組んできた事項だ。新しくなったアルミニウムディスクは、 バネ下の重量が軽減されており、マスターシリンダーに関しても変更が加えられている。
マスターシリンダーに関しては小径のピストンを使用しており、14mmもしくは15mmの選択ができる。 ストローク量は18mmもしくは20mmを選択でき、ライディングスタイルだけでなくサーキットに合わせて調整が可能だ。
(Source: Brembo)
(Photo courtesy of Brembo)
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